逢瀬に向かう車窓から… | 鏡の中のあなたと私

鏡の中のあなたと私

今までの人生を振り返りながら、
鏡の中のあなたと私のこと、つらつらと綴ります。

朝、目覚めて洗濯機を回す。


洗面所の窓を開け、外の様子を伺えば、今にも泣き出しそうな空を睨んで念を送る。


私が駅に着くまで雨よ待てと…


シャワーを浴びて、インドのターバンを二階建てにしたくらいのバスタオルで髪を包み、ちょっとだけ高いインスタントコーヒーを飲みながら、かなり乾いた肌に安物の化粧水をたっぷりと叩き込む。


食卓テーブルに娘から誕生日祝いに貰った女優鏡を立て(一度も女優ライトは使っていない)、鏡に映る自分の顔を見て、あれぇ〜ハクション大魔王に似ているなぁ〜と苦笑しながら化粧を始める。


今日は先生に会うのだから、いつもは付けない桃色の頬紅をクルクルといい気になって頬に馴染ませていたら、オカメインコになってしまったのでファンデーションでぼかした。


大量の洗濯物を干し、好みを超えた、痩せて見えそうな服を選び、パサついた髪にヘアーオイルを擦り込み太めのコテで髪巻く…。


縦ロールに巻くこと数分…


毛量が少なくなったことに気づき、真っしろしろの白髪頭が良いか? 薄毛で地肌が見える方が良いか?


う〜ん、年齢的にどちらが良いものだろうかと悩んだりしながら、やっぱりどちらも嫌だよね…と、あまりにも当たり前の回答に、鏡の中の私に頭悪っと言ってみる。


さて、身支度も整えて、いざ出陣。


玄関を出てバス停まで歩き出すと、突然の雹が…。


使い古して撓んでいる折りたたみ傘でもはっきりとわかるボツボツボツと打ち付ける衝撃音に、あぁ〜バス遅れるなぁ〜と悟る。


でも、奇跡的に5分遅れで到着した。


あら?今日ってラッキーじゃない(^^)


バスの車窓からは、元荒川に連なる桜並木が寒そうに佇んでいた。


桜に負けじと、桜まつりイベントで商工会主催のテント村が忙しく準備を始めていた。


だけど…桜、一つと咲いていないし、愛らしい蕾の膨らみも色づきも見られない。


唯一、サーカスカラーの屋台のテントが河川敷を明るくしているだけで、空も川面も笑顔も目に映る全てのものが曇ったままだった。


誰の判断かわからないけれど、毎年、桜まつりの開催日設定を誤るんだよね。


そんなことを考えながらバスは駅に着き、混み合う車内に飛び込んだ。


ドア付近に若い頃の堺正章さんそっくりな青年がいて驚いた。


おまえ、年を取ったら、こんな顔になるぞと、現在の堺正章さんの顔を見せてあげたかったけど、他人事だからね…と諦めた。


朝、起きてから色々なことがあった。


家を出た瞬間、雹が降るなんて最低だし、花の無い桜まつりも尋常ではない。


それでも私の心は浮かれていて、早く電車、着かないかなぁ〜と一心に思ってる。


幸せな人、不幸な人…側からは見極めることができないけれど、自分の幸せは他人と比べられるものではないよね。


私は先生に逢える今日を幸せに感じてる。


たとえ…この後、土砂降りになろうとも…(^^)


美月