銀色の月の下 水面に浮かぶ小さな花 | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

昼と夜、海にプカプカ浮かぶならどっち?
ブログネタ:昼と夜、海にプカプカ浮かぶならどっち?
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浮けないんだよね…

仰向けに浮けないよ

やってみたいけど、決死の海中浮遊間違いなし。

仰向けじゃなくていい?

いや…決死の犬かきしか出来ないから顔をあげてても浮けません。

背中に浮き輪でも装着すれば大丈夫かな?

ビート板に紐通して背中に担ぐとか

うぉっ!自分ナイスアイデア



それなら夜がいい。

波の音だけ聞こえる夜がいい。




ここからクラブ桜花出張版スタートです。

クラブ桜花出張版は薄桜鬼の完全二次小説です。

苦手な方は脱出してください

今回はなおねぇのところからずいぶん前に拾った『前世ネタ』です。












夜の城をそっと抜け出し、近くの湖まで足を運ぶ。

湖面に浮かぶ小舟に乗り込み、オールを少しだけ動かしてみる。

舟は少しだけ陸を離れ、静かな湖にパシャリと水音が響いた。

私は仰向けになり、空に浮かぶ銀色の月を眺める。

暗闇の中、月は私を優しく照らす。

あの月はどこにいても同じ場所にあるのだという。

私の想い人も同じ月を見上げているのだろうか。

私の大切な人が想う、あの人達もこの月を見上げているのだろか。

静寂に包まれながらそっと目を閉じる。

私の耳には静かな水の音と、風にざわめく木々の声しか聞こえない。

しかしその静けさは突然破られた。

「姫様~」

「ethlin、どこにいるの?返事しなさい!」

慌てて身体を起こすと、少し遠いところに二つのカンテラの灯りが見えた。

周りをよく見ると、舟は少しだけ流されたらしい。

岸辺で私が持ってきたカンテラを見つけた姉さまとねえやが、わあわあと騒いでいる。

「姉さま~ここ~」

声が聞こえるものの姿が見えないらしく、二人の騒ぎ声だけが大きくなる。

(仕方がないなぁ…)

オールを持ち上げて振ってみることにする。

しかし初めて触ったオールは想像より重く、上手く持ち上げる事が出来ない。

オールが大きく湖面を叩く。

舟が大きく揺れた。

湖に投げ出されそうになるのを必死に堪え、バランスを取る。

大きな水音に気がついた二人がこちらに顔を向けた。

(よし…今度こそ…)

もう一度持ち上げて合図をしようとすると、今度は二人の悲鳴が聞こえた。

「ちょっと!止めて!止めて!止めなさい!!危ないでしょ!!そこから動かないで!!」

「姫様!姫様!動かないで下さい。今すぐに助けに行きますから!」

(動くなって言ってもね…)

他に舟がないのに、どうやって助けるつもりなのだろう。

(えっと…たしか前に舟に乗ったときは…)

見よう見まねで適当にのろのろと漕ぎ出すと、舟はなぜか岸辺と反対の方向に進み始めた。

(あれ?おかしいな…)

岸辺の二人の悲鳴が絶叫に変わった。

しかし私は二人を無視して、一生懸命にオールを動かす事だけに集中してみる。

舟はぐるぐると旋回しながら、ゆっくりと岸辺の方に進み始めた。

(なんだ…案外簡単に動かせるんだな)

騒ぐ二人の気も知らず、私はのんきに湖面を進む。

岸辺に近づくと、姉さまが慌てて走り寄ってきた。

「ethlinなにしてんの!こんな夜更けに…一人で外に出て…しかも湖に出るなんて…バカ!危ないでしょ!!」

「姉さまごめんなさい…少し一人で考えたい事があって…」

しょんぼりとうなだれると、姉さまに強く抱きしめられた。

「心配させないで…貴女に何かあったら…私…」

息が止まりそうなくらい強く抱きしめられる。

「ごめんなさい…姉さま…」

「悩み事があるなら言って…と言っても私が城にいないからか…」

少し寂しげに笑い、私の手を取る。

「じゃあ、城に着くまでちゃんと聞いてあげるから、言ってごらん」

二人仲良く並んで歩き出す。

ねえやはその少し後ろを静かについてきた。

「あのね…姉さまは『海』って見たことある?」

「『海』?そうね…遠征の時に一度だけ見たことあるかな」

「『海』の向こうにも国があるのでしょ?見えた?」

「まさか。『海』はethlinが考えてるより大きくて広いよ。湖の何倍…何十倍…。『海』の向こうなんて簡単に見えないよ」

あの湖よりも大きいなんて、どんなところなんだろう。

「ふーん…じゃあ…海の向こうには簡単に行けないね」

「なぁに?まさか海を渡るための予行練習だったわけ?」

姉さまは大きなため息をついてあきれ返ってしまった。

「うーん…近いような、全然違うような…」

「はっきり言ったら」

クスクス笑う姉さまの顔を見上げ、じっと見つめる。

月明かりが美しく優しい姉さまの顔を照らす。

「海に浮かんで流されたら、遠くの国へ行けるのかな…って思ったの。そしたら海に浮かぶ感覚が知りたくて…えっと…疑似体験…ってやつ?」

「はぁ?そんなに遠くの国へ行く必要なんてないでしょ。…あんた…まさか…もしかして…トシゾウ王子と結婚するのが嫌なの?」

「違う…そうじゃなくて…」

ぼそぼそと俯きながら答えるものの、本当の理由を姉さまに伝える事は出来ない。

話をしているうちに城に着いてしまった。

「遠くを見たいんだったら、トシゾウ王子に頼んで遠出に連れてってもらいなよね。とにかく…もう二度と…黙ってどこかに行かないで」

「はい…ごめんなさい」

「ethlinおやすみ」

姉さまが私の額にそっとキスをする。

「姉さま、おやすみなさい」

私も背伸びをして姉さまの頬にキスを返した。

微笑みながら背を向けて歩く姉さまを見送り、自分の部屋に入る。

ベッドに仰向けに寝転がり、湖面に浮かんでいた感覚を思い出す。

(海…海も湖のように静かで冷たいのかな?舟じゃなくて、直に海に浮かぶのって…どんな感じなんだろう…)

湖面から見えた銀色の月を思い出す。

月は海の上でも、変わらず美しい光を放つのだろうか。

(あの月が見える…海の向こうに…誰も見たこともない…聞いた事もない…)

見知らぬ国へ思いを馳せる。

(姉さまが幸せになれる国があればいい…。姉さまも…姉さまが想うあの二人も…みんな…みんなが…幸せになれるそんな国が…誰も姉さまの思いを邪魔をしない…そんな…国が…あれば…きっと…)

窓から差し込む温かい月明かりを浴びながら、私は静かに眠りについた。