ボボ・ブラジルの政治経済学・・・黒潮とトリニダード | 続プロシタン通信

続プロシタン通信

プロシタンとはプロレス史探訪のことです。

20世紀の末、一部で話題となりました「プロシタン通信」の続編をブログの形でお送りします。

カリブの島々はスペイン語圏、フランス語圏、英語圏と複雑に入り乱れております。それはそのまま植民地時代の宗主国です。 

 

スペイン語圏のキューバは現在、プロレスはありません。が、かつて革命前にはフロリダ地区のレスラーが遠征していました。プエルト・リコも同様にフロリダ地区のサーキット圏だったことはありますが、70年代にカルロス・コロンが地元資本で興行会社を立ち上げました。しかし、1988年にはブルーザー・ブロディの暗殺という悲しい出来事がありました。 

 

フランス語圏でのプロレス興行、聞いたことがありません。ただしフランス語圏マルチニーク島出身者には、ジャック・クレイボーンと稲妻二郎さんの兄弟がおられます。お二人ともフランスの首都パリとの縁は強いようです。 

 

英語圏、レゲエでおなじみのジャマイカ、プロレスには縁がないようです。が、カリブの島々の南端のトリニダード・トバコでは興行記録もあります。

 

パイオニアは68年国際プロレスに初来日したレイ・ゴールデン・アポロンです。 トリニダード・トバコでの興行記録は68年の5月に初めて見受けられます。アポロンがエースでビル・ロビンソンが「外人」として行ったようです。

 

アポロンは50年代からドイツで活躍しておりました。国プロ来日を縁に、弟子のテリー・ハーバートを国プロに留学させております。テリーの日本でのリングネームは黒潮太郎でした。 

 

十数年前、黒潮太郎の消息を聞いたことがあります。トロント在住で、プロレスとはまったく違う仕事をしていました。それにしても「黒潮太郎」とは面白いリングネームですね。 

 

トリニダード・トバコにはアッティラ・ザ・フン、ロアリング・ライオン、ロード・インベーダー、マイティ・ゼブラ、マイティ・スパロウなど、多くの猛者が出現しております。あ、失礼いたしました。これは、当地の大衆音楽「カリプソ」の世界の話です。我が国では「バナナ・ボート」で知られるカリプソですが、奥が深く、そかもアクの強い世界が広がっているようです。 

 

と、考えますと「レイ・ゴールデン・アポロン」という中々勇ましいリングネームもトリニダード・トバコの文化の反映と思えます。「黒潮太郎」は公募で決りましたが、その雄大なリングネームはトリニダード・トバコの伝統の表れでもあったとも思えます。