新しい言語をゼロから構築するということは、母語で考えないということです。

 

そう言うと、必ずこう反論されます。

「そんなこと言っても、母語そのもので思考しているんだから封印なんかできるわけない。」

 

これ自体が、間違いです。正しくは、

「考えたことを母語に翻訳している」です。

 

言語の構造を図案化したものがあるのでご覧ください。

 

 

この図で、ハートの部分が心の感覚。これは、どの国の人も共通。後天的に習う第一言語(母語)は、神経回路(ルート)Aを通ってたどり着きます。

心と母語は、別の場所にあります。もし心の思考と母語が同じなら、演説とか演劇などで話したいことが出てこないという現象への説明がつきません。心と母語はイコールでないからこそ、緊張したりすると出てこなくなるのです。

 

だからこそ、封印するのは簡単です。心で考えたことを母語に「翻訳」しなければいいだけのことです。

「何の言語でも思考していない時間」は、実は母語で思考している時間よりもはるかに多いからです。

例えば、車を運転している時、目の前の全部の情報を「言語化」していますか?

信号や歩行者や他の走行車の様子、そんなものをいちいち言語化していたら間に合わないはずです。スポーツの試合中とか楽器演奏中とか、言語で思考していたらプレイできません。食事なども、そうです。某グルメ漫画みたいに言語化して食べてないはず。

私はこれを「無言語思考」と呼びます。日常生活でそれを観察し自覚すれば、意識的に無言語思考を作ることができます。

 

「翻訳」とはこの図で言えば、言いたいことがあったらまず神経回路Aを通って母語の資料庫に行き、そこから翻訳のルートCを通って、ようやく外語の資料庫に行きつく。

そんなことをしていたら、とても遠回りです。

なので、このルートは建設してはいけません。

 

そこで、外語資料に直結する専用道路を作るのです。それが神経回路Bです。

しかし、使い慣れた神経回路Aとちがい、建設途中の神経回路Bはとても細くて長いです。なので、太くて短い神経ルートAを封鎖しないと、どうしてもそっちに流れてしまいます。

 

無言語思考とは、どのルートも使っていない状態です。この状態から、神経回路Bだけを開放するのです。すると、細くても長くてもこの道を使わざるを得なくなります。

そして、神経回路は反復によって短く太く育つので、やがては母語のように使いやすくすることができるのです。

 

「本当のバイリンガル」とは、この神経回路を2本持っている人を言います。

それぞれ独立した神経反射と資料庫を持ち、それを操れる人です。

 

なので、ルートCを作ってしまったらもうバイリンガルにはなれません。

母語を封印すること、反復練習によって神経を太く短く鍛えること、それらが本当のバイリンガルになるための必須条件です。

 

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