霊峰 伯耆大山 | 今日も まっ晴れ! 鉄道回顧録

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  いつかは伯耆大山と山陰本線の蒸気機関車を絡めて撮ってみたいとの気持ちを常に持ち続けていたのですが、如何せん大山が見える区間は町の中のゴチャゴチャとした所を走っているイメージがあり、つい風光明媚な海沿いの路に足が向いてしまいがちでした。

 

 いよいよ山陰本線の蒸気機関車終焉の時が迫ってきた昭和49年の晩秋。焦燥感に苛まれながら、毎日のように大山が冠雪するような冬型の気圧配置にならないかをチェックし、11月下旬にようやく其の時がやって来ました。

 

 高校に上がった頃からはモノクロ一辺倒の撮り方をしていたのですが、この日ばかりはメインのカメラにネガカラーフイルムを詰め飯梨川の左岸堤防でD51の牽く貨561レを待ちます。

 当日は大山の山々の木々が一本一本確認できるのではないかと言うほど空気が澄み渡り、大山と山陰本線の列車を撮るのに此れ以上の日和はないような最高の気象条件でした。

 

 やがて安来の町を出てきたD51貨物列車は飯梨川の堤防を始めたその瞬間!D51の吐き出す煙で大山が隠れるのではないか?との不安が過ぎりました。 その予感は的中し、D51の煙は北風でフワフワと踊るように舞い、肝心の大山はD51の白煙の中に見え隠れしています。

 

 もう後はありません!D51の煙が強い風で煽られ、一瞬だけ大山の山頂が見えたその瞬間を逃さず、もう必死でシャッターを切りました。

山陰本線 安来-荒島  1974年11月

 

 飯梨川を渡り始めたD51は絶気運転に入り、カラカラと私の横を通り過ぎて行きました。そして、これが山陰本線の現役蒸気機関車最後の撮影となったのでした。

 

最後までお読み戴いて ありがとうございました。