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なぜ 彼じゃないのだろうと思った。
思ったら涙が出てきた、止まらなかった。
よりによって何で こんな状況で。

わたしは今 彼がどんな顔をして どんな声をあげて笑うのかを知らない。
もう ずいぶんと長い間知らないのだ。
現代の情報システムは進歩しているから どこかで彼の写真や文章を見かけることはあるけど それだけだ。
画面の中で 彼はピクリとも動かない。
隣を歩いていたこともあったのに。
わたしに会いに来てくれたこともあるのに。
一緒に夕陽を見たこともあるのに。

やっぱりどうして 彼じゃないんだろう。
いつも いつも。
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愛してる の言葉の真意は
何度言われても解らなかった。
わたし達の関係に 言葉などただ一つさえ
必要だったのだろうか。
そんなもの
ただの自己満足でしかなかったのではないだろうか。

だからわたしは口を閉ざし
ただ むかし を想っていた。

あんなに欲しかった人が
少しずつ 少しずつ 崩れていく。

わたしは変わってしまった。
あなたも変わってしまったね。
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深夜のあの人からの着信、が、一件、チカチカ。
何でわたしは眠れもしないのに、マナーモードなんかにしていたのだろう。

(そうだわたしは睡眠障害だっていうのに。)

眠れずあの人のことを考えていた。
静かな夜に息を潜め、ひそかに、あの人のことを考えていた。

(あの人については、想うとは少し違う。ひたすら考える。頭の中で考えを巡らせる感じ。)

だから電話に出られなかった。
わたしがあの人のことをずうっと考えていた時に、あの人もわたしの存在を思い付いて電話を鳴らしていたなんて。

なんて、なんてばかなわたし。