訪問感謝する。
だが生憎と今取り込み中だ。
いや…お前さえよければ、参加してくれねぇか?
こういった事は大勢でやった方が盛り上がる。
それに赤ばらちゃん一人じゃ…なかなか準備が進まなくってよ(苦笑)
何?何も持ってない?
んなもん必要ねぇ。
相手を思う言葉があれば、それだけでいいんじゃねぇか?
リビングへと戻ると、テーブルにはところ狭しとご馳走が並んでいた。
「おい、歳三見ろよ。白ばらちゃんの料理の腕も一流シェフに並ぶくらいだと思ったけどよ…伊東さん、あんたすげぇな。いい嫁さんになれるぜ!ガハハハハ!」
「あら、嫌だわ。新八王子ったら…。歳三王子からお願いされたもの、この伊東全力で腕を振るわないわけにはいかなくってよ。まぁ…お嫁さんですって!恥ずかしいわ~。」
新八…お前の目はガラス玉か?
どう頑張ったって、そいつは嫁のフリをしたオカマにしか見えねぇだろ…。
クソッ!オカマのくせにしなを作るんじゃねぇ!
俺に目配せするな!
…いや、今日は我慢だ。
赤ばらちゃんの最高の笑顔を見るためだ、今日一日は我慢しろ…俺。
「あぁ、美味そうだな。さすがは伊東さんだ。赤ばらちゃん一人じゃこんなにも豪華なご馳走は用意出来ねぇ。本当に感謝している。ありがとよ。」
「お気になさらいで、歳三王子。大切なお友達からもお願いされたんですもの。赤ばらちゃんの笑顔が見られるのなら、このくらいの料理なんてお茶の子さいさいですわ。」
伊東と利害が一致した辺りが気に食わねぇが(苦笑)感謝している気持ちに嘘はねぇ。
「狼さ~ん♪ケーキが出来ましたよ~。えへへ♪島田さんと一緒にがんばってデコレーションしました。」
赤ばらちゃんが丸いケーキを手にやってきた。
「おっ、美味そうだな。」
満面の笑みを浮かべる赤ばらちゃんの顔のあちこちには、生クリームがくっついていた。
「俺はケーキより赤ばらちゃんの方が美味そう…いや、なんでもねぇ。料理も大方揃った。そろそろ仕上げといくか。」
あらかじめ用意していた服に着替えるため、各自部屋に戻った。
鏡の前に立ち身なりを整えていると、ドアがそっと開き赤ばらちゃんが顔を覗かせた。
「ん?もう着替えたのか?」
「えへへ♪どうですか?」
ドレスを着た赤ばらちゃんが、俺の前でクルリと回ってみせた。
「良く似合ってる。今日の主役は赤ばらちゃんじゃねぇが、主役に負けないくらいおめかししねぇとな。今日は赤ばらちゃんにとっても大切な記念日だ。」
「わーい!わーい!今日は大切な記念日ですよ~♪」
はしゃぐ赤ばらちゃんの胸に赤い薔薇のコサージュをつけてやり、俺は小さな手を取ってリビングへと向かった。
やがて庭の方から話し声か聞こえてきた。
「どうやら本日の主役がお帰りになったらしい。」
俺と赤ばらちゃんは顔を見合わせ、最後の仕上げに取り掛かり始めた。
「クスクス…こんな目隠しまでして、王子様と黒豹さんはいったい何を企んでいるのかしら?」
「それは目隠しを取ってからのお楽しみだよ。」
「総司王子の言う通りだ。楽しみは最後までとっておいた方がいい、そうだろ?」
やがて総司と左之助にエスコートされた白ばらちゃんが現れた。
目隠しのために視界を遮られ、おぼつかない足取りで時々足を止めながらゆっくりとリビングへと足を進める。
「よぉ、お帰り、白ばらちゃん。ふっ…目隠ししたままの散歩はどうだった?」
「…もしかしてこの目隠しは狼さんの仕業なのかしら?あぁ…赤ばらちゃんが心配だわ。」
慌てて目隠しを外そうとする白ばらちゃんの手を総司がそっと取り、そして優しくキスをした。
「白ばらちゃん大丈夫だよ。確かに目隠しは兄さんの発案だけど、赤ばらちゃんにイケナイ事するために用意したんじゃないから。第一白ばらちゃんに目隠ししたって…クスクス…兄さんは赤ばらちゃんに悪さなんか出来ないよ。必ず邪魔が入るんだからさ、あははは~。」
「そうだ、安心しろ白ばらちゃん。俺が赤ばらちゃんも守ってやるから。」
「ちょっと左之さん、一人でいい格好しないでよ!」
「いい格好じゃねぇだろ?愛する女の大切な家族も守ってやるって、当ったり前の事言っただけじゃねぇか。」
(てめぇら好き勝手言ってんじゃねぇ!)
この台詞を大声で叫びたかったが…今日は我慢だ…。
今日は特別な日。
大切な記念日。
赤ばらちゃんにとっても、大事な大事な記念日なんだからな。
「…全員用意出来たか?…大丈夫だな?よし、いいぞ総司。」
俺の合図を聞いた総司が、白ばらちゃんの目隠しをそっと外した。
目隠しを外した白ばらちゃんは、いったいどんな顔をするんだろうな?
俺は手にしていた花を白ばらちゃんへと差し出した。
Happy Birthday to You![]()
美しく咲く白き薔薇に祝福を!
甘い愛の吐息は愛おしい者へ
その優しき手はすべての者へ
花咲く笑顔は君の一番大切な人へ

