思わず快哉を叫ぶー川勝平太の静岡県知事辞意表明にだ。その数日前、2027年としてきたリニア中央新幹線の開業時期が10年以上遅れることをJR東海が表明していたからなおさらの感動!がある。きっかけは1日の新入職員向けの訓示で、「県庁はシンクタンクだ。野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、皆様は頭脳、知性の高い方たち」との発言に批判が殺到したからだ。
日本および日本文化の優れているのは、額に汗して働くことへの敬意があることだ。それが高品質のモノ(農産品を含む)を生み出している。川勝の言葉は、官僚のみがまともな人間とする儒教そのものだ。日本は儒教を社会の基盤(宗教と言っていい)とせず、単なる学問の一つとしたことが独自の(優れた)社会を生み出した。清の高官はイギリス人がテニスをするのを見て、「あんなことは(本人がやる代わりに)使用人にやらせたら」と言った。
川勝が職業差別の意図は無いと釈明しても、あの言葉を素直に解釈して、職業差別そのものであり、それ以外の解釈は成り立たない。決して、よくある、発言の一部の切り取りではない。また、頭を使うのは官僚だけではない。農業でも工業でも頭を使わなければ成り立たない
「綸言汗の如し」という。政治家は天子ではないが、その言葉は同様に重い。
リニアは「失われた30年」の間で唯一日本が売り込むことのできた確立された技術のはずだった。(例えば、東京ー名古屋とほぼ等距離のニューヨークーワシントン間に売り込む。)それが川勝平太のため、現時点では無惨に散った。静岡県には駅ができないという本音を環境問題にすり替えたのだ。南アルプスの山中に駅など造ってはより自然破壊に繋がる。