日曜日。

 

ていうかあっという間に12月、師走...

 

でもまだそんなに冬という感じでもなくてね、今日も比較的ポカポカ、せっかく電気ストーブを買ったのに活躍する機会があまりない。

 

 

それでもカレンダーを見るとやはり12月、あと3週間ほどで今年も終わる...また何も成し遂げられなかった年が終わるってさ。

 

 

...スイマセン、ネガティブですね。

 

 

まあとにかく日曜日。

 

 

今日もウチで映画を。

 

 

最近は、ていうか歳を取るにつれてチャラチャラした作品ばかり観る傾向にあるので、たまには少し真面目にというか、いわゆる特撮だとかアクションではない、そんな映画をチョイスしてみた。

 

 

昨年度のアカデミー賞で6部門ノミネートされたものの、残念ながら無冠に終わったケイト・ブランシェット主演の「TAR/ター」という作品を。

 

 

天才指揮者がベルリン・フィルに招聘され、首席指揮者としてオーケストラを作り上げていく過程の中で、様々な「雑音」や「不協和音」に徐々に苛まれていき、やがてスキャンダルにも巻き込まれていく...そんなサスペンスフルな作品。

 

 

ただ序盤はいわゆる「日常」を丁寧に積み重ねていくので、最近チャラチャラした映画ばかり観ている私には変な意味で新鮮だったというか、こういうキャラクターを大切に形成していく過程に思わず襟を正して魅入ってしまった。

 

 

そういう描写がほぼ1時間続いてようやく指揮する姿、オーケストラを形成する描写に移行していくんだけど、同時にそこから日常生活が徐々に崩れ始め、精神的に徐々に追い詰められていく過程が描かれていって、ジワジワと緊張感が高まっていく。

 

 

その丁寧さはややもすると単調に陥りがちだと思うけど、この作品は全くそんなことはなくて、さりげないシーンにもどこか緊張感があるというか、退屈どころか心がザワザワ、画面を観ずにはいられない、そんな張り詰めた空気が常に保たれていたので、2時間38分という長尺は意外にあっという間だった。

 

あと凄いなと思ったのは、コロナ過を経た「現在」とSNSがすっかり浸透した「現在」をきめ細やかに描写しているところで、まさに今を生きるオーケストラ指揮者が描かれているんだなと。

 

しかも撮影したのは2021年だというからまさにコロナ過の中で「その後」を描いたということで、そういう意味でも少し驚いた。

 

 

昨年のアカデミー賞ではケイト・ブランシェットの演技は残念ながらオスカーには届かなかったけど、レズビアンで妻を持つ夫でもあり、娘を育てる父でもある天才指揮者という難しいキャラクターをこの抑制された演技で見事に表現したのではないか、ホント、ギャーギャーわめくこともほぼなく、淡々と、それでいて孤高の指揮者が権力に奢り、やがてそれを失っていくという一般人には計り知れないであろう内面の葛藤を実に見事に一般化して演じていたように思う。

 

 

そういえば冒頭にいきなりキャストクレジットが流れる...流れるというのは不正確で、下から上に流れず静止画面で次々に表示されて本編に入る。

 

それは何か意味があったのか、なかったのか...結局よく分からなかったけど。

 

従ってエンドクレジットは配役がメイン...何だったんだろうね。

 

 

監督はトッド・フィールドという人...調べてみるとあのスタンリー・キューブリックの遺作「アイズ ワイド シャット」でトム・クルーズ演じるビル・ハーフォードの学友、ピアノ奏者のニック・ナイチンゲールを演じた、その人ではないか!

 

あの映画は劇場で観て、特に傑作とも何とも思わなかったんだけど、どこか癖になるというか、DVDを買ってそれこそもう何度も観た作品だったので、あああのナイチンゲールが映画を撮ったのかと、少し不思議な感覚だった。

 

クレジットが静止画なのはキューブリックの影響か? 分からないけどね。

 

 

ていうかクレジットをスクロールさせず静止画にする意味もなんでだろうか、よく分からない。

 

確かウディ・アレンの作品もそうだよね...何かこだわりがあるんだろうか?

 

 

 

 

それはともかくトッド・フィールドの経歴をウィキペディアで見てみると、役者としての経歴は1999年以降は目立った活躍もなかったようで、監督としては今日の「TAR/ター」は16年ぶりに撮った3作目ということらしい...いずれにしても前2作も挑戦してみたいと思う。

 

 

でもやっぱり今日はケイト・ブランシェットの役者としての輝き、これに尽きると思う。

 

 

これまでそんなに出演作を観てきたわけではないけれど、過去作にあったような激しさ、力強さとはまた違った、静かな中に凄みを感じさせる、そんな見事な演技だったように思う。

 

 

たまにはこういう本当の意味での映画らしい映画もいいね。

 

 

「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」の監督、アーヴィン・カーシュナーの「映画の画面を人々の顔で満たしたい、これに勝る娯楽はない(Wikipediaより)」という言葉を思い出す。

 

 

忘れがたき名言だ。

 

 

余談だが「マエストロ」といういわゆる巨匠だとか、指揮者の尊称として使われる言葉だけど、私がはじめてその言葉に接したのは指揮者ではなく、ジョルジェット・ジウジアーロだった。

 

 

少年の頃にカーデザイナーに憧れていた私の、いわゆる「神」だったのがイタル・デザインを率いていたジウジアーロで、当時の何かの書籍に「マエストロ・ジウジアーロ」という表記があったので、彼のファーストネームがマエストロだと思っていたんだけど、のちにそれがジョルジェットだと知り、じゃあマエストロって何だろうということになって、ああ巨匠という意味なのか、指揮者の尊称なのかと知った訳だ。

 

 

もうひとつ余談だけど...明日、岸田政権、自民党の誰が辞任して、誰が更迭され、そして内閣総辞職になるのか、内閣不信任案は提出されるのか、自民党はポンコツ岸田総裁を挿げ替えるのか、解散総選挙はいつになるのか...ようやく日本の政治に大きな鳴動が起こりそうな予感がして、不謹慎だけどワクワクしている。

 

 

基本的にはリベラル寄りの保守なのかなと自分で何となく思っていて、加えて55年体制の崩壊に盛り上がり、やがて誕生する民主党政権を支持してきて以来、基本的にはアンチ自民、リベラルで今は立憲民主党を支持していて、加えてアンチ維新も標榜しているので、ようやく真っ当なリベラル寄りの保守政党である立憲民主党による「政権交代」を語れる時が来たのかなと、やはりワクワクせずにはいられない。

 

明日以降、臨時国会閉幕までに誰が辞めて、誰が起訴されるのか...そろそろ自民党とやらの政権担当能力云々ではなく、政権を担当する資格のない自民党を下野させなければ、今度こそ本当に日本が終わるような気がする。

 

 

枝野さんが言うように政治は「一寸先は闇」なので何が起こるか、それこそ緊張感を持って注視したい。