名付けて「時計時経学」 | 秋色コスモの 機械式時計と趣味のブログ

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gerontology (ジェロントロジー)
という学問をご存知ですか?
「老年学」といい、
ヒトの老化に伴う
①社会的、経済的問題
②精神面(知的能力、適応性)への影響
③身体への影響と病気、
及び
④動物全般についての加齢の生物学的研究
を扱うものです。


一方、時計を扱う学問は
horology  (オロロジー)
で「時計学」といいます。
詳しくは、以下を参照してください。


時計の中でも、
特に世界的マーケットが確立している
ロレックスにおいては、
骨董品顔負けで、
時代を経て評価され、
価値が上がる一面があります。
特に、機械自体の価値とは別に、
パーツのロットによる違いや、
経年変化(劣化)で
価値が認められる面もあります。
こういった側面にスポットを当て、
更に詳しく掘り下げる学問分野が
horology  (オロロジー)「時計学」
から分化して存在しても
面白いと思いました。


そこで、

horologygerontologyを融合させて、

gehorontology  
(ジェオロントロジー)

とし、
「時計時経学」
(とけいじけいがく)
なるものを勝手に考えました。

扱う内容は、
ロレックスの経年に伴う
①希少性、資産価値的問題
②ムーブメントへの影響
③パーツの変化と影響
及び
④他メーカーを含め時計全般についての
劣化、エイジングの研究
です。


ヴィンテージとして
いろいろもてはやされているモデルも
中には
「え?劣化しただけの、
ボロいロレックスじゃん⁈」
など、不思議に思ったことありませんか?


以前どこぞの店で、
見返し(インナーリング)とプラ風防の間に
サビが生じた個体を、
スタッフが「いい背景になってマス」
と言ったのを聞いて驚きました。 
他のショップのスタッフに聞くと、
「その部分のサビは難しい。
メンテで落とすのですが、
結局はその部分を薄く削るわけです。
その分、風防との間に微妙な隙間は
できるわけで、なんだかんだ、
またサビは生じます。
サビは『背景』なんかじゃありません。」


一方で、サビとイコールかどうかわかりませんが、ダイアルの腐食の問題もあります。


下の写真は、初期エルプリデイトナです。
2時から3時の間の分目盛に
白くくすんだ部分があるでしょう?
これ、日ロレ見積もりで「要交換」扱いです。
「腐食あり」と明示されました。
{D2A1A995-AADA-46D5-9626-18C47E02524F}



次は、16550初期版ダイアルで
レールウェイではないもの
(レールウェイはクラックが入り、
俗に言う「スパイダー」になるようです)
こちらの個体は、
▽と◯インデックスの縁が腐食して
ブツブツが出ています。
これは、実はダイアル全面に見受けられます。
{A50CF1AB-651D-499C-8062-1826EC689721}
また、
次も上と同じ個体ですが、
59〜01分、03〜07分あたりの縁に
クラックが散見されます。
{E6434257-D8ED-47EF-95E8-A2148A267C0F}


この二個体に関しては、
新品同様な機能維持や回復を良しとする
日ロレからすれば、「劣化」でしょう。
しかし、日ロレメンテで交換推奨を無視し続け、外部メンテでしのいでまで
オリジナル性を重視するなら、
希少さゆえに「背景」となりうるでしょう。


93年あたりの16613「紫」サブも、
紫が濃さの度合いは、劣化の度合いと
正比例しているのは否めません。
ダイアル表明の、劣化による斑点と、
やはり劣化による溶けて変容したような凸凹。
加えて、秒針中央の凸凹(キズ?)と、
ハンズ全般の金の色落ち。
(当時このパーツ素材はYGにあらず)
{BDB0F9EA-0719-4B91-A2DA-0FA1F09F6D4A}

悪くとれば劣化、よくとればエイジング?

とり方だけの問題か?
とり方を決める要因は?
どのモデルならエイジングとされるのか?
どのモデルなら劣化として一蹴されるのか?


昨今話題の、
60年代後半モデルに散見される
「トロピカル」など、
ダイアルの腐食、または
サビのようにも見受けられます。
これも、ダイアル全面に
バランスよく広がっているものと、
ムラがあり汚い広がり方のものがあります。
エルプリのパトリッツィ・ダイアルも然り。
ダイアル全面トロピカルは
最初から珍重されるのはわかりますが、
ムラありも価値が認められ始め、
特に、
「エイジング途上なので
今後の変化や成長が楽しみ」
などとショップは謳います。


こうした現状も踏まえ、
gehorontology  (ジェオロントロジー)
で扱うのは、
①希少性、資産価値的問題
経年に伴う、いわゆるヴィンテージロレックスの各モデルの系譜と資産価値の研究。

②ムーブメントへの影響
経年によるムーブメントへの影響の研究。

③パーツの変化と影響
上記のような劣化について、
プラス面としてとらえられる
価値が認められるエイジングなのか、
何かしら個体のダメージに結び付く、
単なる劣化なのか?
この線引きが、
モデルやパーツによって、また、
その他の条件や要因によって、
どう変わるのか。

などに関する研究を行うものとします。


もっとも、私が率先してやろうというより、
既にこういう研究は、各ショップはおろか、
メーカー自体がやっていて、
情報はかなり蓄積されているはずです。


昔は、動物学、植物学、地質学、鉱物学も
全て一括りに「博物学」と呼ばれていました。
それが分化したんですよね。
今回私が言ってるのも、
分化してこんな学問があったら面白い、
という意味の提案です。
一ロレオタの戯言です。
が、興味を抱いたり、賛同される方が
いらっしゃると嬉しいですね。