拝啓〝驚嘆卿〟 | 秋色コスモの 機械式時計と趣味のブログ

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ロードマーベル/Lord Marvel 


って、考えてみれば


大仰なペットネームだ。




marvel は辞書的な逐語訳は「驚嘆」


「驚くべきもの」wonderの強意語。一方


Lord は固有名詞と共に用いて「〜卿」


だから組み合わせると


〝驚嘆卿〟とでも言うのか。


中国で売るならいざ知らず、それじゃ


横文字流用のカタカナが横行する最中、


冴えない響きになる。




英語の響きはともかく


〝マーベル〟というカタカナの響きは


日本人には優しく柔らか?というのも


意味は違うが、音はマーブルに近いから。


英語/欧米言語の語根に馴染みがない


我々は、響きの似た単語とイメージを


直結させることが多いだろうからね。


さすれば、ヘタすると〝ロード〟で


roadをイメージする人もいるかな。


一般人にとって、カタカナで聞くと


Lordは特に馴染みが薄い、現代でも。


ましてや、終戦後15年ぐらいの


50年代の終わり、LMが発売された頃


当時の一般的な日本人に、この二語は


どう響いて迎えられたのだろうか。


何だかわからないが何か凄そうだ、


かな?そういうのに人は弱いからなぁ。


そもそもそういう戦略だったか?




欧米を倣え、追いつけ、追い越せ!


みたいな風潮でありながら、


根底では憧れ意識が強く、


エキゾチックな響きも手伝ったか。


いずれにせよ、グランドセイコーや


キングセイコーみたいな、いかにもな


「これでもか」的な響きがない。


かと言って、エクスプローラーや


サブマリーナみたいな英語圏で


付けられたストレートなものとも違う。


現代と同じ感覚の、イメージや象徴を


重視したネーミングとも考え難い。


このようにあれこれ思うと、かえって


このペットネームに不思議な魅力を感じる。




時代と環境、そして人が変われば、


時計そのものはもちろん、ネーミングも


当時とは全く異なる印象を与え、


異なる意味を感じさせるようになる。


ロードマーベルを当時難なく所有できた人、


苦労してようやく所有できた人、


それぞれの人に思いを馳せる。まさか


60年以上先の未来に、こんな時計オタが


当時の額を遥かに上回るこの時計を

当時を思えば造作もなく手にしている、


などとは思いも及ばなかったであろう。




そんな当時の所有者に対して、


敬意を込めて


拝啓〝驚嘆卿〟


とつい、呼びたくなる。