どうなる?イスラエル。
反ネタニヤフの7万人の海外在住者が投票のために帰ってきても、なかなか難しいのか。
数字上は「反ネタニヤフ」の勢力が上回ったものの、野党陣営(ユダヤ系)とアラブ系政党の間には政策や思想面で大きな隔たりがあり、すんなりと一枚岩の連立政権を作れるかはまだ不透明。
大統領から組閣要請を受けてこれから本格的な連立交渉が始まるが、ネタニヤフが退陣に追い込まれるのか、あるいは交渉が難航して再選挙になるのか。
#311 トランプ、ネタニヤフともに選挙で敗北 ― どうなる?イスラエル 2026/11/05
2026年10月26日 石堂ゆみ
目次
イスラエルの今後の方針を大きく左右する総選挙が、いよいよ明日となった。今回の選挙では、強硬姿勢を崩さず、戦争を拡大するネタニヤフ政権と、その方針を転換させようとする中道左派のアイセンコット氏の野党勢との対立になっている。
選挙前最終の世論調査では、右派ネタニヤフ首相のリクード党が21議席、中道左派エイセンコット氏のヤシャール党が23議席。双方とも、連立を組んでも51議席と、国会議席120議席の過半数に届かない見通しである。
こうなると残りの少数派政党がどちらにどうつくかで、政権が決まることになる。しかし、得票率が3.25%を下回った党は、国会に議席を獲得できないため、その票は無駄になるとして、様々な憶測や支持政党に関する様々な表明も相次いでいる。
Ynetの記事によると、主なAI(ChatGPT, Claude, Gemini,Grok)に、同じ政治的理解情報を与えて、どう投票するかを尋ねたところ、それぞれが矛盾した解答を出したという。AIによる有権者の考え方の理解がことなっていることから、その客観性についての疑問を想起しているとのことであった。要はそれほどに、結果が予想不能ということである。
www.ynetnews.com/tech-and-digital/article/hjzhvk23ze
反ネタニヤフのイスラエル人7万人以上が選挙目的で帰国
こうした中、イスラエルでは、選挙目的で帰国した人が7万人とも報じられている。
イスラエルでは大使館職員や、最前線軍部隊など特殊な任務の人以外には、不在者投票が認められていないためである。
しかし、たとえば帰国するのに3000ドル払わなければならない人も少なくない。それでも、やはりイスラエル人にとって、祖国は重要なのだろう。今回の選挙結果は、国を左右するような選挙であるため、帰国する人が多かったとみられている。
しかし、海外からこのために帰国する人々は、反ネタニヤフ首相の人が多いと言われている。この人々の帰国が、選挙結果に影響を及ぼす可能性もある。
ネタニヤフ首相も首相残留に必死:トランプ大統領は改めて親ネタニヤフ表明
1)イランの核攻撃の危険性を示唆:AIによるテルアビブへの核攻撃のイラストを投稿
ネタニヤフ首相は、10月25日(日)、AIが作成した、テルアビブに核兵器が投下された絵をXに投稿。ネタニヤフ首相以外が、首相になった場合、イランの核攻撃を許して、第二のホロコーストをもたらすことになると、かなり過激な表明をした。
これに対し、アイセンコット氏は、この投票に対し、投票前に国民の恐怖を煽っていると批判した。
2)世界からの経済制裁に備え、暗号資産の準備を示唆
またネタニヤフ首相は、23日(金)、イスラエルに対する国際的な経済制裁に備え、それを回避するための暗号資産を準備しなければならないとも表明していた。
実際、イギリスを中心とするヨーロッパ諸国はすでに、西岸地区(入植地)との貿易をボイコットして、制裁を開始している。それがイスラエル本土にまで影響を及ぼす可能性も否定できなくなっている。
しかし、ネタニヤフ首相の暗号資産案に対しては、109人の経済界関係者らが、なぜそんな提案をするのか、不可解だと反発。もし暗号資産に着手したら、それこそ、取り返しのつかない損害がイスラエルに及ぶと反論。この提案は受け入れられないとする書簡を出した。
署名した人は、イスラエル銀行元総裁や元副総裁、元財務省長官、元国家経済評議会会長、ヘブライ大学、テルアビブ大学教授などとなっている。
選挙直前になり、ネタニヤフ首相は、いかに国が危機的状況にあるかを強調し、強硬姿勢の右派勢力に投票するよう、訴えている様相である。
3)トランプ大統領がネタニヤフ首相支持表明・再び
イスラエル国内では、反ネタニヤフの動きも活発に動いている。こうした中、トランプ大統領は、2人の指導者(自身とネタニヤフ首相)が、イランに対する仕事を終えることができるようにしてほしいと、Xに投稿。改めて、ネタニヤフ首相への支持を表明した。
しかし、トランプ大統領については、ハマスについては、非武装化を完了しないまま、新たな体制を作ろうとする動きもあり、支持できないとの声も上がっており、どこまで有権者に影響があったかは不明である。
石のひとりごと
ネタニヤフ首相の警告はなかなかシリアスである。もし本当なら、ネタニヤフ首相の方がいいとも見える。しかし、ネタニヤフ首相のこれまでの政策が、今の状況を生み出したともいえるわけである。
ネタニヤフ首相が留任する方がいいのかどうか、後の世は知っている。言い換えれば、主も知っておられるということである。明日の結果が、イスラエルにとって最善の道となるよう、主に祈るのみである。
11/6(金)
【エルサレム=福島利之】10月27日に総選挙が行われたイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は5日、国会(定数120)の過半数を超える67人の議員が、組閣を担う候補として、野党陣営のガディ・アイゼンコット元軍参謀総長を推薦したと発表した。アイゼンコット氏が最初に組閣に臨む見通しになったが、連立協議は難航する可能性もある。
総選挙では、現職のベンヤミン・ネタニヤフ首相の率いる右派リクードが27議席で第1党を維持したものの、与党陣営は計53議席だった。アイゼンコット氏が党首を務める第2党の中道ヤシャルなど野党陣営は計48議席で、両陣営とも過半数に届かなかった。
大統領と各党の協議では、計19議席を獲得したアラブ系の2党の議員がアイゼンコット氏を推薦した。与党のユダヤ教超正統派「統一トーラー・ユダヤ連合」(7議席)は誰も推薦せず、ネタニヤフ氏への推薦は46人にとどまった。
ヘルツォグ氏は8日にアイゼンコット氏を正式に組閣担当者に指名するとみられ、政権樹立に向けてアイゼンコット氏が各党と協議する。ヤシャルは「国民は変化を選び、ネタニヤフ首相を全く信任していない」との声明を出した。アラブ系政党のユーセフ・ジャバリン代表は、アイゼンコット氏を閣外から支える意向を示した。
ただ、ヘルツォグ氏は「同じ陣営内でも相手を拒む意見がある」と指摘。推薦人の人数だけで連立協議がまとまる訳ではなく、組閣が順調に進まない恐れもある。


