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2012年1月13日号

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「旅のものがたり」は、素直な好奇心で、先入観なく世界や日本のことを
楽しもうと始めた企画です。雑学や話のネタとしてお楽しみください。

題材は基本的にいい旅のツアーから選んでいますが、時々日本の話や旅と
は関係ない話も登場します。

それでは早速、今回のものがたりをご紹介しましょう。


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【第120回】


            「世界一の石頭」



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ある南の島に、海に面した山がありました。



大昔に火山の爆発でできたその山は、それほど高くはありませんでした。


でも人は、山があれば登るものです。


島の人々は山に登り、上から魚の群れを探したりしていました。




そのうち誰かが言いました。


「この山は、魚のアタマに似ている。」


山の、海に面した部分が、ちょっと似ていたのです。



物事にこだわらない南国の人々は、山を魚の名で呼ぶようになりました。




その後、他の国から人がやって来ました。



山は結構な大きさがあるものの、平べったくて高さはありません。


でも人は、山があれば登るものです。


登ってみて、きれいな海を眺めてみました。




彼らは帰ろうとした時、あるものを見つけました。


透明でキラキラ光る、美しい石でした。



誰かが言いました。


「もしかして、世界一硬い、あの石ではないか。」



本当にそうなら、大変高価なものです。


男たちは夢中で石をかき集め、持ち帰って調べました。




残念ながら石は、ちょっと似ている別の石でした。


でもこの話が広まって、物事にこだわらない南国の人々は、山を石の名で呼
ぶようになりました。





ハワイ諸島、オアフ島で、ワイキキビーチから望める、ダイヤモンドヘッド。



古くは魚のアタマと呼ばれ、後に世界一硬い宝石、ダイヤモンドの名で呼ば
れるようになった山は、今や世界一有名な観光地のシンボルとなりました。



高さは200mほどですので、その気があれば登ってみることもできます。



遠くから見るか、実際に登ってみるか、ワイキキを訪れた際には、こんな話
を思い出しながら、世界一の石頭を眺めてみてはいかがでしょうか。





▼もうちょっと知りたい!という方はどうぞ↓


※ダイヤモンドヘッドは、20万年前の噴火の際、火口に海水が流れ込み、
水蒸気爆発によって生まれた山です。


そのため、クレーターの直径は1kmもありますが、高さは232mです。

もとは「レアヒ」と呼ばれていたそうで、ハワイ原住民の言葉で「マグロの
額(ひたい)」をさします。


女神ペレの妹である、ヒイアカが名づけたとも言われます。


※イギリス人(水夫とも探検家とも)が登り、火口付近にあった方解石(ほ
うかいせき)の結晶をダイヤモンドと間違えたため、ダイヤモンドヘッドと
呼ばれるようになりました。


※1908年から1943年までは軍事要塞として使われ、砲台も設置され
ましたが、一度も使われることはなかったそうです。


登ってみると現在も、暗いトンネルや急な螺旋階段など、その名残があるそ
うです。




▼オマケの話


※ダイヤモンドは、モース硬度(硬さの計測法のひとつ)で最高の10にあ
たり、天然で最も硬い物質です。


人間の爪が約2.5、銅や金が3、鉄が4~5、ガラスが5、エメラルドが
8、ルビー、サファイヤが9だそうです。


ダイヤは人工的につくることが可能で、ハイパーダイヤモンドと呼ばれるも
のは、通常のダイヤの3倍の硬さを持つそうです。


電気は通しませんが、熱伝導率が非常に高く、人工ダイヤモンドの板を手に
持って氷を切ると、体温が伝わって簡単に切れるそうです。




▼これであなたも物知りハカセ?


「金づちでダイヤモンドを思い切り叩くと、どうなるでしょう。」


A.無傷ではね返す
B.鉄がへこむ
C.ダイヤが砕ける


















答え C.ダイヤが砕ける


鉄の硬度は4~5、ダイヤモンドは10なので、無傷ではね返して欲しいと
ころですが、残念ながら実際には砕けてしまうのだそうです。


モース硬度は「こすり合わせてどちらに傷がつくか」という基準で硬さを決
めており、衝撃や圧力に対する強さを示すものではないためです。


あまりおすすめできませんが、ご興味のある方は試してみてはいかがでしょ
うか。




▼編集後記


硬度の話になると、子どもの頃読んだ「キン肉マン」という漫画を思い出し
ます。


悪魔将軍という敵は、体の硬さを変える力を持っており、どんどん硬くなっ
て硬度10に達し、キン肉マンの攻撃をことごとくはね返してしまいます。


キン肉マンが腕でガードをする「肉のカーテン」という技は、鉄と同程度の
硬度4.5とされ、2倍以上の硬さのダイヤモンドに勝てるわけがない、と
嘆いていました。


でも、金づちでダイヤが砕けるのなら、案外体当たりで倒せたのかもしれま
せんね。



それはともかく、硬くなっていく様子が数値で表され、とても面白かったの
を覚えています。





▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓


「定説よりも、本質を知ろう」



最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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★次回 旅のものがたり


「甘い粉雪」(仮)

それでは、来週の旅のものがたりをお楽しみに!

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執筆:黒崎 康弘
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「旅のものがたり」は、素直な好奇心で、先入観なく世界や日本のことを
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それでは早速、今回のものがたりをご紹介しましょう。


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【第119回】

                「火と水の戦い」


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あるところに、火の神と水の神がいました。



2人は姉妹で、とても美しい女神でしたが、仲が悪く、争ってばかりいました。

特に、姉である水の女神が、妹を嫌っていたようです。



ひとたび戦いになると、火の女神は真っ赤な炎を巻き上げますが、押し寄せる
大量の水には勝てず、いつも最後には負けてしまいました。


火より、水の方が強かったのです。



争いに嫌気がさした火の女神は、別の土地に移り住むことにしました。



でも火の女神は、近くに火の力がないと生きられません。


そこで、兄である別の神に頼んで海を渡り、火山を探して島から島へと渡り歩き
ました。


強い火山があれば、女神の力も強大になるのです。




ところが、それを知った姉が追いかけてきました。


水の女神はまわりに水さえあればよいので、海を渡るのも簡単です。


妹を強くさせてなるものかと、邪魔をしにきたのです。



火の女神が火山を見つける度に、水の女神は海の水を流し込んで火を消し、妹を
さんざんに痛め付けました。


そして、激しい争いの末に、ついにはバラバラに引き裂いてしまったといいます。



火の女神も神様ですので、たいていの傷なら自分で治し、よみがえることができ
ます。


しかし、火を完全に消された上にバラバラにされたのではそれもかなわず、つい
に息絶えてしまいました。


けれど、それを不憫に思った家族の力で、火の女神はよみがえりました。


そして、ある強力な火山を見つけて家としたことで、以前よりも強大な力を持つ
ようになったのです。



それを知った水の女神は、また海水を流し込もうとしましたが、その火山までは
海の水が届きません。


一方で、強大な力を持つようになった火の女神が逆襲を始めました。


ことあるごとに噴火を起こし、真っ赤に溶けた溶岩を海に流し込んだのです。



灼熱の溶岩が海に流れ込むと、猛烈な音と蒸気を立てて、火と水が争います。


相手は広大な海ですので、もちろん溶岩は冷えてすぐに固まってしまいますが、
その度に島は少しずつ大きくなり、水の女神を遠ざけました。


そもそも、その島自体が、何もなかった海に海底火山の噴火で生まれたものだっ
たのです。



今もハワイで活動する活火山、キラウェアに住むという火の女神、ペレ。



一度は命を失い、その後より強い力を持ってよみがえった火の女神は、ハワイ諸
島最大の火山島、ハワイ島でその存在感を示しています。


火と水の戦いは、水が有利に見えましたが、海底から生じた火は島を生み、水の
力の及ばないところまで育ちました。


ハワイ島を訪れた際には、今も活動を続けるキラウェア火山で、ペレの息吹を感
じてみてはいかがでしょうか。




▼もうちょっと知りたい!という方はどうぞ。↓


※ハワイの神話によれば、ペレの姉である水の女神はナマカオカハイといい、ペ
レの冒険の旅に嫉妬したという話や、夫がペレに惚れたのを恨んだという話があ
ります。


ペレの兄は、カモホアリイという海の守護者で、時にサメの姿をとるといいます。


ハワイの地に辿りついたペレは、魔法のクワを使って家となる火口を掘りますが、
その度にナマオカカハイの妨害にあって痛めつけられ、仲裁しようとした兄を押
し切って姉との対決を決意します。


1人対決の場に臨んだペレに対し、カモホアリイは海蛇を伴って現れ、ただでさえ
水に対して不利なペレは、奮戦したものの敗れてしまったそうです。


※ハワイ島は、ハワイ諸島で最も大きく、新しい島で、長く活発な火山活動を続
けました。


キラウェアは、最も活発な火山といわれる一方、山体が固い玄武岩(溶岩が固ま
ったもの)で出来ているため頑丈で、噴火しても山自体が吹き飛ぶことがないた
め、最も安全な火山ともいわれます。



▼オマケの話


※キラウェア火山(1247m)の活動は以前ほど活発ではなくなりましたが、
火の女神の力が弱まったのではなく、別の理由があります。


地球の内部には、火山活動の元となる、ホットスポットと呼ばれるマグマ貯まり
があり、その上にプレートがあって、プレートは少しずつ動いています(1年に
数cm)。


ホットスポットの位置は変わりませんがプレートは動くため、ひとつの島がいつ
までも育つのではなく、数十万年から100万年くらいの周期で、離れた場所に
新しい島を生むことになります。


古い順に、カウアイ島(500万年前)、オアフ島(350万年前)、ハワイ島
(50万年前)という島が生まれて、それがハワイ諸島と呼ばれ、現在はまた別
の場所で海底火山が活動しています(ロイヒ海底火山)。



クリックで拡大↓
旅のものがたり-プレートと海底火山のモデル図



一方で、水の女神も負けてはいません。


成長を終えた島は、少しずつ海の水に削られて、小さく分断されていきます。


また、プレートが移動して沈み込むと、小さく脆くなった島は海に飲み込まれて
しまうこともあるそうです。


火の女神が勝利を収めたかに見えた、火と水の戦いは、これからもずっと続いて
いくようです。




▼これであなたも物知り博士?

「ハワイ諸島がプレートの移動によって動いていくと、ずっと未来にはどこへ行
くでしょう。」



A.アメリカ本土
B.北極
C.日本









答え:C 


日本


仮に侵食やプレートの沈み込みでなくなってしまわないとすれば、1億年くらい
未来には日本の沖合いにハワイが見えるのだそうです。


沈み込むプレートの他に、衝突して盛り上がるプレートもあり、日本列島やヒマ
ラヤ山脈がこれにあたります。


ヒマラヤや日本の一部(丹沢あたり)は、今も年に数mm成長しており、近くの
台湾も少しずつ隆起しているのだそうです。




▼もっとよく知りたい!という方はどうぞ↓


※キラウェア火山は活発な活動を続け、20世紀中に45回も噴火しました。


※太平洋プレートは年に5cmほど、100万年で50kmほど、北西に向かって
移動しています。


そのためハワイの島は、北西に行くほど古いために小さく、南東に行くほど新しく、
大きくなります。北西部には小さくなって水没してしまった島もあるそうです。


ハワイ島は、もっとも大きな島としてビッグアイランドと呼ばれますが、もしかし
たらもっと大きい島が過去にはあったのかもしれませんね。



日本とハワイの距離は6400kmほどなので、ハワイ諸島が年に5cm進むとす
ると、1億2800年後に日本近海に到達する計算になります。



※現在、火山活動の中心は、ハワイ島の南東29kmほどのロイヒ海底火山に移っ
ています。


このまま火山活動が続けば、いずれはいずれはロイヒ島が生まれると思われますが、一説には、数万年後に水面に顔を出したロイヒ火山は、キラウェアとつながっ

てさらにハワイ島を大きくするといわれています。


※火と水の激しい争いに、島に住む人々は翻弄され続けました。


火山が噴火して溶岩を流し、地震が津波を引き起こして島を洗います。


そんな歴史がハワイに独特の神話を生み、語り継がれてきたようです。


女神ペレは、美しくも炎のように荒い気性を持つ、かなり強烈な個性の持ち主と

して描かれています。



▼編集後記


あけましておめでとうございます。


年末に風邪をひいてしまい、12月29日の仕事治めの納会は、半ばボーッとし
ながら参加していました。


子どもの頃からそう簡単に風邪はひかないのですが、弟たちが順にひいて、最後
に私がうつされるというパターンでやられてきました。


最近では、子どもがひいてカミさんがやられ、最後に私がうつされるというパタ
ーンに変わっています(変わってないか)。


そんなわけで30日は夜8時、大晦日は7時に寝てしまったので、気がついたら
年が明けていたという、何とも間の抜けた年越しとなりました。



でもありえないくらい寝たおかげで、ようやく元気になりました。


今年も1年、よろしくお願いします!




▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓


「よくも悪くも、今の状態が続くとは限らない。広く先を見て、弛まぬ努力を。」




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今年1年が、よい年でありますように!

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【第118回】

            「囚われの王」


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むかしある国で、わずか2歳の男の子が王様になりました。

男の子は家を離れたくないと泣きましたが、すぐにお城に連れて行かれ、わけ
もわからないままに王様にされてしまったのです。


偉いはずなのに、お城から出ることも許されず、どこへ行くにも家来たちがつ
いてまわりました。

着替えも食事も、靴をはくことさえも家来が行いました。

でも男の子は、何でもしてもらえる代わりに、囚われの王様でした。


実感が伴わないまま成長していくものの、即位からわずか3年後に革命が起こり、
帝国は滅んでしまいました。


でも、権力は失ったものの、新しくできた国の方針で王様は尊重されたため、
生活はほとんど変わりませんでした。


男の子は、お城の中ではまだ王様だったのです。

そしてもともとお城からは出られなかったので、生活は何も変わっていません
でした。


暇を持て余した幼い王様は、そのうち誰もが自分の言うことを聞くことに気づ
き、家来をいじめて退屈しのぎをしましたが、文句を言う者はありませんでした。


それでもそのうち分別を身につけて、良いことも行いました。


物事がわかるようになると、宮中の不正を一掃し、無駄な出費を減らしました。

また、貧しい人々に恵みを施し、隣の国で大きな地震があった際には、お城に
あった宝石をかき集めてお見舞いとして贈りました。

何の魂胆もなく、ただ相手のためを思っての行動だったといいます。

それに、幼くして王となった彼は、人に物を分け与えて自分が困ることや、財
産が尽きるなどということは想像もできなかったのでしょう。


良いことも悪いことも、あまり実感を伴わずに行い、周囲のが急速に変わって
いたことにも気づいていませんでした。

彼にはまだ、王様としての生活が保証されていたのでした。


しかしその後の大きな波で、運命は大きく変わります。


王様としての特別待遇がなくなり、いきなり一般市民にされてしまったのです。


たくさんもらっていたお金も減らされ、もう自由に使えなくなってしまいました。

これは大きなショックでした。

お城からも追い出されてしまい、自分のものと信じて疑わなかったものを、全
て取り上げられてしまったのです。


それから元王様は、以前に宝石を送った国の力を頼って、再び帝国を興すこと
だけを考えるようになります。

そして、10年ほどが経ったころ、念願かなって新しい国の皇帝となったのです。


しかし、実権はその国が握り、皇帝は操り人形でした。


そしてその国が戦争に負けると後ろ盾を失い、逃げようとしたところを捕まって
しまいました。

今度は罪人として、本当に囚われの身となったのです。



収容所での生活が始まりましたが、ついこの前まで皇帝だったので掃除もろく
に出来ず、着替えも自分でしたことがないため、靴の紐すら結べない有様でした。

しかし、始めて経験する生活に困惑しつつも真面目に努力して、模範的な生活
を送ったため、ついに許されて自由の身となることができました。


その後は知り合いの紹介で職につき、普通の暮らしを送ったといいます。

また、初めて自らの意思で結婚し、自分が選んだ女性と晩年を過ごしたそうです。

遅まきながら、囚われの王はようやく自由の身となり、自らの人生を見つけた
のでした。



中国最後の王朝、清国の皇帝にして満州国の皇帝となった、ラストエンペラー、
愛親覚羅溥儀(あいしんかくら ふぎ)。


激動の生涯を追ってみると、温厚で礼儀正しい一方、激しやすくて臆病な、実
に人間臭い面が見られます。

中国、大連に残る大連ヤマトホテルには、かつて満州建国の前に溥儀が3ヶ月
以上も滞在しました。


事実上の軟禁で、外出の自由は認められず、窓から外を眺めつつホテル内で過
ごすしかなかったといいます。


囚われの王が見た風景とはかなり変わっていると思いますが、大連を訪れた際
には、そんなことも思い出してみてはいかがでしょうか。



▼もうちょっと知りたい!という方はどうぞ。↓

1906年に北京で生まれ、2歳で清の12代皇帝に即位。
1911年に辛亥革命が起こり清王朝が滅亡。1912年に退位。
中華民国は皇帝の身分を保証したため、溥儀の生活は変わらず。
1924年には皇帝の座を剥奪。実家に帰る。

1934年、満州国の皇帝に即位。
1945年に日本の敗戦により退位。日本に亡命を試みるがソ連に捕まり、東
京裁判の証人として証言した後、中国政府に引き渡され、戦犯収容所に入れられる。

1959年 特赦によって放免され、北京の植物園で働き始める。
1962年、5回目にして初めて、自らの意思で結婚する。
1967年、腎臓癌により死去。


※溥儀は、宮中で頻繁に行われていた横領などを追求し、目録を作らせました。

しかし不正を働いたものが蔵に火を放って証拠を隠滅したことに激怒し、宦官
1200人ほどを一斉に解雇したといいます。

※関東大震災の際、溥儀は日本に多額の寄付を行いました。

日本ではその意に感じ入り、贈られた宝石は換金せずにそのまま大事に保管し、
その評価額を捻出して、被災地の救援にあてたといいます。

※大連ヤマトホテルは当時の最高級ホテルで、著名なお客を多数迎えました。

宿泊した中には、夏目漱石といった名もあるそうです。



▼オマケの話

※溥儀は即位と退位を3回も繰り返し、結婚は5回して2人を亡くし、もう
2人とはそれぞれ離婚しています。最後の妻だけが添い遂げ、溥儀の最後を
看取ってくれたのでした。

ちなみにこの李淑賢という女性は元看護婦で、仲の良い夫婦であったとも、
溥儀がすっかり恐妻家になったともいわれます。

元清国皇帝である溥儀の治療を行うことで「反革命的」とみなされることを
恐れた医師たちは、入院をなかなか認めず、溥儀は癌が末期状態になるまで
自宅療養を余儀なくされた上、入院した後も満足な治療を受けられなかった
そうです。

最後を看取ってくれた元看護婦の妻の存在は、溥儀にとって大きな救いとな
ったかもしれません。







▼これであなたも物知り博士?

「生涯の多くを囚われの身として送った溥儀ですが、一方で当時最先端の移
動手段も手に入れました。溥儀が所有したものは?」

1.電車
2.飛行機
3.車









答え: 車

英語の家庭教師となった、スコットランド人のジョンストンの影響を受け、
自転車や洋服、電話、そして自分専用の車も手に入れました。

宮中から出ることはできませんが、恐らく敷地内を移動する際に利用して
いたのでしょう。もちろん自分で運転することはなかったと思われます。

また、欧米の文化や技術に感銘を受けて留学も希望しましたが、それは叶
いませんでした。
 


▼編集後記

2歳までの僅かな期間を除くと、最後の結婚から死去までの5年間だけが、
溥儀の60年ほどの人生で唯一生活を実感できた、自由な期間であったと
いえそうです。

幼少の頃はわけもわからずいたずらを繰り返し、青年となってからも不安
と焦燥に駆られて取り巻きに残酷な仕打ちを行ったことがあったようです
(上位の者に下位の者を殴らせ、死者まで出したといいます)。

また、東京裁判の折には自分は被害者だと主張して、全てを日本のせいに
しようと醜態をさらしたことを、後の手記で語っています。

物心ついた時から皇帝であることを求められた溥儀にとって、皇帝である
ことが全てでした。執拗に皇帝であろうとしたのは、自らを取り戻すため
でもあったのでしょう。

晩年も恵まれたとは言えませんが、彼の特殊な生涯を思うと、せめて奥さ
んとの間に心安らかなひと時があったことを願います。


今年もわずかあと2日。

いろいろなことがありましたが、年末くらいはゆったりしたひと時を過ご
したいものですね。



▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓

「強い立場でも、人に与えられたものか、自ら得たものかは覚えておこう。」



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「火と水の戦い」(仮)

それではよいお年を!

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