Cherish ① ~Baby Breath Ⅴ~ | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

HAVEN ONLY KNOWS ~Baby Bress Ⅳ~の後のお話です。




夏の仕事が少し落ち着いてきた頃、ethlinの周りでも運命の歯車が回り始めました。


この出会いが吉と出るのか凶と出るのか…


それは神様だけが知っている…




これはなおねぇとリレー中のクラブ桜花出張版。


薄桜鬼の完全二次小説です。


苦手な方は脱出してください。









7月ももう終わりを告げる頃、修羅場のような仕事も少しだけ静かになり、私は事務所で一人ぼんやりとしていた。


が、ゆきちゃんと登場で、その静寂は見事に打ち破られた。


ノックもそこそこにすごい勢いで扉が開く。


「先輩!事件です!!」


「あっ…ゴメンゆきちゃん。店頭忙しいんだ?」


「違います!そんな事より大変です…もう、比べものにならないくらい大変ですよ!!」


ゆきちゃんは顔を真っ赤にして興奮している。


「あ~沖田さんがスーツ姿でお花の配達に来たとか…」


それは大変ではなく、いい迷惑ってやつだ。


「先輩惜しい!惜しいけど…違います。と・に・か・く・、とにかく来てください!!」


ゆきちゃんに手を引かれお店へ出てみる。


気のせいか店中が色めきたっている…?気がした。


詳しく言うと、お取引先社員を含め、ほとんどの女子社員がざわざわと騒がしい。


「何かあったの?芸能人でも来たとか…急にTV中継でも始まった?」


ゆきちゃんはキラキラと輝く瞳をこちらに向け、鼻息を荒くしている。


「王子様ですよ!着物王子!!着物王子が買物に来てるんですよ!!」


ゆきちゃんが指差す方向には、白っぽい着物を着た男の人がいた。


容姿端麗、色素が薄い金色に似たサラサラの髪、目は切れ長で、あの目で睨まれたら虎も逃げ出す…かも知れない。


「ねっ?ねっ?ねっ?王子様でしょ?沖田さんもステキだけどあの人も負けずにかっこいい~!!」


「………」


と言われても『沖田さんが王子様でステキ』の意味が理解できない私には、なんのコメントも出来ない。


「王子…王子様…ねぇ…」


王子様っていうよりは…


「王子様って言うよりさぁ~、演歌界のプリンス…『若様』って感じじゃない?」


ゆきちゃんの顔をニヤニヤと見上げながら答えると、ゆきちゃんはお腹を抱えて笑い出した。


「あっははははは…やっぱり…先輩…なんか違う事言ってくれると思った…。若様…若様…ってっププッ…」


遠めで若様を観察してみる。


「スポットライトが似合いそう…。あとドライアイスとか…。おひねりにお札のレイ首に下げたりしてねぇ~」


「や~め~て~。おば様も視線くぎづけ…若様…若様って…ウケる」


ふと見ると、若様が私達の方へ近づいてきた。


「ヤバ…ゆきちゃん、うちら笑いすぎちゃったよ。めっちゃ睨んでる…」


肘でつついて二人姿勢をただし、営業スマイルを向ける。


「おい、そこの女…」


「はっ…はい//////いらっしゃいませ」


呼ばれたゆきちゃんは真っ赤になって若様の傍に近づく。


なにやら会話をしている二人をそっと盗み見る。


(はぁ~やっぱりゆきちゃんはスタイルいいよね…。若様と並んでも絵になるわ…)


ぼんやりとしていると、ゆきちゃんが手招きをしている。


「ん?どうしたの」


ゆきちゃんに近づくと若様が


「ふっ…」


と鼻で笑った…気がした。


「お客様がオススメの和菓子を教えて欲しいっておっしゃるんですけど…先輩だったら何をオススメしますか?」


ん~和菓子…和菓子かぁ~


「あれ!葛きり!!夏らしいしね」


「…お前…案内しろ…」


(お前?)


「はい、ご案内いたします。こちらです。」


(お前って…なんだ?偉そうな人だな…まぁお客様だからいいけど)


和菓子売場で葛きりを扱うお店を何件か紹介する。


さっさと戻ろうとしたけけど、いろいろと質問をされたから、自分のわかる範囲で答える。


戻るタイミングを失った私は、仕方なく若様の買物が終わるまで待つことにした。


会計を済ませ商品を手にしたところで、ペコリと頭を下げた。


「お買い上げありがとうございました」


「…なかなかいい買物が出来た…礼を言う…」


(いやいや…礼って言うのは『ありがとう』って言う事じゃないの?)


「いえいえ…とんでもない。お役に立てて光栄です」


なんて心にない言葉を口にする。


(だって仕事だもん…・あ~めんどくさいお客様だなぁ…早く帰れ…)


顔だけはニコニコしながら背中を見送っていると、ふいに若様が振り向いた。


(なっなに?また鼻で笑った?なんなんだ?あの人)


ちょっと腑に落ちない気持ちでいっぱいのまま、私はお店へと戻った。







夜、歳三さんに電話で今日の事をお話しようと思ったけど、電話が繋がらない。


「忙しいんだな…よし、今度ゆっくりお話しようっと」


いつもの通り、私はメールを打って送信を確認し、お布団の中に潜り込んだ。




To:土方 歳三

Sub:こんばんわ


歳三さん、お仕事忙しそうですね。

私は少し落ち着いてきて、今日は久しぶりに定時近くに帰りました。


そうそう、今日はすごく面白いお客様を見ました。ゆきちゃんはまた『王子様』とか言ってるし

詳しい話はまた今度します。


ではおやすみなさい。

歳三さんもゆっくり休んでくださいね。


ethlin