小さな祈り  ~P.S. I Love You~ ④ | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記


前回までのお話はこちらから、詳しい設定等は①をお読みください。



小さな祈り  ~P.S. I Love You ~①   小さな祈り  ~P.S. I Love You~ ②


小さな祈り  ~P.S. I Love You~ ③




桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜桜





貴方が傍にいられるだけで幸せになれる



貴方が笑うと心が温かくなる



だから毎日心の中でそっと祈るの



ずっとずっと貴方の傍にいたい



それだけが私の願い






ハート小さな祈り  ~P.S. I Love You ~ハート





歳三さんの誕生日当日、いつもと変わらない朝がやってきた。


朝から総司さんに少しおこごとを言って、みんなより少し早く家を出る。


私はいつもの通り、お見送りのために玄関へ急いだ。


「気をつけて行ってらっしゃいませ。あの…」


「どうした?」


いつもの状況からして絶対に無理とわかっているけど、一応聞いてみる。


「今日は、帰る時間って遅くなりますか?」


「あぁ。今日は職員会議があるから少し遅くなる。終わればまっすぐに家に帰るから心配するな。」


やっぱりね…。


わかっているけどガッカリしてしまう。


特別な事をするわけじゃないけど、1時間でも2時間でも早く帰れれば、2人でいられる時間が増えるかな~と思ったんだけど。


落胆が顔に出ていたのか、歳三さんが心配そうな顔で私の頭を撫でてくれる。


「いつも負担ばかりかけて悪いな…」


「あっ…違います、大丈夫です、全然平気です。負担とかじゃなくて…たまには早く帰れるかな?って思ったから…」


聞いてみただけですと声にする前に、そっと唇が塞がれる。


不意打ちに驚いて、耳まで真っ赤になってしまった。


「くっ…お前は1年経っても全然変わらねぇな」


「もっ…もう…」


俯いて黙りこくっていると歳三さんの指が頬に触れ、顎を軽く持ち上げられる。


もう一度優しく唇が触れる。


「じゃあ行ってくる。留守を頼むぞ」


「はい…行ってらっしゃいませ」


歳三さんは照れた顔を隠すように背を向けて行ってしまった。






今日も一通りの家事を終え、つかの間の自分だけの時間。


リビングに座り、昨日平助くんと一緒に選んだバースデーカードをテーブルに広げる。




昨日平助くんが連れて行ってくれたお店には、たくさんの雑貨が並んでいた。


メッセージカードだけでもたくさんの種類があり、私は目移りしてしまう。


「義姉ちゃんの好きなのって…こんなだろ?」


平助くんはたくさんのカードの中から数種類取り出し、私に差し出した。


「うわっ~かわいい」


「かわいい系で、鳥の絵が入ったやつ…、義姉ちゃん鳥が大好きって言ってたもんな」


ほんの些細な会話を憶えていてくれる事が嬉しい。


「歳三兄には似合わねぇかもしれねぇけどさ、やっぱり義姉ちゃんらしいやつが一番だと思うぜ」


「うん、そうだね。平助くん、ありがとう」


選んでくれた中で一等かわいいカードを選び、私と平助くんはご機嫌で家路についた。




「そういえば歳三さんに手紙はおろか、手書きのモノって渡した事ないよね。きっ…緊張する」


ペンを片手に書き出そうとしたが、どうも落ち着かない。


「リビングってみんなが出入りする場所だから誰かに見られちゃうかもしれない。特に総司さん…こんな時に限って早く帰ってきたりするもん。部屋が一番落ちつくかな?」


リビングを出て部屋に向かう途中で、静かで誰も立ち入らない場所を思い出した。


「…歳三さんの書斎で書こうかな。あの場所は静かだし、机もあるしね」


書斎に足を踏み入れると、本の匂いとインクの匂い、そして煙草の残り香が鼻をくすぐる。


天気がいいので窓を少し開けると、温かい風と日差しが差し込んできた。


さっそく机に向かい、ペンを走らせる。


「歳三さん…へ…」


メッセージを確認して、封筒に入れ封をする。


緊張のためか、カードにメッセージを書くだけで一仕事終えたような気持ちがした。


息を吐き出し椅子にもたれかかる。


「この書斎の椅子って…社長さんの椅子みたいだよね」


誰も見ていないからと椅子の背もたれに何度も背中をぶつけたり、座ったままくるくると回ったりと笑い声をあげる。


「ふふっ…この椅子ってこんなに座り心地がいいんだ。初めて知ったな~。もたれるとちょー気持ちいいし…しゃっちょーさんって感じで」


柔らかな日差しがちょうど机の近くに差込み、身体がぽかぽかしてくる。


「秘密の場所…発見…かも…静か…だし…外の…音も…聞え…ない…」


まぶたが重くなってきて、私の意識は遠くなっていった。