日曜日。

 

金曜日に観に行った「オッペンハイマー」に全てを賭けた怒涛の一週間が過ぎ...昨日はダラダラ、今日もダラダラ。

 

 

その「オッペンハイマー」という映画そのものの素晴らしさもさることながら、そこにたどり着くまでの「過程」にいろんな気付きがあり、反省もあり、そんな一週間も終わってまたまた日曜日、とりあえずウチで映画を観るというルーティーンに戻す。

 

 

Blu-rayレコーダーのHDDのひっ迫もあるし、見たいドラマ、アニメ、いろいろあるんだけどね、映画にしておこう。

 

 

とはいっても「オッペンハイマー」の重さは引きずりたくないなと思ってたらふとアニメ映画が目に留まった...という訳で今日はマーベルの「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」という2023年に大ヒットした作品を。

 

 

このシリーズは3部作で2018年の「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編が今日の作品、てか結構間が空いたんだね...あ、新型コロナがあったからか。

 

 

前作は一応観てるんだけど、どういう話だったっけ...ま、いっか、今日はアニメ、何も考えずにエンタメ作品を楽しもうかと。

 

 

とはいってもその第一作...アニメながら、なかなかの人間ドラマだったことだけは記憶にあったので、今日もそういう意味ではエンタメを楽しみつつ、ドラマも見せてくれるだろうと期待をしつつ「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」。

 

 

今のマーベルの本流であるMCUではそのフェーズ4から展開されている「マルチバース」だけど、こちらのアニメシリーズはそれを「スパイダーマン」の世界で描いていて、第1作はまさにそのマルチバースで目まぐるしく展開、その複雑さの中で実に楽しく、かつ高尚な人間ドラマもあったのでね、その続編ということで、しかも大ヒットしてると知ってたので、まあ期待をして観てみました。

 

 

アフリカ系アメリカ人の高校生、マイルス・モラレスが主人公なんだけど、そのヒーローとしての孤独、葛藤を前作から引き続いて背負ってて、更には別の世界の女性のスパイダーマンであるグウェン・ステイシーとの友情とも恋愛ともつかない微妙な関係性を骨格に物語は展開していく。

 

あとは前作と同じように様々な世界のスパイダーマン大集合、多様性に寄り添う優しい姿勢なのは変わらないし、ヴィランであるスポットというキャラとの戦いもあるんだけど、今回の物語の根幹は「マルチバース」を行ったり来たりする中で「スパイダーマン・ソサエティ」という組織が結成されていて、その組織のルールに縛られることでいわばヒーローとしての在り方に苦悶するという、またまたよくも悪くもネタ探しがうまいというか、新たな命題をアニメという形を借りて、実に見事に紡いでいるという印象。

 

いわばスパイダーマン同士の「内輪揉め」ではあるんだけど、父親の命を救うことと世界を救うことがこの「スパイダーマン・ソサエティ」が絡んじゃうと両立できないという、まさにその枷に苛まれていくマイルス・モラレスの葛藤がこの物語のテーマになっていて、同時に別の世界で苦悩するグウェン・ステイシーも似たような葛藤を抱えて互いの孤独、ヒーローとしての葛藤を共有するのもこの作品のポイント。

 

第一作はその共有する仲間が多すぎたような記憶があるんだけど、今回はグウェンとの関係に絞っているという意味では、どこか物語としてすっきりしていたかなとも思う。

 

 

スポットというユニークなヴィランとの対決もさることながら、今回のメインのはスパイダー・ソサエティを率いるミゲル・オハラという「大人」のスパイダーマンとの戦い。

 

 

ヒーローであるために組織に従い、そのヒーローとしてのアイデンティティを捨てるのかという矛盾がこの作品を盛り上げているのは間違いなくて、少し大袈裟だけど現代社会の組織論に抗うような命題も見え隠れしたり、しなかったり。

 

 

で、クライマックスでマイルス最大のピンチ、そこに駆けつけるグウェン...というところで映画がバッサリ終わっちゃう。

 

 

予備知識が全くない私は、え?...ここで終わるの? というね。

 

まさに「帝国の逆襲」な作り、アメリカの映画人はやはり「帝国の逆襲」が好きなんだろうな、という。

 

 

まさに次作に「つづく」な訳でね。

 

 

という訳で更なる測編、第3作「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」も待機中...

 

ただその第3作も例のストライキの影響でいつ公開されるかは未定なんだそうだ。

 

 

 

にしてもね、アニメのこのシリーズ、絵がとにかく賑やかで、楽しくかつ、まるで絵画のような美しい映像で、私の目が追い付いていかないほどに目まぐるしいんだけど、それがやかましくなく、うっとうしくもなく、ただただ楽しい。

 

 

コミックの紙面がそのまんま出てきたようなタッチだったり、それこそ絵画、油絵のような絵もあるし、でも基本はCGアニメの自由かつスピード感あふれる筆致だったり...まさにバラエティ豊かで映像だけでも堪能できる。

 

 

目が追い付いていかないことが申し訳なく思えるほど、その筆致のひとつひとつが充分に味わえていないことが何だかもったいないような気がする、それくらいにこのアニメーションとしての画面の楽しさは格別だ。

 

 

日本のアニメ、それこそ宮崎駿アニメの手作りの筆致も素晴らしいけど、ハリウッドの物量だけではない、芸術的な追い込み具合もこちらはこちらで凄いなと改めて思った。

 

金をかけりゃいいってもんじゃないんだろうけど、それにしてもお金をかけた分だけ丁寧なのはさすがといったところ。

 

 

第3作...楽しみだね。

 

 

さて、桜もあっという間に散り始め、気が付くと四月ももう中旬...色々また、やらないと...ダラダラ過ごさないようにしないとね。