ロードスブログを始めてからもう一ヶ月以上経ちました。
思えば、10月の初めにレンさんのブログを知ったことが、当ブログ開設のきっかけでした。
あの時の喜びは今も忘れておりません。
ずっと孤独にエトファンを続けてきた私にとって、他にエトファンの方がいらしたというのは本当に歓喜の出来事でした。
これまで多くのエトファンの方と交流ができて、本当にこれほど嬉しいことはないという気持ちでおります。
今まで持病の怠け癖で中途半端にゲーム日記をやるくらいだった私が、エトという狭義なテーマで、これほど頻繁に更新ができるとは思ってもみませんでした。
そして今まで個人的に書いてきた小説を、他の方に読んでいただくという、小文書きにとって至福の喜びであり、最高に緊張する出来事を迎えることができたことも、本当に嬉しく思っております。
そして来ていただく方のHPを通して、いろんな方のロードスHPを知ることも出来ました。
これからも本当によろしくお願いします。
えー、そんな訳で、ご挨拶も無事済みました。
あしゃらなーた様から頂いたシチュ、超即行で小文を書いてしまいました。
一応全年齢向けのブログですので、危ういシーン寸前まで。寸止め推奨。
では、ご覧下さい↓↓
ノックの音がしたのは、エトが聖書の158ページ目に差し掛かったときだった。
ファリスの聖印が刻まれた金色の栞を挟み、読書机から立ち上がる。
「はい、エト、おります」
「失礼します、エト司祭」
入室してきたのは、フレイムの騎士だった。意外さに首を傾げたくなる気持ちを堪え、エトは直立したまま、先に話しかけた。
「本国の方、大変ですね」
風の部族だけで建国したフレイム王国に、前族長の死後行動を潜めていた炎の部族が急襲してきたのだ。カシューとシャダムという、二人の主人がいないブレードは防戦一方に追い込まれているという。
「ご心配頂き、ありがとうございます」
この壮年の騎士も、本国に家族などを残してきているのだろう。内心はヴァリス対マーモの戦どころではないに違いない。
しかし、ヴァリスはフレイムに残ってもらわねば困る。同盟を組もうと思っていたアラニア、モスはそれぞれ内乱の渦に飲み込まれ、とても派兵どころの騒ぎではない。
カシュー王は急襲の報せを受けた後、自室に籠り、シャダムと話し合いを続けているという。仕方のないことだろうが、もちろんヴァリスを大事に思うエトは吉報を待ち望んでいる。
「ヴァリスとしては、ご無理は言えませんが…」
「皆様のお気持ちは主君カシューも良く存じ上げております。ファーン陛下のお気持ちも」
ですが、と続けたそうな騎士の顔を見ながら、エトはため息を堪えた。
マーモ、いやベルドの猛攻に、この国は耐えられるだろうか。平原は攻め込まれれば、一たまりもない。
「実は、そのことで」
5秒の沈黙の後、フレイムの騎士が口を開いた。
「カシューが、エト司祭とお話をしたいと申し上げております」
「…は?」
あまりの唐突さに、言葉もない。
何故、僕に?記憶の回路を拾い集めたが、カシューが目をかけていたのはパーンの方で、エトは挨拶程度の会話しかしていない。一応宮廷付司祭と銘打っているが、軍議で積極的に会話をした覚えもない。それなのに、どうして?
「…あの、失礼であれば、お詫びを致しますが、」
「何でしょうか?」
「何故、私が…?」
自分に手を翳すと、騎士は表情を変えないまま、こう告げた。
「カシューからの、たっての希望なのです」
「はい…」
エトが聞きたかったのは、理由だ。
「一先ず、カシューの部屋にお越しくださればと思います」
おそらく、この騎士はこれ以上のことを伝えられていないのだろう。彼と話をしていても、先には進まない。
「畏まりました。すぐに」
着替えがあるのでと断り、エトは箪笥から正装を出してきて、着替え始めた。
やはり、分からない。司祭衣のホックを留めながら、思いっきり首を傾げた。
何故、僕なのだろう。パーンじゃないのだろう。隣にいるのに。
ローブを上に羽織り、姿見で確認するまで、分からなかった。
「お待たせしました」
それでも、直々の呼び出しだ。エトが断るのは失礼に当たる。
ファーン陛下やジェナート聖下の総意を伝え、是非とも逗留を願おう。そう思い、エトは騎士の後ろについた。
エトの白い立ち姿と靴音は、やがて漆黒の闇に消えていった。
「突然呼び出して、申し訳ないな、エト殿」
貴賓棟までは十分の道程だった。室内にはカシューとエトの姿しかない。シャダムの姿がないことをまた意外に思ったが、エトは礼を失さず、腰を屈めて一礼する。
「とんでもありません、カシュー陛下」
「顔を上げてくれ。ここは謁見の間ではないのだから」
促されたため、ゆっくりと顔を上げる。立派な髭を蓄えた精悍な顔立ちは、幾分疲れたようだ。あまり顔色が優れない。
近くの大机の上には、フレイムの詳細地図が置かれていた。たくさん書き込みがされ、チェスの駒がたくさん置かれている。
エトの視線が地図に吸い寄せられたことに気付き、カシューが話し始める。
「司祭殿も知っての通り、大変なのだ」
黒いチェスが炎の部族だという。
「新しい族長はまだ若い女性だ。父とは違い、暗黒神を信仰せずに部族を纏め、しかも」
騎士の駒を指で弾いた。ぐらぐらと傾ぎ、駒は地図に倒れる。
「炎の魔神を召喚するのだ」
「炎の魔神…でございますか?」
「ああ。だが、我々は風の魔神を呼び出せない。強力な精霊使いがいないものでな。砂漠の民にとって、魔神というのは守護神であり、最強の存在だ。風の部族は、持たないかもしれない」
傭兵王の苦しみは、エトには理解できなかった。エトはあくまで司祭だ。政治や戦のことなど、今まで考えたこともない。
しかし、戦に苦しむ部族の人たちの無事だけは祈ることができた。胸で聖印を切り、至高神の加護を、と小さく祈る。
そんなエトを見て、カシューが言の穂を継ぐ。
「俺は、迷っている」
ハッとした。主語は抜きでも分かる。
カシュー王が風の部族とともに築き上げた王国、フレイム。自国の興亡の危機を背に、他国の争いに首に突っ込む暇など、カシューにはないのだ。
だが、エトはカシューが国を思うのと同じくらいに、聖地であるこのヴァリスが大事だ。今、頼まねば。
「カシュー陛下」
「何だろう」
「私個人として、陛下にお願いがございます」
まっすぐに目を見上げる。
「本国での危機には私も胸を痛めております」
「ありがたい言葉だ」
「ですが、私は…」
もう一度聖印を切る。
「ぜひとも、カシュー陛下に、当国に留まっていただきたい。そう思っております」
やはりか、という顔をするカシューに、深く頭を下げる。
小さな頭をじっと見つめていたカシューは、「頭を上げてくれ」と告げた。
「ヴァリスの方々の気持ちはよく分かる。ここは至高神の聖地だろうからな。だが、俺にも愛国心はある。だからこそ、迷っているのだ」
「ご心中、お察しします」
だが、譲らないという顔をした後、もう一度頭を下げるエトを、カシューがまた見つめる。エトもまた、頭に刺さる視線には気付いていた。折れるわけにはいかない。もし帰られたら、と思うと、ぞっとする。
「…司祭殿が、そこまでなさるなら、留まっても構わぬが…」
思わず頭を上げた。上げたところで、自分の顎に手をかけられた。
「だが、それは司祭殿の返答次第だ」
息が詰まった。カシューの目が、王から男に変わっていたためだ。値踏みし、視線で衣服を剥ぐように、体を嘗め回していく。
ようやく、ここに呼び出された意味が分かった。
カシューは、きっかけを探していた。そして、それが自分だった。
自分の体が、交渉の条件だったのだ。
エトは迷っていた。もちろんそんな経験はない。一生ないだろうとも思っていた。
だが、ここは瀬戸際だ。聖地を、密かに思う姫を守るために。
3分悩んでから、
「…分かりました」
カシューの視線を正面から受けた。顎にかかる手に力がこもる。
「素晴らしい心がけだ。そうまでしても、この聖地が大事かな?」
「…ええ」
「そうか。では、早速交渉を始めさせていただくとしよう。ご多忙な司祭殿を長く引き止めても申し訳ない」
エトの手を引き、寝室への扉を開ける。巨大なベッドには、枕が二つ置かれている。
「服は脱がなくて結構。脱がせるのが趣味なものでな」
流れるような動作で、ベッドに押し倒された。
高鳴る鼓動を悟られないように、きゅっと口を結んだ。
「まずはここから取らせていただこう」
頭の帽子が、近くの小机に置かれる。
ふと、居間の方で、足音がした。
身を硬くするエトに笑いかけ、カシューが「シャダム」と声を張り上げた。
「はい、陛下」
「明け方になったら、一個中隊を連れて、ブレードに出立しろ。後は任せる。こちらは俺だけで大丈夫だ」
「畏まりました。失礼します」
扉が閉まる。
「さあ、成約された。始めよう」
襟首のホックが外された。
ここから先は大人の部分ですわ。さあ、どう読んでいただこうかな。今悩みに悩んでます。
とりあえず、あしゃらなーた様、こんなのでいいですかー?