日曜日。

 

映画を。

 

今日は日本の少し古い映画を。

 

9時間31分に及ぶ戦争巨編「人間の條件」と同じ五味川純平原作の「戦争と人間」の今日は第一部を。

 

こちらも全編9時間23分の大巨編で、とりあえず今日は全三部作の一番最初の3時間17分。

 

 

「人間の條件」は軍隊の中で人間としての尊厳を模索するひとりの上等兵の目線を通して戦争を描いていたが、今日の「戦争と人間」は日本軍と結託する中堅財閥という設定の伍代一族の人間模様とそれに抗う様々な人たちの群像劇。

 

「人間の條件」は仲代達矢扮する梶上等兵という明確な主役がいたが、こちらは主役らしい明確な人物は存在せず、まさにそれぞれのドラマが複雑に絡み合っていて、昭和初期の日本が中国、満州にジワジワ進行して戦争の道に少しずつ陥っていく様をそれぞれのキャラクターの目線で入れ代わり立ち代わり、多角的に描いている。

 

 

当時の日活が社運をかけて、みたいなまさに超大作なんだけど、戦闘シーンは極めて少なくて、張作霖爆殺事件に至るまでの前半と休憩をはさんでいよいよ満州事変が起こって日本が本格的に戦争に突き進んでいく後半に至るまで、いわば武器商人としての伍代一族の暗闘とそれに翻弄されるさまざまな立場の民間人たちの葛藤、悲喜交々が入り乱れて3時間余りを全く飽きさせずにイッキに描いているという印象。

 

日活映画ということで所属俳優たちはもちろん、当時の演劇界の名優たちがこぞって出演していてまさにオールスターキャスト、それぞれのドラマの重みで次から次へと畳みかけてくるその贅沢さを堪能できたことも含めて、まさに重厚な群像劇を3時間余りにわたってたっぷりと見せつけられて、もうホント、お腹いっぱい。

 

まあでも1970年の作品ということでこの世にもういない名優たちがわんさか...古きよき日本映画といえばそれまでだが、一人ひとりのその存在感といったらもう、胸にグサグサ突き刺さる。

 

いわゆる「反戦」の観点でもあれこれ語りたいところだけど、第一部を観ただけであれこれ語るのもどこか烏滸がましい気がするので今日はこの程度で。

 

 

要するにまだ三分の一...もちろん来週は第二部、再来週は第三部を観るつもり。

 

楽しみに待つ。