無事お風呂も入り、ついでにお風呂掃除も済ませて部屋に戻った。
歳三さんは濡れた髪のまま、熱心に本を読んでいる。
「歳三さん、髪ちゃんと拭かないと風邪ひいちゃいますよ。まったく、こんなところは無頓着なんだから…」
新しいタオルを引っ張り出し丁寧に髪の水分を丁寧にふき取る。
自分の髪と違い、歳三さんのサラサラで綺麗な髪の扱いにはいつも戸惑ってしまう。
「ethlin…ありがとうな」
「いいですよ。髪の毛拭くくらいどって事ないです」
「そうじゃなくて…」
「???」
私の濡れた髪をそっとかき上げる。
「お前の髪も濡れたままじゃねぇか…ここ座れ、拭いてやるから」
歳三さんの前に座り、されるがままにじっとしてみる。
でもじっとしてるのもなんなので、体重を後ろに傾け歳三さんに寄りかかってみた。
「こら!じっとしてろ」
「今日は特別な日だから甘えてみたかったんです」
頭の上でクスクスと笑が漏れる。
「そうだな…日付が変わってないから、まだ『特別な日』だな」
ちょっと待ってろと言って、机から何か小さな箱を取り出した。
「開けてみろ」
そっと箱を開けると、さくら色の石がついたピアスが一組入っていた。
「ethlin、誕生日おめでとう。俺はお前に会えて…お前の手を離さなくて…本当によかったと思ってる。感謝してもしきれないな…」
「綺麗…ピンクトルマリン?ローズクオーツ?ん~と…もしかして」
「ピンクサファイア…蒼い石もいいが、お前にはこの色が似合う」
歳三さんはピアスを取り出して私の髪をかき上げ、そっとピアスホールにピアスを取り付ける。
私の耳元でさくら色の石が揺れた。
「似合いますか?」
「あぁ…」
「ふふっ…」
つい笑いが漏れた。
「何がおかしい?」
「だって…歳三さん一人で選んで買ってきたんでしょ?どんな顔してお店に行ったのかなとか想像したら…面白くって…」
そっとピアスを外し、箱に並べて眺める。
きっと何度も躊躇しながらやっとお店に入って選んだのだろう。
何時間もかけて一生懸命選んだに違いない。
「歳三さん、ありがとう。私を見つけてくれて…私を選んでくれて…こんなにたくさんの幸せを与えてくれて…本当にありがとう…」
うれし涙で歳三さんの顔が滲んで見える。
「こんなに幸せな誕生日をむかえられて…すごく…すごく…幸せです」
腕を伸ばして、そっと広い背中に手を回す。
「もうすぐ日付が変るな…最後に何か願い事言ってみろ」
「お願い事…」
私の願い事はたった一つ…
貴方と一緒にいたいと思った日から…ずっと思い続けている
たった一つの願い事…
「ずっと傍にいてください…」
「俺の傍から離れるな…絶対に…守るから…」
「はい…」
気がつけば時計の針は0時を過ぎていた。
でも、この人が傍にいれば、私の毎日は特別になる。
貴方と過ごす時間の全てが…私にとって特別だから。
「ethlin…ところで俺はいつまで我慢してればいいんだ?」
顔を上げると、歳三さんが意地悪そうな顔で私を見つめている。
「あっ…(//・_・//)」
そうだった…。
夕方からの会話を思い出し、顔が赤くなる。
「また結婚前みたいに…ずっと我慢させるつもりか?」
「いえ…もう…我慢しなくていいです…」
ボソボソと俯き加減で答えると、頬を両手で挟んで顔を持ち上げられる。
目の前には目を細めて笑う歳三さんがいた。
私はそっと目を瞑る。
「ずっと貴方だけを好きでいさせて…」
そんな私の愛の言葉は、私の愛する人の唇で塞がれてしまった。