NMNや抗老化物質について | etan-guitarsのブログ

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月水木は空港職員、金土はホームヘルパー兼ベビーシッター、火曜と日曜はエレキギターの製作をしております

 医学文献の翻訳を長年お手伝いしている関係で、いわゆる『抗老化』物質については早い時期から注目していました。


 しかし論文の発表から『その内容を宣伝に利用した商品』の発売までのスピードが異常に早くて、消費者の理解が追いつく前に市場を荒らすだけ荒らし、結局その素晴らしい発見も役立たなくされてしまうという残念な結果になる事もたびたび…


 NMNについて語る前に、その物質がどういう物であるかを正確に知ってもらうことがなぜ重要かを知っていただきたく、過去のお話を少々。


 アンチエイジングに関心のある方なら、レスベラトロールという名前を聞かれたことがあると思います。レスベラトロールには長寿遺伝子のサーチュインを活性化させる働きがあり、当時は長寿薬の開発が可能になったと話題で、NHKの『ためしてガッテン』でも複数回取り上げられたほどでした。


 レスベラトロールは赤ワインの製造時に残る搾り滓からも抽出可能ですが、最も安価に製造するにはイタドリという野草(雑草)を利用していました。イタドリ由来のレスベラトロールを含むサプリメントは世界中で作られましたが、どれも『効果が感じられない』という事で、数年で売れなくなり、製造も打ち切りに。


『結局、レスベラトロールって効かないじゃん』という声が多くなり、5年経った今ではほとんど見向きされなくなりました。


 でもね、レスベラトロールは本当はかなり抗老化効果があるんです。ヒトで行なった試験でも、血中に200mg毎日点滴投与すると明らかな効果が認められる、と報告されています。


 で、この数字だけが一人歩きして、多くのサプリメントには、『毎日1錠お飲みください。1錠中レスベラトロール200mg含有』みたいに書いてあるわけですが…


 どこが間違っているかと言うと、点滴で血中に入れるのと、錠剤で飲むのでは吸収率が違うわけです。点滴で入れたら血中濃度に100%反映されますが、錠剤で飲んだ場合、腸管から吸収されるのは0.1%未満という実験データがあります。


 つまり飲むサプリメントでレスベラトロールを血中に200mg入れるには、最低でも0.2Kgを毎日摂取する必要があります。具体的には、ネ●チャーメ●ドの徳用250錠入りビッグボトルを毎日4本飲む感じ(笑)


 イタドリ由来のレスベラトロールは他の分子と結合した状態で更に吸収されにくいため、もっと大量に摂らないと(笑)


 ま、イタドリからレスベラを抽出した場合、不純物として有毒な成分が混ざることが多いため、日本では製造も販売も禁止になっちゃいましたが。


 ちなみに『酵母培養法で作ったNMNは天然素材だから安心、化学合成で作ったNMNは危険で吸収率も低い』なんて書いて、自社のサプリを宣伝してるサイトとかありますが、大嘘ですね(^_^; 天然素材だから安心とか馬鹿かと思います。それなら天然のフグの肝とか食べてみろよ、天然素材ですぐ死ねるから(笑)


 レスベラトロールを利用しやすいよう、製造原価を1/100以下に下げ、腸管からの吸収率を500倍以上に増やす方法も見つかってはいるのですが、既に市場では『レスベラトロールは効果無し』という共通認識ができあがっているため、数億円が必要な試験プラントの建設もスポンサーが集まらず断念したという経緯があります。


 1日分が100円のサプリで健康寿命が数十年延ばせたかもしれないのに、本当に残念。←これが実現したら国民健康保険の制度が崩壊する(保険料払わず医療を受ける高齢者が激増するから)ので、厚生労働省から圧力かかるんだろうなぁ(笑)


 さて、長くなっちゃったのでNMNの話は次に続きます〜