安保法案(野党の言う「戦争法案」)が審議されているころからケント・ギルバートを久々にTVで見かけることが多くなった。昔のバラエティと違って報道番組である。昔はカリフォルニア州弁護士と言っても、多少誇張していえば、アメリカの弁護士数は日本の英検2級年間合格者数ほどの多さだから大した知性と考えていなかった。しかし報道番組での彼を見て優れた知性と日本への愛を感じていたところ、昨日スポーツクラブからの帰り道寄った本屋で彼の「やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人」(PHP研究所)を見かけた。立ち読みで済まそうと考えていたのだが、2つの理由で買うことにした。一つは、当然のことながら、じっくり読むに値する本であったことだ。
この本の腰巻には、「アメリカがつくった平和憲法(?)にしがみつく人たちには、こんな話をしてみてはいかがでしょうか?」とあり、「こんな話」とは、まさに私が常に主張しこのブログでも再三書いてきたことである。ここまではTVでの発言から予想していたことだが、私の知らないこともあったのである。
第一に、司馬遼太郎のうそである。学徒出陣で戦車第一連隊の下級将校であった司馬は本土決戦のため満州から栃木県佐野に移動したとき、敵上陸とともに東京から荷車に家財を積んで北上するであろう避難民と南下する戦車部隊がぶつかった時は「轢き殺してゆけ」と指示されたと「歴史の中の日本」ほかいくつかの著書で書いているが、これを同じ部隊にいた人たちは全て否定しており、司馬の小説家としての創作であることが秦郁彦氏らの研究で明らかになったというのである。司馬ファンの私としてはいくらかのショックはあるが、日清・日露戦争を祖国防衛戦争と位置づけても、それ以降の日本については極めて否定的に見ていることを承知しているから、その可能性を否定できない。
第二に、日弁連の反日性、左翼性である。無論その傾向があることは承知していたが、ここまでひどいとは思っていなかった。弁護士は日弁連以外に各県の弁護士会に所属しなければならないのだが、日弁連は全国組織だから資金が豊富であり、その潤沢な資金で世界中で反日工作を行ってきたという。例えば2014年7月、国連欧州本部で日弁連は「日本政府は朝鮮学校を無償化せよ」という運動を行ったという。朝鮮学校に通うのは自由だが、文部科学省の指導要領に従わず北朝鮮政府が採用した教科書を使い「将軍様」の肖像画を掲げて反日教育を行う学校を、なぜ日本国民の血税を使って完全無償化しなければならないのか。
第三に、今は右寄りの論調とされる読売新聞も、「中興の祖」とされる正力松太郎が「ポダム」と言うコードネームを持つCIAの工作員(アメリカにとってエージェント、日本にとってスパイ)であり、左寄りの朝日新聞主幹の緒方竹虎もCIAの工作員であったこと。正力の下にいたのがナベツネであり、彼が若いころマルクス主義にかぶれ共産党員であったことは知っていたが、彼の英会話の家庭教師がアメリカ空軍の諜報部員であったロバート・ホワイティングだったという。野球ファンの私は、ロバート・ホワイティングについては、「菊とバット」など野球に関するいくつかの本を読んで知っていたが、その前身は諜報部員であったとは。
第四に、毎日新聞がその公式サイトで日本人を侮辱する英語記事を海外に向け垂れ流し続けてきたこと。曰く、「日本では小学校に通う普通の少女たちが放課後に売春婦として働く」「日本の母親は受験生の集中力を増すために息子の性処理をしてあげる」「エクアドルではジャングルに放たれた子供たちを日本人がライフルで『狩猟』している」といった記事を載せていたという。朝日・テレビ朝日、毎日・TBSの反日報道は私も手厳しく批判してきたが、ここまでひどいとは。これらの内容を信じた知的レベルの低い外国人が日本および日本人を嘲笑うことを許しつづけてきたという。ここから、「JKお散歩」などを喜んでいる情けない人は、激しい国家間の情報戦で利敵行為となることを知るべきだろう。
私は、戦後のGHQによる情報統制(WGIP)とその後の「朝日(+毎日およびこれらの系列TV局)、岩波、日教組」を激しく攻撃してきた。これはこの本におけるケント・ギルバートの主張と全く同じである。私は「シールズ」なる無知蒙昧集団を歯牙にもかけなかったが(これを大きく取り扱ったのが上述のメディアだが)、「家に帰ったらご飯をつくって待っているお母さんがいる幸せ」を訴えていたという。彼は「これが戦後教育の集大成なのだな」とあまりのレベルの低さを嘆いてくれていた。「中国」(これは尊称である)とは書かずに「PRC」と書き、日本が戦後「大東亜戦争」という呼称を捨て「太平洋戦争」としていることを嘆いてくれる。その彼が提言する。「PRCの過去のご乱行を世界記憶遺産に!」と。南京事件を中国がユネスコに申請し認められたことへの意趣返しということだ。毛沢東の「大躍進政策」や「文化大革命」でそれぞれ5000万人程度が餓死あるいは虐殺された歴史的事実がある。「もし、大東亜共栄圏構想がなければ、アジアやアフリカ諸国が独立を果たすこともなかったのは、歴史の厳然たる事実」とも言う。これほどの親日家であり、「ケントはネトウヨ」と罵声を浴びせられながらも頑張ってくれている彼にして、自立さえしない国を守ろうとはアメリカ人は考えないだろう、という。当然のことだ。私もシールズのバカ集団に言いたい。今、韓国が実効支配し日本が領有権を主張する(当然のことだが)竹島は、韓国初代大統領李承晩が勝手に1952年1月境界線(李ライン)を引いた結果であり、このとき日本には、「平和憲法」のため、海上自衛隊(1954年7月設置)は無論、海上警備隊すら存在しなかった。力の空白は弱小国家であった韓国にすら侮られたのである。「平和を愛する諸国民の公正と信義」(日本国憲法前文)が存在したことなど歴史的に無いのである。タイトル通り、「自虐史観のアホらしさ」に日本人は本当に気付いたのだろうか。いまだ、反日メディアが多すぎるのだ。
最初に書いた2つの理由のうちのもう一つは、昨日はプロ野球の開幕日であり、立ち読みする時間があまりとれなかったことだ。今年の巨人の下馬評はあまり高くない。4位と予想する評論家さえいた。技術論はともかく、野球評論家の予想などあてにならない。事実、去年は巨人1位の予想が圧倒的だったが、私は願望とは別に不安視したことを昨年書いてその通りとなった。今年は開幕2連勝。期待したい。