ダイアル色は、ともにシルバーと括られる。
しかし、57GSはサンレイだが光沢がない。
一方、44KSはダイアル表面に光沢がある。
こちらは白っぽく、光沢のある分明るく
パテックのオパーレセントっぽい色目。
両者ネット画像の印象も異なるわけだ。
これではGSがシルバー、KSがホワイト
と言われたら信じてしまうだろう。ただ、
ホワイトっぽく見えること自体は
この時計をハメる上で自分にはプラス。
プラ風防の縁はエッジが効いた処理。
だから当然ドームではない。
ロレックス4桁交換用で見慣れた形。
しかし、表面は真っ平らだ。
(ロレックス純正は中央部がほんの少しだけ盛り上がっている)
腕に装着すると、この瓶底みたいな部分の
厚みが、ベゼル幅とほぼ同じに見える。この
風防エッジとベゼルの織りなす二重ラインが
ダイアルの輪郭を強烈に浮き立たせ、
見た目のアクセントになる。
意外だったのはサイズ。57GSとは
たかが2mmの違いと侮っていたが、
44KSは思った以上に小さい。
さながらカラトラバケースの
流麗さがありスマートにさえ見える。
実はケースは57GSと兄弟さながらの
似たイメージを想定していた。つまり
当初はキンクロ初期49999あたりの
武骨さ漂う出立ちを期待していたので、
この点は見事に裏切られた感じ。しかし、
これはこれで方向性が57GSとは
正反対でかえって興味深い。
小振りな手巻きデイトという引き出しが、
これまでの蒐集に存在しなかったので、
ワクワク感はハンパない。
44KSは、初期キンクロや57GSの
アクの強さとは一線を画して
こじんまり、しかし、がっしりまとまった
タイムピース。60年代という時代を考えれば
驚くほど流麗なラインを持っていて、
キンクロからの進化は著しいものがある。
ゴツさがなくしっとり腕元に収まる
という意味では、57GSとまた違って
これぞ究極の普段使いのデイト付手巻き
と言えるのかもしれない。
収まりのよいサイズ感と
スタイリッシュな出立ち。
やはり、白州派はKS派なんかな。