パパを連れて帰れず、私たちは家に戻った。

お昼には義母と義姉が来てくれた。たくさんのおにぎりを持って。そう言えば、子供たちに朝ご飯、食べさせたっけ?もうお昼なのに。頭が回っていない。


葬儀社が打ち合わせに来た。

「喪主はどなたが?」


喪主?


以前、パパにははっきり言っておいた。

もし、パパがママより先に死んじゃったら、ママは喪主とか絶対ムリだから。ママはパパと一緒にお棺に入るからね!


パパは承知している。

「ママはムリ!」


すかさず長男も

「俺も無理だよ!」

長男はいつも縁の下の力持ち。

それもパパは承知。


「・・・って、俺かよっ!?」

泣き虫で甘えん坊だった次男がもう28歳になり、今ではファミリーの中でパパの次に頼もしい。

パパも「タカラ(次男)頼む」って言ってる。

大丈夫。にぃにぃ(長男)がちゃんと支えてくれるから。


喪主が決まると、葬儀の内容。

通夜、告別式をどうするか、日にちは、会場は、

宗派は。


パパは大きな葬式は嫌だと前に言ってた。

家族だけで送ってくれればいいと。

コロナだし、最近は一日葬(通夜をやらない)が多いらしい。

「家族だけで、告別式だけで。場所はここでやります」

大きな会社の、立派な肩書きもあるパパだけど、だからこそ、会場なんて借りてやったら、パパが嫌だと言っていた大きなお葬式になってしまう。


葬儀社の人はまず火葬場を抑えないと日程が決められないと、火葬場の空き状況を調べ始めた。

お坊さんが来てもらえる日にちは大ママが電話で確認し始めた。


火葬場は14日も15日も空いていた。

でも、お坊さんは予定がいっぱいで、最短で18日だと。

火葬場は18日の12時も空いている。

告別式まで一週間。

葬儀社の人が

「それまでご遺体はどうしますか?安置所で、、、」


「パパはここで一緒にいます!どこにも行かせません!」


10年後も20年後も30年後も、ここで一緒に暮らすはずだったパパが、もうこの家にいないって、もっとお家でのんびりするはずだったのに、もうここに帰って来れないって、その上、最期は安置所で、って、あり得ません。


何の手違いか、フライングでパパを連れてっちゃった神様が、罪ほろぼしに与えてくれた一週間。

お家でのんびりしなさいと。

ゆっくりお別れしなさいと。

だからパパは最期までここにいます。


「そうですね。エアコンとドライアイスで大丈夫そうですね。耳がある間は声は聞こえるらしいですから、たくさんお話してください」


葬儀社の人、優しかった。


「あとはまだ急ぎませんが、遺影にするお写真と柩に入れる品物をご準備ください」と。


パパと相談しながら決めよう。