前月は元旦に年賀状と共に届いたという珍事だったが、3月号は新聞広告より遅く届いた。

トップ記事は萩生田光一、加藤勝信、武田良太の鼎談「『派閥とカネ』本音で語る」だが大した内容はない。旧安倍派、元官房長官、旧二階派の取り合わせ(頭文字を取ってHKTと注目されてもいる)が面白いのみ。

航空機事故取材の第一人者ー柳田邦男の「JAL乗務員緊迫の証言―羽田衝突事故の死角」では、この会社の「安全の層」が厚くなっているのを評価しているのが注目される。これは、1つの組織とメンバーの安全性確保のレベルを、多様な安全への取り組みをダイナミックな幅のある姿で捉えようとする安全性評価の新しい考え方、だそうだ。安全対策の層が厚ければ大事故への発展を防ぐことができるというわけだ。具体的には、この機体に乗るのが自分の家族だったらという意識で仕事に向き合う「2・5人称の視点」の心構えを浸透させるグループ活動、本部依存や上司依存でなく、自ら意思決定をして挑戦する気構えを組織文化として浸透させることなどだ。

 

今月号は、「特集」とは銘打ってないが、性に関する記事が3編もある。三浦瑠璃、鈴木涼美の対談「「松本人志は裸の王様だったのか」、長谷川眞理子「『性』は選ぶものではない」、そして最も衝撃を受けた、秋山千佳「弟は父の性虐待で死んだ」だ。NHK朝ドラ「鳩子の海」の主演女優藤田三保子の兄がその子(姉弟)を性虐待していたという記事だ。ジャニー喜多川の問題は、この問題を知りつつ取り上げなかったメディアが一番悪いと思っているが、他人への性加害であり、1000年以上連綿と続くカトリック聖職者の場合と同様に罪深いが、実の子への仕打ちは余りに酷い。心の寄る辺を失った子供の気持ちはいかばかりか。被害者であるこの姉(「たえ」という)は結婚して夫と義母が良き理解者で関係を断ち切れたが、弟は自殺した。この男は孫(たえの娘)さえも狙い、藤田も高校生の時被害を受けたという。たえは言う「加害者である父親は何のお咎めもなく、普通のじいちゃんとして老後を謳歌している。あれだけのことをして弟や私の心を殺していったのに・・・。被害者は一生苦しむんです。」と。この父親は鬼畜にも劣る、と書いたら鬼も畜生も怒るだろう。ジャニー喜多川の被害者への誹謗中傷は後を絶たないという。日本のメディア、社会に決定的に欠けているのは性被害者の人権を守る意識だ。