丸と角の融合① | 秋色コスモの 機械式時計と趣味のブログ

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時計の基本形はラウンド、つまり丸型。


一方、バリエとして対極をなすのが


スクエアやレクタンギュラー等、角型。


後者は自然界にない形、知性の象徴‥‥


丸型から次に行き着くオトナの時計、


と言われる一方で、〝オッさん時計〟


と揶揄されたりもする。個人的には、


①同フランセーズ


②タンクアメリケーヌ(アメリカン)


③パテック5014ゴンドーロ


をかつて所有した。




角型は難しい。ダイアルデザインに


よるところは大きいが、概して


視認性や時刻合わせはイマイチ。


はサイズの小ささ、インデックスや針の


形状から、扱いにくいし、見にくい。


中身はエタだし、ま、はっきり言って


ブレスも含めたデザインだけの時計。


は①を更に縦長にしたダイアルのため、


始末が悪い。レールウェイ目盛の真上に

目盛より太い分針が重なるため、

時刻合わせや視認の点で煩わしい。

これも奇抜なケースデザインだけの時計。
(中身はエタ。恐らく90年代まではピアジェでまだマシだった。エタを使ってコスト下げておきながら、価格は上げたわけだから始末悪い。これもホント、外枠だけの時計)

こういうデザインやファッション性に


偏重した時計は、実用性に影響なくして


済むことがほとんどない。したがって


私には長続きしなかった。

(カルティエだけで角型を総括するな、と言われそうだが💦)




その点、同じ角型でも処理が


全く異なるのが③パテック5014


レクタンギュラー状に配されたローマン


インデックスに対して、その内側には


オーバル状のレールウェイ目盛があり、

(外枠のスクエア、ダイアル上のオーバル、ラウンド目盛という組み合わせの妙が面白い。放射状に広がるローマンインデックスのユニークなフォントと相まって、角型に変化を与え上手く魅せている)


視認性が上手く担保され、デザイン的にも


まとまりがある。バトン状の針に


若干の物足りなさは感じもするが、


レールウェイ目盛に分針先端が掛かる。


この辺、「時を見る・知る」道具としての


配慮があって、カルティエとは違う。

(ただし、目盛がスモセコで分断されているのは残念


このダイアルデザインと機能のバランスが


まだある点、カルティエより評価したい。




しかし、結局のところ、


自分にとって総じて角型時計は


常に傍に置くにせよ、


お蔵入りで時々愛でるにせよ、


追い求めたり末永く所有する一本


という時計像からは外れた。


それもかなり早い時期に。




かくして長い間、角型時計にほぼ見切りを


付けていたが、改めて衝撃を受けたのが


パテックのノーチラス5711だ。


3800では小さ過ぎる。かと言って


この5711はデカ過ぎる。しかし、だ。


5711は不思議。これがもし角型で


四隅があったらバカデカい。しかし、


オクタゴンだから四隅はない。


加えて、ブレスはラグと一体化して


その四隅からテーパーして伸びるため、


ケースとの連続性とまとまり感があり、


デカさはそこまで感じさせない。


オクタゴンとは言っても

縦横の辺が長く、緩くカーブを描くため、


角型の要素が上手く和らげられて埋没し、


トータルでは丸型に近い印象で入って来る。


四角にあらず。しかし角型のバリエ。


これが丸型とうまく融合した感じ。




目盛やインデックス、針の配置や


デザインバランスも良く、タンクに感じた


視認性や取り扱いの困難はない。


そのせいか、あれだけのデカさの割には


腕に乗せると不思議と収まりは良い。


(某店で試着させてもらったもの)


ラグ一体のミドルケースは薄くフラット。


対するベゼルの力強い形状と厚さの


迫力に埋もれ、さほど違和感はない。

(もっとも、初めて装着した瞬間だけ覚えはしたが)


一回り小振りな5800になると、多分


この迫力はかなり削がれるだろう。


結局のところ、サイズは多分


ジャンボがジェンタの一番の真骨頂だろう。


いずれにせよ、丸でもない、角でもない。


一方で、丸であり、角でもある。


この不思議な融合が覗かせる時計、


それが5711ノーチラス。


遅れ馳せながら良さを実感。


しかし、時既に遅し💦‥‥