飲み会の時の、いつもと、ぜんぜん違う夜。


受話器の向こうの女の人が

「✕✕✕✕仁さんが心肺停止の状態で運ばれました」

と言った。


✕✕✕✕仁さんは、パパ。

さっき電話くれた、パパ。

心肺停止?

誰が?

運ばれた?

誰が?

えぇぇぇぇ~????


叫び声にもならない、「え」の発音にもなってなかったかもしれない、私の声を聞いて、自室から長男が飛び出して来た。

「どーした?」


パパが、心肺停止で運ばれたって


長男の顔色も変わる。

「どこの病院!」


どこの病院?

この電話で、私は何度も、病院の名前を聞き直した。

覚えられない。病院の名前が。

場所も最寄り駅もよく知っている、有名な国立病院。

でも、何度聞いても

「どのくらいで来られますか?」

「奥様の携帯電話教えていただけますか」

質問に答えるたびに、病院の名前がわからなくなった。


必死で女の人が言う病院名を復唱する。

長男が「わかった!」と。


行かなきゃ!早く!パパのところへ!


飲み会の時の、いつもと、ぜんぜん違う夜。