ついに宮崎県知事が宮崎への新幹線ルートとして新八代分岐の可能性に触れました。

宮崎県は交通が不便というイメージです。なんとか、宮崎県にも新幹線が欲しいものだなと思っていました。しかし、東九州ルートを作ろうにもいつできるか分かりません。そんななか新八代分岐の話が出てきたことには驚きました。

 

私は以下のように建設すべきだと思います。

1. 九州新幹線の新八代~新水俣の途中部分で分岐させ、その分岐線を球泉洞駅付近まで延ばす

2. 球泉洞~人吉は肥薩線を標準軌化

3. 人吉~吉松は高速道路に沿うように、トンネルを掘る

4. 吉松でスイッチバック(秋田新幹線の大曲と同じノリ)

5. 吉松~都城は吉都線を標準軌化、部分的に直線化し、時速130~150kmで走れるようにする

6. 都城~宮崎は複線フル規格で建設

 

地図で示すと、下のようになります。赤線は新線建設青線が在来線の改軌です。

 

1. 

© OpenStreetMap contributors

 

2. 

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3, 4. 

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4, 5. 

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6. 

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なお、1については九州新幹線から分岐の際にトンネル内分岐を建設するのは非現実的だと考えたからです。九州新幹線がわずかでもトンネルから出てくる区間から分岐を建設すべきでしょう。そして、駅から分岐するわけではなく、線路の途中から分岐するので、分岐は複線で分岐が望ましいでしょう。そうしないと、東北新幹線の福島のようなダイヤクラッシャーを作ってしまうことになりますからね。4について、吉松はかつての鹿児島本線(現:肥薩線)と日豊本線(現:吉都線)の分岐ということもあり交通の要衝なので、スイッチバックしてでも通すべきです。また、3ではフル規格のトンネルを掘ることになりますが、どちらかというと、昭和時代にクネクネしていた北陸本線(敦賀~今庄)の線形を改善するために北陸トンネルが掘られたようなものと捉えてもらえば良いです(下の図)。

 

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そもそも新幹線というと、最近の政治家は必ず全線フル規格を求めたがりますが、それはダメです。基本的にはミニ新幹線との併用整備が良いと考えます。終始フル規格に執着して税金を無駄遣いするのではなく、スピードアップすべきところにお金を使い、そうでないところはお金を節約するという発想でいきましょう。

 

肥薩線は標準軌で復旧するなんて聞いてびっくりするかもしれませんが、実は災害からの復旧と同時に狭軌→標準軌に改軌した例があります。それが近鉄名古屋線です。「いやいや、近鉄と同列で語るなんて、何をお花畑なことを考えているのだ」という意見もありましょうが、肥薩線を鉄路として復旧させる現実的な方法はこれくらいしかないと思います。というか、日豊本線ルートで全線フル規格を作る方がよっぽど非現実的ですから。

 

都城~宮崎は本来、単線フル規格で十分です。なぜ、都城~宮崎は複線フル規格で建設するのでしょうか?それは、鹿児島中央~都城~宮崎の狭軌スーパー特急「きりしま」を新幹線と一緒に走らせるためです。都城~宮崎は複線三線軌条にして、前回の記事と同じノリでミニ新幹線とスーパー特急を共に200km/h~250km/hで走らせます。こうすれば、宮崎から鹿児島に行く人にも時短のメリットがあります。なお、秋田でやっているような標準軌と狭軌の単線並列はやらない方が良いです。これは信号システムが複雑になりますし、本数が増やせなくなりますから。宮崎県に複線区間が一つもないのは嫌なので、ここは複線三線軌条にします。もし単線並列にするのなら、標準軌と狭軌の並列でなく、三線軌条同士の双単線(複線機能も持つ単線並列)にすべきでしょう。これなら片方の三線軌条の線路がダメになっても、もう片方の三線軌条の線路が生き残り標準軌の車両も狭軌の車両も走行できますから。三線軌条同士の双単線を今回の区間、前回の記事の日豊本線の区間、長崎本線・佐世保線の新鳥栖~武雄温泉、青函トンネルに導入すると良いでしょう。

なぜ、わざわざフル規格の線路を三線軌条にしてまでミニ新幹線「えびの(?)」とスーパー特急「きりしま」を同じ線路で走らせるのでしょうか?まず、都城~宮崎は日豊本線とは別個にフル規格を整備するということで、それまで日豊本線を走っていた特急が廃止される可能性があります。その際にフル規格の線路に標準軌だけ整備してしまうと、それまで特急「きりしま」(宮崎~鹿児島中央)を利用していた人たちは都城駅で乗り換えを余儀なくされます。例えば、宮崎から鹿児島に行こうとすると、宮崎~都城は新幹線利用で、都城~鹿児島中央は特急で移動という形になるかもしれません(最悪の場合)。これでは、都城~宮崎をフル規格(標準軌のみ)で整備する意味は皆無ですし、最悪です。他の事例を見てみますと北陸新幹線の整備によって、新潟から金沢の直通移動をそれまで担っていた特急「北越」がなくなり、現在は特急「しらゆき」と北陸新幹線を上越妙高で乗り継ぐということになってしまいました。そういうことを繰り返してはなりません!そこでフル規格の線路を三線軌条で整備すれば、それまでの特急「きりしま」をスーパー特急として走らせるだけなので、宮崎~鹿児島中央の乗り換えなしの利便性は保たれるだけでなく、多少の時短にもつながるのです。ぜひ「フル規格で作って複線三線軌条」という手法をこれからの新幹線整備のあり方として考えるべきではないでしょうか?

 

ここで注意していただきたいのは、この新幹線は都城駅を絶対に通すべきということです!都城駅周辺の土地買収が多少大変にはなりますが、「新都城」駅の建設で妥協したり、そもそも都城市を通らないルートにしたりするのは絶対ダメです!都城駅を通さないなら、この宮崎ミニ新幹線の存在価値は無いに等しいです。都城駅には、新幹線スペースに使えば良さげなスペースがありますから(下の写真の赤丸で囲んだ、草が生い茂っているスペース)、そこを活用すべきでしょう。都城駅の再開発のチャンスを逃してはいけません!さもないと、北陸新幹線の新高岡(V.S.高岡)や上越妙高(V.S.直江津・高田)の二の舞になってしまいますよ。(都城市の関係者の方もこの記事をご覧になっているのであれば、ぜひそう主張してみてはいかがでしょうか。)

 

筆者が撮影

 

よく、「新八代分岐なんて基本計画にないぞ」という声を聞きます。しかし、都城~宮崎の複線三線軌条の高速新線区間はまさしく、基本計画路線の東九州新幹線の一部です。また、吉都線と肥薩線の部分についてはミニ新幹線なので、基本計画になくても大丈夫なのです。また、「宮崎は高速バスと飛行機で十分」という声も聞きますが、これからは地球環境の観点からなるべく鉄道を使うべき時代なのです!飛び恥という言葉があったでしょ。飛行機やバスよりも鉄道にシフトすべきだと思います。宮崎ミニ新幹線はその切り札とも言える存在です。

 

 

宮崎に新幹線が実現してくれることを祈ります。そして、このブログで示したようなルート・整備方式であれば、肥薩線・吉都線が並行在来線とならず、持続可能なものとなります。このルート・整備方式を気に入った方は「いいねボタン」をお願いします。