今日11月15日は横田めぐみさんが拉致された日だ。朝からの新聞、TVによると43年になるようだ。両親の思いはいかばかりかと思うと胸が痛む。父親の滋さん、13歳の時以来一度も会うことなく先日亡くなった。無念であったろう。

 その滋さんが朝日新聞に絶縁宣言していたことをつい最近知った。社説で「日朝国交正常化には、日本人拉致疑惑をはじめ、障害がいくつもある」とあり、「拉致問題で騒いでいる私たち自体」が障害と受け取れる言い草に憤り「「親の代から購読していたのを中止した」のである。これを朝日新聞が明らかにしたのは2002年12月27日である。小泉訪朝により金正日が拉致を認めたのは同年の9月17日で、つまり拉致の事実を当事者が認めて初めて滋さんからの抗議を記事にしたのである。しかも日本人拉致「疑惑」という表現で、この時は既に「疑惑」ではなく事実にも拘わらず。それまで朝日新聞・岩波書店をはじめとする左派メディアと政党(日本社会党ー後社会民主党)は、「拉致疑惑」は右翼(産経新聞・「正論」・「諸君!」など)および政府のでっちあげと決めつけていた。それは、2001年「世界」(岩波書店)1月号・2月号に掲載された和田春樹の論文に代表される。

 滋さんの憤りについては、井沢元彦「逆説の日本史ー明治揺籃編」(小学館文庫)で知る。「逆説の日本史」は、これが最新刊で第23巻となる。私は、文庫で、1巻からその全てを読んでいる。この巻では、近代に入ったこともあり、第1章「近現代史を歪める人々」でこの巻の半分を使って私がこのブログの「メディアに求められること」で主張してきたことと全く同じ趣旨の主張をしている。かつて「日本の良心」とされた朝日新聞、岩波書店がいかに日本の世論を歪めてきたことか。「北朝鮮は地上の楽園」ともてはやし在日朝鮮人およびその配偶者を北朝鮮への帰国事業を積極的に支援したのは誰だったか。毛沢東の権力闘争「文化大革命」(実態は中国人民大虐殺;現在では中国政府ですら否定的評価をしている)に提灯記事は書き続けたのは誰だったか。ありもしない「南京大虐殺」(少なくとも住民30万人を日本軍が虐殺した事実は全くない)キャンペーンを張り続けたのは誰だったか。自社の記者および「進歩的文化人」を使って共産主義礼賛を続けたのは誰だったか。「共産主義国家にはチリ1つ落ちていない」「共産主義国家には、歪んだ資本主義が存在しないから、公害がない」とは彼らの当時のコメントである。モデルハウスを見せられて、それが社会の実態と思い込む恐るべきナイーブさ(日本語「ナイーブ」と異なり、原語では、世間知らず、騙されやすい、単純、といった否定的意味しかない)、笑うしかない。

 彼らのなした犯罪は共産主義礼賛に留まらない。吉田清治の「戦時中、日本軍兵士として、済州島で若い朝鮮人女性を手あたり次第強制連行し慰安婦とした」との事実無根の「証言」を大々的に報道したのは誰だったか。「日本の良心」が報道したこと故、国連が認定し、「日本軍は朝鮮人少女を強制連行し性奴隷とした」と世界中の歴史教科書に書かれることになった。これほどのこと、私は「売国奴集団」以外の言葉を知らない。

 私は滋さんより早く1975年頃から朝日新聞の定期購読を止めた。それまでは(小・中・高の)日教組教師よりの「朝日新聞くらい読みこなせなきゃ」を素直に実践していたのだ。「文藝春秋」を定期購読するようになって変わった。思えば私も「ナイーブ」だった。言っておくが、「文藝春秋」は読んでいることがカッコいいとされる雑誌ではなかった(「プチブル雑誌」と称されるもの)。カッコいいとされるのは、「世界」「朝日ジャーナル」だった。