多くの人が、必死に単語帳や文法や翻訳で勉強した知識を暗記しても「しゃべれるようにならない」のは、なぜでしょう?
ある場面に遭遇すると、今まで覚えた知識をいろいろ思い出し、つなげ、やっと口に出しても、途切れ途切れでなんとか通じればホッと一息。
「だけど、これって、『しゃべれる』って言えないよなあ」と反省して、色々と考えます。
例えば。
「単語が足りないのかなあ?」
→単語をたくさん「暗記」しても、とっさに思い出せず混乱するばかり。
「流暢に言えるように、教科書の文を丸暗記してみよう。」
→教科書通りの文がそのまま使える場面なんてありえない。
「基礎から、やり直そう。」
→これらは知ってることばかり、問題はそこじゃない。
どれをやっても、問題は解決しません。
こうして「何をどうすればいいかわからない」状態になり、迷宮に迷い込むのです。
これらはすべて、ある一つのことで解決します。
今の状態のままいくら自分で方法を考えても、迷いからは抜け出せません。
外語習得は「覚える」のではなく「目覚める」ものだからです。
「目覚める」前には、何をしても無駄。
同じ言葉を口に出しても、聞いても、目覚めた後は全く違う感覚になります。
役者さんとか運動選手とか芸術家や音楽家などでは「開眼」と言う言葉を使います。
その発達は、横方向ではなくいきなり縦方向に上がるのです。
つまり、次元が変わるのです。
かつては母語を習得する過程で誰もが持っていたその感覚。
「その感覚」から音を出しているのか、それとも眠ったままなのか?
それは、具体的には示せませんがハッキリとわかります。
そここそが、母語と外語の一番大きな違い。
無意識にでもその状態になった時、私たちはこう言うのです。
「そう、その感覚!」
「いま、口から無意識に出た感覚。『外語脳』で直接しゃべるって、そんな感じ。」
あるいは
「いま私、あなたの知らないはずの言葉をたくさん使ってズラズラ話しましたよね。そしてあなたは日本語で考えることもなく、無時間でわかりましたよね?」
などの言葉をかけます。
すると
「あれっ、私さっき全然日本語で考えてなかったしあんなに速くしゃべられたのに、どうしてわかったのかな?」
と自覚します。
実は「日本語で考えていない」から、中国語が入るのです。
日本語が先に入ったらそれが邪魔になり、中国語が入る隙間はありません。
この感覚に目覚めると、言語能力は異次元に進化します。
ちょっと前まで一言もしゃべらなかった幼児が、どんどん話し始めるように。
この感覚を自覚し育てる前には、単語だの文だのはただの道具でしかありません。
道具の数、つまり覚えている知識の量は問題ではありません。
この感覚が目覚めれば、単語でも文でもほぼ自動的に吸収できるから、無理をして覚えるよりもこちらの開発が先なのです。
多くの人は大事なことをやらずにどうでもいいことに必死になるから、努力と成果が比例しないだけです。
才能がないとかじゃ、ないのです。
そこを教えないと「外語難民」はいなくなりません。
しかしそこがどこなのか?それを知る人はほとんどいません。
それを知らなければ、自分では重要性を自覚せずに逃してしまう。
私が、10年中国語を習っても全くしゃべれなかった人をわずか半年で覚醒させた時には、そこを教えただけでした。
水を吸うだけで自らが成長していく樹木のようになってしまえば、あとはほぼ自動的に進歩していけます。
これを知れば、あらゆる語学に対して迷いはなくなります。
*まず自分を「成長する樹木」のように準備する必要があります。
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