ブログネタ:ホールで食べたいのはケーキ?ピザ? 参加中私はケーキ派!
本文はここから桜花出張版です。
『桜花』は姉のなおと私ethlinが勝手にリレーして勝手に盛り上がっている、薄桜鬼の二次小説です。
ほとんどオリジナル展開ですので、苦手な方はご遠慮ください。
『桜花』のメンバーは全員心に傷を負っています。
私の方では触れていませんが、新八さんもそうです。
親友小宮を壊され、その妹の心を守りきれず傷つけてしまっています。
それをずっと後悔している。
復讐による贖罪…その思いだけがきっと今の彼を突き動かしている。
「だー!疲れた!」
俺、永倉新八はStaff Roomのソファーに倒れるように座り込んだ。
午前は配達、昼からCafeのデリバリー、夕方は花屋で接客、そして閉店作業と大忙しだった。
左之助が休み、総司は勉強会で一日いない、近藤さんはホテルのブライダルプランの件で出かけた、源さんはぎっくり腰で休養、島田は子供が熱を出したって早退…休日だった土方さんが急遽予定をキャンセルして店へ出てくれたおかげでなんとか回った、ってな一日だ。
これで夜の仕事…あぁ…ホストクラブな、それもやれって話になったら冗談じゃねぇ!って大暴れるところだ。
ため息をついているとStaff Roomのドアが静かに開いて、斎藤が俺の側へ近づいてきた。
「新八、ご苦労だった。昼飯もろくに食えぬ状況だったな。何か簡単なものでも作ればいいのだが…生憎食材に余裕がない。甘いモノでよければ、Cafeのショーケースの中にキャンセルになったホールのケーキがある。ケーキごときではあんたの腹は膨れんだろうが…食ってくれると俺は助かる」
「うぉ!マジ!食う!食う!この際ケーキでも何でも食う!疲れた時は甘いモンだよな~」
「俺は副長の手伝いに行く。今日の用事をキャンセルしてまで来てもらったからな、せめて早めにここを出ていただきたい」
「いってらっしゃーい!俺はCafeでひと休みさせてもらうぜ!」
花屋へと向かう斎藤を見送り、俺はCafeへと向かった。

「ケーキケーキと…あった!で…どっちを食えばいいんだ?」
ショーケースの中には二つの箱があった。
18インチくらいのホールのチョコケーキが入った箱。
それと12インチにも満たない、苺の乗った小さなのホールケーキが入った箱だ。
「腹の減り具合からしたらチョコケーキだが…でっかい方を食ったら『あんたの腹は底なしか?』なんて言われそうだな。ここは小さい方で我慢するか…」
湯を沸かしコーヒーを淹れて、俺はカウンターに座った。
「ん!うめぇ!斎藤天才!俺でも金出して食いたいと思えるんだからな、斎藤のケーキはよ」
あっという間に2/3は平らげたところで俺は携帯を取り出し、明日以降の予定を確認した。
「土方の代休は…いや、今日は用事があるって言ってたからな、本人に聞いた方がいいよな。みちるさんの用事…だよな。…悪い事したな。あの人の事なら代休なんざいらねぇって言いそうだが、そんなわけにはいかねぇよ」
俺達の裏の事情に巻き込まれ、時間が止まってしまったみちるさん。
姉のように慕ってきた、俺にとっても大切な人だ。
みちるさんに笑顔は再び戻ったが…壊された時間は二度と戻らない。
再び幸せを掴む事は出来ても、失った幸せも命も二度と手に入れる事は出来ない。
「くっそ…赦さねぇからな…芹沢、新見。俺達の大事なもんを全部…全部ぶっ壊しやがって!」
フォークを残りのケーキにグサリと突き刺した。
繊細なケーキは見事に崩れ、無様な姿を晒している。
「みちるさんも明里さんも…小宮も…皆苦しくて苦しくてしかたねぇのに、それでも生きてんだ。息して、毎日を生きてんだよ。無様でも…皆生きてんだ。壊れても皆生きてんだよ。前と違っちまってもまだ生きてんだよ!皆!そんな姿を見てお前らはせせら笑ってんのかよ!」
テーブルを強く叩いた瞬間、コーヒーカップが床に落ちて小さな音を立て壊れてしまった。
「あ…やべぇ」
俺は慌てて欠片を拾い集める。
「つっ!切っちまった」
陶器の破片で切れた傷から、血が溢れ出した。
俺はぼんやりと、止まらない赤い血を眺めていた。
(こんな傷、すぐに塞がる。でも、心の傷は塞がらねぇ。一生引きずって、守りきれなかった奴は、一生贖罪を背負って生きていく。俺達が傷つくのはかまわない。だが、俺達の大切な花を傷つけたのは絶対に赦せねぇ。これ以上傷つけられるのは…絶対に許さねぇ)
「新八、何をしている。怪我をしたのか?」
「斎藤…わりぃな…カップ割っちまった」
バツの悪そうな顔で謝ると、斎藤は黙って床に散らばるカップの残骸を拾い集め始めた。
「あんたらしくもないな、心乱すなど。しかしあまり内に溜めるのもどうかと思う。言いたい事があれば言えばいい。あんただけじゃない。皆同じ想いを抱えている。あんたの事を馬鹿にする者も咎める者もここにはいない。ただ、ここに来る花達にそれを覚られてはいけない」
「そうだな…すまねぇ…らしくなかったな、俺」
「悪いとはひとことも言ってはいない。感情が堪えきれなくなる前に俺達に相談しろと、そう言いたかっただけだ」
「斎藤は強いな…一人ふっきれちまってよ」
「…」
斎藤だって完全にふっきれたわけじゃねぇだろう。
心の奥底では復讐の炎が静かに揺らめいている。
ただ、それを表には出さない。
それが斎藤一って奴だ。
「ここの後始末は明日の朝に行う。頭に血が昇っていては傷が増えるだけだからな。それから副長にはもう帰っていただく事にした。今日は立ち寄るところがある。故に少しでも早くここを出た方がいい」
「じゃあ後は花屋の後始末だな」
「あぁ。新八、疲れているところを悪いが手伝って…」
「ん?どうした、斎藤」
ケーキーのショーケースを覗いていた斎藤の台詞が止まった。
「あんた…ここにあった小さい方の箱を知らぬか?」
「小さい方の箱?いちごのケーキの事か?それなら食ってる…ぜ?」
斎藤は何故か鬼のような形相で俺を見ている。
「な…どっどうした?」
「食ってる…そう言ったのか?」
「ケースの中のケーキを食っていいって斎藤が…」
「お前はアレを食ったと言うのか?」
「なっなんだよ、斎藤。おっかねぇ顔して…おいおい…マジで怖いぜ。まさかゆすらちゃんへのお土産だった…とか?」

「アレはゆすらへの土産ではない。副長からのオーダーで特別に仕上げたものだ。『一人前のワンホールケーキを頼む。必ず白い生クリームと苺で仕上げてくれ。カロリーなんざ気にする奴じゃねぇからな、とにかく美味いのを頼む。森に住んでる妖精のくせに、舌が肥えててかなわねぇ』これであんたは気がつかないか?」

「まっまさか…ethlinちゃんの…」
「そうだ」
「マジ?」
「マジだ。この俺が冗談を言うと思うのか?」
「マジ?…マジで…マジですいませーん!」
その後の事はよく憶えてはいない。
諦め顔の土方さんと鬼みたいな斎藤に土下座しながら、全力で謝った事以外はひとつもな(苦笑)

「歳三さん、本当にいいんですか?」
「構わねぇって言ってるだろ。どんな理由であれ、俺がお前との約束をすっぽかした上に夜遅く呼び出して、しかも土産の一つも渡せなかった事は間違いない。それよりも、ちゃんと腹空かしてきたんだろうな?」
「はい!朝ごはんは果物と紅茶しか口にしてこなかったから、もうお腹ぺこぺこです」
「クククッ…いい心がけだ。いいか、オーダーを取りに来たら俺の言った通りに注文するんだぞ」
「はい!」
先日の歳三さんとの約束がドタキャンになった私は、今日Cafeでお昼ご飯をご馳走になる事になった。
歳三さんは代休も貰えないくらい忙しいし、貴重な休み時間を私のために割く事は申し訳なかったけど、『仕事をサボるいい口実になるから気にするな』と言われ、私はその言葉に甘える事にした。
「ククッ…来たぜ、ボーイさんがよ」
「オーダーお伺いします、おっ…おじょ…ethlinお嬢様!」
「はい?」
名前を呼ばれて顔を上げた。
そこにはスーツ姿の永倉さんがいた。
「永倉さん!どうしたんですか!?めっちゃスーツじゃないですか!」
夜の仕事でもしっかりスーツを着崩してしまっているのに、今の永倉さんは窮屈そうな顔でピシっとスーツを着こなしていた。
「お前へのサービスの一環だ。たまにはいいだろう。物珍しくて」
「物珍しいって…ひでぇな。俺は見世物かよ!土方さん」
「わぁ~永倉さん、意外!超かっこいい!本物のホストみた~い!」
Cafeで永倉さんの姿を見るだけでも珍しいのに、その永倉さんがきっちりとスーツを着て目の前にいるのだから、私はすっかり興奮してしまった。
「写真!写真撮らせてください。はわわっ…即行おねぇとゆきちゃんにメールしないと!」
興奮気味の私を見て、歳三さんは呆れた顔をしてため息をついている。
「はぁ…。夜になればこいつだって立派なホストだろうが…。新八!お前は筋肉自慢ばっかりしてっからホストらしく見えねぇんだよ。伊東さんについて立ち振る舞いの勉強をしろ。これは業務命令だ」
「おいおい…伊東さんについたらオカマ言葉が身についちまうじゃねぇか!勘弁してくれよ~土方さん!」
「あははっ!一流ホストらしくなった永倉さんを見てる日を楽しみにしていますね。じゃあオーダーをお願いします!」
私はメニューを開き、オーダーを口にした。
「マルゲリータと和風パスタ。取り皿をお願いします。そして食後にコーヒーと紅茶、それからパティシエ特製のお一人様用ワンホールケーキをお願いします。この前永倉さんが食べちゃったケーキよりうんと美味しいやつで!」
-あとがき-
ピザは数人で取り分けて食べるもの。
ホールのケーキは一人で丸々食べたいもの。
一度だけいちごの乗った生クリーム仕立てのホールケーキを、一人で食べた事があります。
一気にではなく、2~3日かけてですが。
この上なく幸せでした
。
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