Sweet×Sweet Blood ② | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

朝起きるとコーヒーのいい匂いが鼻をくすぐる。


身体を起すとみちるねぇと歳三お兄ぃが優しく声をかけてくれた。


「ethlinおはよう。ぐっすり眠ってたから起さなかったよ。学校の時間、間に合うかな?」


「起きたか?とりあえず飯食って、シャワー浴びて学校に行け。間に合わねぇなら車で送ってやるから」


昨日散々ワインを飲み宅配のピザを食べたはずだが、綺麗に片付けられている。


「ん…歳三お兄ぃ…みちるねぇ…おはよう…。ごめん…昨日の…後片付け…してない…」


バツが悪そうにもぞもぞと挨拶をすると、二人はクスクスと笑い合う。


「泊まりに来たんだから気にしなくっていいって」


「気にすんな。ガキは勉強の事考えてろ。卒業したら…正式に俺に弟子入りするんだろ?留年なんてしてみろ…事務所立入り禁止にするからな」


「うん」


ぼんやりとテーブルにつき、トーストを齧る。


「学校終わったら事務所に寄れよ?大量に御札作んねぇといけねぇからな。なんならもう一晩泊まってけ」


「今日の夜は家に帰るよ。歳三お兄ぃのとこに泊まるとはいえ、あんまり外泊するとお母さん心配するし。それに…昨日は私がいて邪魔だったでしょ?デバガメになったら困るもん」


「ガッ…ガキのクセに何言ってやがる」


歳三お兄ぃがくしゃくしゃと私の頭を撫でる。


「歳三お兄ぃが思うほどガキじゃないよ!ったく…いつまでも子供扱いなんだから…。それに歳三お兄ぃだってガキみたいなモンじゃん。今日の御札作りが大量なら、歳三お兄ぃのカード投げの後始末はしないからね。自分で拾って片付けてよ!」


わざと元気な振りをして見せるものの、心の中はぽっかりと穴が開いてしまったままだ。


「なおと顔合わせづらいなら…ここに泊まりにくればいいよ。気軽にね♪歳の事なんか気にしなくていいから」


「柄にもなく遠慮するな。ガキの頃から勝手に押しかけていやがるくせに…」


「うん…みちるねぇ、ありがと。歳三お兄ぃ、シャワー借りる!あとシャツ借して♪授業終わったら真っ直ぐ事務所に寄るからね。歳三お兄ぃ…みちるねぇと事務所であんまりイチャイチャしてないでよ!!」


歳三お兄ぃに向かってあっかんべーしながら熱いコーヒーを流し込み、私は学校へ行く準備を始めた。







「うぉっと…ギリギリセーフ」


友達のゆきちゃんが取って置いてくれた席に滑り込み、教科書を鞄から取り出す。


「うふふ…ethlinちゃん、彼の家から直行?お泊りデートなんて…やるねぇ~」


ぶかぶかのシャツを眺めながらニヤニヤ笑うゆきちゃんをひと睨みしてため息をつく。


「んなわけないじゃん。歳三お兄ぃの部屋に泊まって~昨日は食べて呑んだくれて…家に寄る時間がなかったから~歳三お兄ぃのシャツ借りてきた」


「な~んだ。やっぱり超ブラコンのままか…」


「急に歳三お兄ぃ並みのイケメンと出逢えるわけないじゃん」


長すぎるシャツの袖をまくりながら呟く。


「んじゃぁ…今日合コン行かないって誘ったら?」


「行かない」


「やっぱりね~」


短大とは言え、大学というものは勉強するために通うところじゃないのだろうか。


とにかく合コンと呼ばれるものに参加して、話の合わない人の相槌を打つのはすごく疲れる。


歳三お兄ぃと比べる事がそもそも間違いとわかっていても、子供じみた男の子達と話をしても面白くない。


私は4年生の大学に行きたかったけど、早く卒業したいから短大に進むことに決めた。


『俺に弟子入りするなら…最低でも短大くらい卒業しとけ』


それが歳三お兄ぃとの約束だ。


当初の予定では大学へ行ってオカルト学を学び、留学してエクソシストの資格を取れるもんなら取りたいなと思っていたけど、歳三お兄ぃの探偵事務所が潰れる前に優秀な人材になるのが先決だと(勝手に)判断した。


(それに書物で読むより、現実の方がかなり勉強になるしね。まぁ危険も伴うわけだけど…)


歳三お兄ぃの師匠である近藤さんが行方不明になって大分経つ。


今事務所にはお兄ぃと斎藤さんという優秀な探偵二人がいるものの、斎藤さんはいつ独立してもおかしくないくらい優秀だし…。


(新八さんはすぐに酒とお馬さんに目が眩むからダメ…。平助くんは犬猫探しとか細かい仕事ばっかり拾ってくるし問題外…。やっぱりここは私が歳三お兄ぃにキチンと弟子入りして…私が優秀な人材にならないとね。まぁ…今はヘボイ御札作りと雑務くらいしか出来ないけど)


「じゃあ…あんずの木でお茶するってのは?」


教授が後ろを向いているうちに、ゆきちゃんがこっそりと耳打ちをする。


「行く!」


「あははは…さすがの長年大好きなお兄さんも、ケーキには負けるか」


「あんずの木のケーキは特別だよ。絶品過ぎるモン♪」


私達の笑い声が思ったより教室に響き、教授が嫌味のように咳払いをする。


慌てて教科書に視線を戻し、ノートにペンを走らせる。


(今日の御札作りは気合入れないとね…。もう…絶対に失敗しない!おねぇをヴァンパイアから守る!!そのためには甘いモノ補充してがんばろう♪)


私は小さくガッツポーズをして気合を入れた。