絵:焼成を3回に分けて、製作していただきました | 小田原のお寺で学ぶ磁器上絵付けとポーセラーツ教室

小田原のお寺で学ぶ磁器上絵付けとポーセラーツ教室

城下町小田原。緑豊かなお寺の一室で、磁器上絵付け、ポーセラーツの教室を開いています。
少人数のサロン形式ですので、それぞれの方のペースに合わせて、丁寧にご指導いたします。

前回のつづきです。

ワイルドストロベリーの課題、元は、一回焼成で仕上げるものなのに、

どうして私は、3回に分けたのか、ということです。


うちはサロン(というとなんだか素敵な響きですが~)形式なので

それぞれの方に、自分のペースで製作していただくことができます。


この生徒さんは(Tちゃん)、昨年の作品もライラック色をベースにしていたので

その色を、どこかに使いましょう、ということで、お皿のリムをその色に染めることにしました。


そういう場合は、ベースカラーを最初に入れてしまうと、絵の色調を合わせやすいです。

(スポンジングの場合は、焼きあがると色の濃淡が、思っていたのと違うことがあるので)


ですので、他の課題のついでに、スポンジング(第一焼成)をしておきました。


また、苺の絵を2回に分けた理由ですが・・・


私は、手描きの美しさは、絵の具のツヤと透明感にあると思っています。


そのためには、出来上がりの絵の濃いところと薄いところの差があることが大切ですが、

・薄いところのMaxは、絵の具がのっていない部分。(と、そのグラデーション)

・濃いところは、焼成後、剥落しない程度に、絵の具がのっていると綺麗です。

(絵の具の層が厚いほうが、ツヤが出ますが、厚すぎると剥がれます)




絵の中でグラデーションの幅を、一度で表そうとすると、

どうしても濃い部分に絵の具がよってしまって、剥がれやすくなります。


また、苺の実に使った赤(マイセンレッド)は、鉄系の絵の具ですが

これは、絵の具が厚すぎたり、温度が高すぎたりすると、茶色に発色しがちな色です。


ですので、苺の実は、1回目(今回は、第二焼成)は、

絵の具が、どこかに寄ったり、溜まったりしない程度に、さらっと描いていただきました。

(2回目は、その上に、同じ作業を重ねたので、濃い部分が出来ました)


また、葉を描いてから、その上や輪郭に、葉脈やアクセントラインを入れる作業がありますが

これも、一度でやると、失敗した時に、下に描いた葉の色も消して描き直さなければなりません。


焼成して定着した上なら、何回も消して、じっくり細い線に挑戦することができます。

(苺の実のタネも、同じことです)


ですので、第一焼成(リムスポンジング)

第二焼成(苺の絵の一回目)

第三焼成(苺の絵の仕上げ)というふうに、3回に分けました。


結果として、綺麗に発色して、さわかなプレートになりました。


(陶画舎の課題が、あえて1回で仕上げているのも、有意義なことです。

いろいろ試行錯誤をすることで、その時は失敗に見えるかもしれませんが

得難い経験をすることが出来ます。
いつも失敗を未然に防いでいると、いつまで経っても、加減がわからないままです)


また、プロのペインターさんは、この3工程を、一度にやります。

焼かずに一度乾かした上に描いたり

または、まだ絵の具が乾かない上にあえて重ねたり、いずれも高度な技術です。




文章にすると長くなるので、すごい工夫があるように思われるかもしれませんが、

少しでも絵付けを経験された方なら、どなたもご存知の基本的なことです~。


このブログをご覧になる、絵付けやポーセラーツに携わる以外の方のために

こんなことをやっているんだよ~~的な意味で、書かせていただきました。


長文、失礼いたしました~。