7月号でまず注目したのは「開業医の既得権を打破せよ」。これは昨年12月号で「日本の危機の本質」を書いた「憂国グループ2040」の提言(医学部人気が続けば日本は衰退する、など)の第2弾で、今回は具体的な政策を提言している。それはリフィル処方箋」の普及ということ。花粉症や通風など慢性疾患の「いつもの薬」は医師の診断を受けずとも一定期間使うことのできる処方箋のことで、実は既に制度化しているのだが全く普及していない。なぜか?

私自身のことを言えば、高血圧で毎月1回開業医に通院させられているが、血圧を看護師に測らせる(血圧測定など自宅でできるし、やっている‼)だけで聴診器や心電図検査は全くなく(私は65歳時に冠動脈バイパス術を受けた身であるのに)診察時間は1分に満たない。それでいて(常に正常域内にもかかわらず)年に3回血液検査は受けさせられる。これなら医師の診察など全く不要だ。

明らかに開業医の金儲けのためである。しかし、武見厚労大臣は開業医の利益代表ー日本医師会のドンと言われた武見太郎の倅でまず岸田首相の指示があっても期待薄だ。コロナ禍で開業医はどうふるまったか。「発熱患者お断り」でワクチン1本接種で8000円の手当を分捕った。勤務医の過酷な勤務実体とはかけ離れて、(平均)年収3000万円を貪っている。この醜さに、筆者はいい喩えをしていた。米国は、退役軍人に劇場に特別席が設けられるような軍人がリスペクトされる国だが、いざ戦争という時「戦地に行くなら特別手当を出せ」と言ったらそのリスペクトなど吹っ飛ぶ。

岸田総理よ。どうせ地に落ちた支持率だ。医師会の支持を失っても、「リフィル歓迎。希望の方はお申し出を」との掲示を全医療機関に義務付けたらいかがなものか。国民医療費削減という誇るべき業績となるだろう。

 

「父・小澤征爾の娘として」(小沢征良)、「オラ生まれっ放しの声優」(野沢雅子)、「日活撮影所が学校でした」(吉永小百合)、と続けて3人の芸能界女性の記事がある。小澤征爾がボストン交響楽団の音楽監督が長かったからレッドソックスのファンであることは知っていたが、有名人によくある形だけのファンと思っていた。ところが、筋金入りのファンだったのだ。2013年癌の闘病中に、娘である著者ー征良がフェンウェイ・パーク(球場)に医師に無理を言って連れて行ったら、クローザー上原浩治(投手)の活躍もあってワールドシリーズ制覇した。ボストン在住29年間、コンサート本番の前でも後でも試合を見に行っていた(そのためレッドソックスのダグアウト斜め上に1席とってくれたそう)のだがいつも(たいてい)ヤンキースに敗れていた。それが、遂に「ベーブ・ルースの呪い」が解けたその瞬間に生で立ち会えたのだ。

吉永小百合は女優人生65年となるそうで、当然この国民的女優の映画、TVドラマをいくつも見ているが、彼女の美少女時代の映画、私がまだ小・中学生であったため全く見ていないのが残念だ。美しい!と思っていた芦川いづみが、彼女に本当に優しくしてくれた(ロケ中、熱を出した吉永を、翌日の撮影を顧みず、徹夜で看病したことなど)との語りは印象に残った。

野沢雅子とは誰か知らなかったが、「ゲゲゲの鬼太郎」の声と言えば私でもわかる。本人の選ぶ代表作は、他に「銀河鉄道999」「ドラゴンボール」だそうだ。御年87歳。そういえばこの間89歳で亡くなった「不二子ちゃん(ルパン3世)」の声担当の増山江威子(この方も訃報で初めて名を知った)と共、さすが声が若い!

 

山下裕貴「80周年 ノルマンディー上陸作戦に学ぶ経営戦略」における教訓は目新しいものでは全くないが、米軍側代表アイゼンハワーの経歴に驚いた。5年前まで無名の1陸軍中佐だったという。かたや英軍側のモントゴメリーは英国陸軍の長老だが、戦後まもなく「私の活躍は貴君の指導と親切と忍耐強さに負う」とのアイゼンハワー宛ての書簡を出している。なるほど、その後大統領になるだけの資質があったのだ。どうも彼の上司であった、傲慢が軍服を着たようなマッカーサー(ウエストポイント陸軍士官学校首席卒業ではある)とはだいぶ出来が違うようだ。ついでに記せば、ヒトラーの将軍「砂漠の狐」ロンメルは連合軍の上陸する場所も時期も読み違えて、休暇を取り、妻の誕生パーティーのため自宅に帰っていた。