ナカちゃん、倒れる。 | eteko屋スタジオ

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勝手気ままに生きてる自己中だよ。
妄想では、苦節40年のミュージシャンなのだ。


とうとう、こんな日が来てしまった。

朝、ケア・マネージャーから連絡が入る。

田尻の家に、週に2回来てるヘルパーさんが、8時に行くと、ナカちゃんが出てこないと言う。
玄関のブザーを鳴らしても出てこない。
当然、ヘルパーさんが来ることは知ってるよ。

それが出てこない。

一抹の不安がよぎる。

桜川のボロ屋敷から田尻の家に向かう。
警備員のバイトが入ってないのが良かったよ。

9時30頃、田尻の家に着く。

隣の奥さんが不安げな顔をして、オイラのとこに、小走りで駆け寄ってくる。

さっきまで、タクシーが家の前に止まってたんだけど、おばあーさんが出てこないって帰っていきまたよ。
タクシーの運転手が家の異変に気付き、隣の奥さんに言付けしたようだ。

ケアマネジャーの連絡で、今日は島崎病院に行く日なんで、病院にも問い合わせしたけど、来てないと言ってた。

玄関のドアのカギを開けて家の中に入る。
リビングの電気は付いてない。
テレビも、
人の気配なし。
ナカちゃんの寝室になってる日本間のドアを開ける。
ベットにもいない。
短い廊下の突き当りにあるトイレのドアを開ける。
いない。
トイレの隣が浴室になってる。
浴室の扉を開く。
ナカちゃんが裸で、洗い場に横向きにうずくまってる。

オイラは慌てて駆け寄る。
「おーい、大丈夫。」、と、何度も声をかける。
そして、裸の身体の右手を握りしめる。
ナカちゃんも握り返す。
しかし、その手は冷たい。
意識はあるみたいだけど、返答しない。
朦朧としてるみたい。
倒れてから大分時間が経過してるようだ。
シャワーが出っぱなしになってる。
水になってる。
温度を上げて出してみたけど水だった。
エコキュートのお湯を使いきっちゃってる。

身体を動かして、浴室から出そうと思ったけど、それもまずいと思った。

脱衣場にある、バスローブ、バスタオルを身体にかける。
部屋にあるハンテンも2着、かける。

それから、110番した。

間もなく、遠くで緊急車両のサイレンの音が聞こえてくる。

最初に到着したのは、パトカーだった。
警察官が3人、家の中に入り込んできた。
パトカーより、救急車なのに、
その後に、消防車が入ってきた。
なんで消防車と思った。

最後に救急車が到着した。

ナカちゃんを搬送する時に毛布みたいなものはありませんかと言われた。
ベットのタオルケットを差し出した。

ナカちゃんは、日立総合病院に搬送すると言ってた。


田尻に家を建てて、ナカちゃんが住みだしてから、5年目かなあ。

田尻の家に、人がこんなにたくさん来たことないよ。

家の前の歩道には、10人ぐらい、野次馬もいたよ。

田尻の家に、こんなに人が集まったのは、初めてだよ。