あぎニャンの地球一周の旅 -5ページ目

夜の儀式

私の滞在しているところは現在、乾季。雨がほとんど降りません。

そして、川も車で1時間半くらい離れたところにあるので、水はとても貴重です。

最初に夕食後の皿洗いをしたときのこと。

日本でやるように洗剤で洗った後、一つ一つ流水下で洗い流していたら、水がより無駄に

なることを告げられ、洗い方を教えてもらいました。

まず、水を台所用たらいに張り、そこにお皿を入れて一つ一つ石鹸で洗います。その後、その水で

大まかに石鹸分を落とします。全て終わったらたらいを少量の水でゆすぎ、きれいな水を張り、もう一度

全ての食器をたらいの中ですすぎます。さらにもう一度、行い、終了。

卵や肉、魚などの動物性のものを料理したときは、2度目のすすぎの水にレモン(日本ではライムに近い)を2個

絞って入れます。すると臭いや雑菌が減ります。

そして香りもさわやか!(ぜひ、お試しください。オレンジでもいいそうです。)

食器もおなべもママが結婚してからずっと大切に使っているもので古いけど、とてもきれいです。

そんな、大切な食器をこのように丁寧に水を節約しながら洗うのは大袈裟なようですが何だか一つの

儀式のようで私は夜の食器洗いが大好きです。

置いてきた心

大好きな友人からもらった素敵な本を携えて旅に出ました。

動物写真家の星野道夫氏のエッセイ集。「旅する木」。

すべてのエッセイが心に響いていろいろと考えさせられます。

その本の中に、アンデス山脈を登っていたカナダ籍登山パーティーと地元のシェルパ

の話がありました。

あるとき、突然、シェルパたちが座り込み、進みたくないと言ったそうです。賃金値上げのための

ストライキか、と思っていたら、そうではなく、「早く進みすぎてしまって、身体はここにあるけど、心を置いてきてしまった。

心が追いつくまでは進めない」と。

私もまさにそんな感じでした。

飛行機で慌しく、24時間かけて日本から南米のエクアドルまで一気にやってきました。

心が日本にあったのか、「私は一年後にどうしたいのか」とか、「どんな看護をしていきたいのか」

などの未来、または過去のことばかりを回想していました。今を見ず、考えても仕方ないことばかり考えて、いたような気がします。

けれども、最近は、一ヶ月経って心がやっとエクアドルに到着したようで、日々、今、感じること、見ることを楽しんでいるように思います。

旅人だけど、生活しているから見えること、感じられること。そんなことを大切にして、旅していきたいなとおもいました。

そしてここに記載していきたいと思います。

手作りのものの暖かさ

写真を載せたいとがんばっているのですが、こちらのネット事情の問題か

よく操作がわからないのか、成功せず。いつか、写真もアップしたいです。

私のエクアドルでお世話になっているご家族はとても暖かいご家族です。

以前にも書きましたがお母さんは洋裁を生業としていて、とても見事なクリスマス用の

飾りを手で縫って、売っています。

私の持参したエコバック(ポリエステル製で折りたたみでき、マジックテープつきで入り口を

止められるもの)を見て、19歳の大学生のお嬢さんが気に入りました。

ママは、「作ってあげるわ。」と、みんなで布を買いに行きました。

私のはオレンジ色ですが、彼女は薄紫色とピンク色を選び、二種類作ってもらうことに

しました。

私のエコバックを参考にママは型を作っていきます。そして、大学の通学用にしたいという彼女の

要望に沿うように、もち手の部分は肩から提げられるように、広くとります。

そして、見事に、完成!

さらに、エンジニアのパパは布に絵を描いたりするのがご趣味。

お嬢さんが「ねえ、パパ、お願い、この鞄に絵をつけてよ!」と甘えます。

「しょうがないなー」とパパ。

みんなでカタログを見てどれにするか、選びます。彼女はきれいな花柄を選びました。

そしてお嬢さんが「えつこもかばんに描いてもらいたい?」

パパも「そうだ、描いてあげるよ。選びなさい」と。私のエコバッグにもペイントしてもらうことに。

私は猫のデザインを選びました。

このエコバッグは、旅立つ前に、友人の一人からもらったもので(猫の人形ケースに入っていた!)

ただでさえ、私にとっては意味のある大切なものでしたが、こうして、絵を描いてもらうことによって

より一層、愛しいものになりました。

今、日本には手ごろな値段でそこそこのものが買えてしまいます。

便利ですし、それを否定するつもりはありません。

けれども、決して物が簡単に豊富に(食べ物は別ですが!)手に入らないエクアドルの

家族の暖かい手作りのものが何だかとっても、うらやましく感じました。

身近な人同士で手をかけあうからこそ、そこから関わりが生まれ、愛しいものが

生まれるのね、と思った一件でした。

私はもともと、物もちのいい性質で、10年、15年持っている鞄や服も珍しくありません。

それは、愛しいものばかりです。これからはそんな愛しいものに手作りのものを加えていきたいな,

と思いました。