「責任ある積極財政」という看板を掲げた高市の「骨太方針」の370兆円規模の投資計画が、国内外のメディアで酷評されている。
「計画経済」という四文字が浮かぶ。
しかも計画する政府のトップは経済オンチときた。
さずがに、「計画経済」の価格統制や生産割当のような要素はないけれども、
政府が「戦略分野」を選定し、そこに巨額の公的資金と規制と優遇を集中させ、成長率や債務残高対GDP比の改善がなされるというように描かれるシナリオというのは、失敗する「計画経済」に似ているのでは?
日本が過去に経験してきた「産業政策の失敗パターン」
・国家が産業を選び投資し、失敗しても政治的に撤退しにくい・財政の悪化と金利上昇の悪循環
・族議員や省庁が「戦略分野」を利権化する既得権益の固定化
戦後の日本経済というのは、形式的には民主主義の市場経済でありながら、実質的には国家が強く誘導し調整するシステム… 人呼んで、「官僚制日本民主主義人民共和国」である。
ロイターでハドソン氏が、「日本は中国経済(5ヵ年計画など)に似てきた」と指摘されているが、
歴史を少し長いスパンで眺めると、むしろ、中国が日本の戦後の成功モデルを研究し取り入れたのだ。
現在の日本が「中国っぽく見える政策」は、失われた30年を経て「夢よもう一度」の馬鹿馬鹿しい先祖返りということになるだろう。
「政策金融機関」と呼ばれる国有銀行は、民間では採算が取りにくいが国家戦略上重要な分野に、低利・長期の資金を意図的に流していた。
政府系金融機関による資金配分
日本開発銀行(開銀、現・日本政策投資銀行)
基幹産業(鉄鋼、電力、造船、化学、自動車など)への設備投資融資。
財政投融資資金を主に使用。民間銀行がリスクを取りにくい長期・低利融資を担った。
日本輸出入銀行(輸銀、現・国際協力銀行)
輸出促進・海外資源開発向け融資。
輸出産業を優先的に支援。
住宅金融公庫
住宅建設向け。
庶民の住宅取得を支援しつつ、建設需要を喚起。
中小企業金融公庫 など
中小企業向け
系列外の中小企業にも資金が流れるよう調整
財政投融資(FILP)という巨大な資金プール
これが日本型資金配分の核心だ。
国民の郵便貯金(郵貯)や簡易保険、厚生年金などの公的資金を大蔵省資金運用部が集中管理し、その資金を上記の政府系金融機関や特殊法人に配分する。
ピーク時には一般会計予算を上回る規模になり、「第二の予算」と呼ばれた。
つまり、民間の貯蓄を国家が間接的に吸い上げ、戦略分野に再配分する仕組み。
民間銀行に対する「窓口指導」(Window Guidance)
完全に国有ではなかった民間銀行も、強くコントロールされていた。
日本銀行が各都市銀行に対して、「今期の貸出増加額はこれくらいに」と事実上の割当を行う。
特に高度成長期は、重点産業への貸出を優遇し、過剰な競争を抑える「護送船団方式」が取られていた。
大蔵省・通産省の行政指導と連動し「この産業には積極的に貸せ」「この分野は抑えろ」というシグナルが銀行に伝わっていた。
妻のへそくりを奪ってギャンブルをする狂った夫のようである。
夫が借りた金の金利が上がったらどうなるのか?
子供たちは進学もできない、3食のご飯も食べられなくなる。
やっと日本でも言う人出てきた https://t.co/FWRnhTgWL6 pic.twitter.com/NlSjwym3uk
— おばんA (@i4CXbFKvwRUpJs0) September 5, 2026
Watch our Breakingviews columnists @aimeedonnellan, @JMAGuilford, @KatrinaHamlin and Hudson Lockett discuss Japan’s M&A wave. What is driving it and what do the deals say about the country's wider corporate governance plans? pic.twitter.com/vZvhaRZ48F
— Reuters (@Reuters) February 13, 2025
Weird ask from the guy who says language is a solved problem, but sure, here's the Japanese press flagging the same fiscal concerns:
— Hudson Lockett IV // 康河信 // ハドソン・ロケット (@KangHexin) August 5, 2026
高市政権と370兆円投資 国家主導突き進む危うさhttps://t.co/0RT5KIld6f
370兆円投資戦略、総花的で効果見通せず 政府の役割とは https://t.co/p9r5lhKQ1k https://t.co/QJdiUMLF4f pic.twitter.com/Awu2G9rK3e
Japan’s growth pitch is all hype and no substance
Breaking View
香港、7月22日 (ロイター・ブレイキングビューズ) ― 並外れた主張には、並外れた証拠が必要だ。
その点において、高市早苗首相が火曜日の経済財政運営の指針(いわゆる「骨太の方針」)で発表した370兆円(2.3兆ドル)規模の投資計画は、あまりにお粗末と言わざるを得ない。この計画が具体的にどう機能するのか、実質的な詳細が全く示されていないからだ。彼女はこの計画を放棄し、より賢明で柔軟な代替案を採用する方が賢明だろう。
「骨太の方針」と呼ばれるこの計画は、今後14年余りにわたり17の分野に資金を投入し、日本の経済成長率を倍増させて1%超に引き上げることを目指している。これは歴代指導者の堅実な政策構想とは一線を画すものであり、国家の成長目標を設定し産業政策を主導する中国の「五カ年計画」を彷彿とさせる部分もある。
しかし、中国の当局者は綿密な計画を立て、見通しの期間を5年に限定し、銀行や企業に対して日本の首相が夢見ることしかできないようなレベルの統制を行っている。高市氏の目標には、成長を加速させることで税収基盤を拡大し、家計が抱えるインフレの苦痛と巨額の政府債務への懸念を一挙に解消することも含まれている。
それにもかかわらず、この新計画から日本の財政健全化に向けた定石とも言える誓約が削除されたことは、国債発行に裏打ちされた放漫財政という悪夢を想起させる。そうしたシナリオへの懸念から国債利回りは急騰し、円相場もさらに押し下げられている。円は、10月に高市氏が政権の座に就いて以来、対ドルで10%以上下落している。
別の懸念として、ガバナンスや株主還元(配当や自社株買いなど)の向上にすでに取り組んでいる上場企業に対し、政府が扱いにくい投資を強制する可能性があることも挙げられる。こうした企業の取り組みは、効率性を高め、超高齢化社会に伴う人口動態上の重荷を相殺するための、極めて重要かつ長期的な計画の一環である。そもそも、それだけの資金を投じるに足るプロジェクトを日本政府が見つけられるかどうかも疑問だ。例えば、昨年の関税交渉の一環として高市氏の前任者が米国への投資を約束した5,500億ドルのうち、これまでに融資が決定したのはわずか20億ドルにとどまっている。
支出目標を撤廃し、代わりに生産的な支出を促すための金銭的インセンティブを企業に提供する方が賢明だろう。これは、ドナルド・トランプ大統領による攻撃を受ける前の米国において、インフレ抑制法(IRA)が再生可能エネルギー分野に対して行った手法と同様である。ロージウム・グループとMITによる2024年の調査によれば、同法は5,000億ドルの投資を呼び込み、その際、民間資本は公的資金による拠出額の最大6倍に達したという。同様の計画は、日本の首相が政策発表で好むような「言葉の力強さ」には欠けるかもしれないが、実質的な中身はずっと充実したものとなるはずだ。
毎日新聞 2026/7/6
国家主導の巨額投資に突き進めば、経済が高成長を遂げ、借金財政も好転する。そんな都合のいい状況を実現できるのか。疑問が募るばかりだ。
「責任ある積極財政」を看板に掲げる高市早苗政権が、政策の基本的な方向性を示す「骨太の方針」の原案を初めてまとめた。
最大の柱に据えた成長戦略は、有望と見込んだ17分野に対し、2040年度までに官民総額で370兆円超を投じる。対象は人工知能(AI)や情報通信、宇宙、航空、造船、医療など幅広い。
国の予算編成も大きく変える。毎年度10兆円の大規模な支出を想定しており、投資の多くを占めるとみられる。各省庁の要求段階から、上限のない「青天井」を認めるなど特別扱いする。
事業ごとに支援してきた従来の政策を抜本的に転換し、国が全面的なてこ入れに乗り出すものだ。首相は「大胆な投資で国力を徹底的に強化する」と強調している。
楽観的すぎる成長戦略
効果が十分出た場合、40年度の名目国内総生産(GDP)は1100兆円に迫り、今より約400兆円も増えると内閣府は試算する。
楽観的すぎると言わざるを得ない。17分野の多くは米国や中国が大きくリードし、日本は出遅れている。絞り込みが不可欠だが、戦略は総花的で新味に乏しい。
国の介入は失敗を繰り返してきた。出資した半導体事業などで相次いで多額の損失を出した。変化の速い市場で、どんな技術や製品が「勝ち筋」となるか見極める能力を持っているわけではない。
本来の役割は、民間企業が創意工夫を生かせる環境を整備することだ。過剰な関与を許せば、影響力の大きい省庁や族議員の権益拡大に利用されかねない。
安全保障の強化を唱える政権の意向を反映し、半導体やレアアース(希土類)など重要物資の確保に向けた投資も拡大する。経済成長にも資するというが、安保を理由に国産に固執すれば、費用がかさみ、経済にはマイナスに働く。
そもそも成長を支える基盤となる人口は減少が続く。40年には1億1000万人台と今より1000万人以上も少なくなると予測されている。国がいくら投資に資金をつぎ込んでも、国内市場が縮小したり、人手不足が深刻化したりすれば、経済は活性化しない。
借金漬けの財政が改善に向かうとの予測も疑わしい。
政権が新たに「中核目標」と位置付けたのは、名目GDPに対する債務残高の比率だ。今は190%台前半と借金がGDPの2倍近くに上り、先進国で最も悪い。
内閣府の試算によると、成長戦略の効果が十分に出た場合、40年度には170%台に下がる。財政出動のために国債を追加発行しても、借金を上回るペースでGDPが増加して税収も伸び、比率が良くなるという。政権にとって好都合な指標なのだろう。
だが楽観的な想定による高成長頼みでは説得力を欠く。
借金財政が更に悪化も
内閣府は、効果が十分に出ない場合の試算も示しており、40年度の比率は現状よりも悪い200%近くになる。国が投資に前のめりになり、金額を膨らませるほど、借金が積み上がる恐れは高まる。
財政規律の緩みも気がかりだ。巨額の投資に加え、首相が意欲を示す消費税の減税や防衛費の増額も財源は明示されていない。
支出が肥大化の一途をたどると、金融市場で不安が強まり、円安に拍車がかかる。物価高が加速し、国民の暮らしが一段と苦しくなりかねない。
高止まりする長期金利も更に上昇して、国債の利払い費が急増する。日本の高齢者人口は40年代にピークを迎え、社会保障費が増え続ける。借金まみれでは超高齢社会を乗り切れない。
責任不在の放漫財政に陥れば、ツケは最終的に国民に回る。危うい政策というほかない。
必要なのは、野放図な財政拡張に歯止めをかけることだ。
政府はこれまで毎年度の収支を示す「基礎的財政収支」の黒字化を目標としてきたが、高市首相は「積極財政の妨げになる」と撤回した。しかし無駄な事業の廃止など歳出を抑制し、収支の改善に取り組まなければ、財政の立て直しはおぼつかない。
多くの課題を抱える国の将来を見据えて、持続可能な財政を構築し、国民生活の安定を図る。その道筋を描くことが政治の役割だ。
朝日 2026年6月27日https://www.asahi.com/articles/ASV6W0DPWV6WUSPT001M.html
この社説のポイント
高市政権にとって初めてとなる、経済財政運営の基本姿勢を示す「骨太の方針」の骨格が見えてきた。官民で370兆円超を投資する成長戦略と、予算編成の改革が柱だ。
政府の投資を呼び水に民間投資を増やし、経済成長と財政健全化を実現させる未来を描く。だが、戦略17分野は62の製品・技術と幅広く、総花的だ。投資効果も見通しにくい。政府は、企業が資金を投じにくい分野への支援や、財政規律を保つ役割を忘れてはならない。
描く成長と財政健全化
17分野はAI(人工知能)・半導体、創薬・先端医療、ゲームをはじめとするコンテンツなど。投資額の内訳は示していないが、国は年10兆円の追加支出を「機械的に想定」する。戦略を公表した会合で高市早苗首相は「行き過ぎた緊縮志向と未来への投資不足の流れを断ち切り、強い経済を目指す」などと20分以上発言し、意義を強調した。
戦略が期待通りに進めば、成長率が高まり、財政も改善すると内閣府は試算する。一方で、その見通しに「種々の不確実性を伴う」と前提をつけた。政府が投資を増やせば「機械的に」産業が成長し、強い経済ができるわけではない。「機動的な財政政策」を掲げた第2次安倍政権では、2%の実質成長率を目指したが、1%程度と下回った。
産業支援の苦い歴史
政府による直接的な産業支援は鬼門だ。電機大手の半導体メモリー事業を統合したエルピーダメモリは経営破綻(はたん)し、「日の丸液晶」として期待されたジャパンディスプレイは債務超過に苦しむ。最近も、政府が約9割を出資する官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)で、540億円の損失が発覚した。
成長分野を見極めるのは難しい。17分野には、競争が激しく日本が出遅れるAIや量子、かつて世界トップの建造量だった造船も含まれる。企業の成長を支える技術革新や新たなアイデア、基礎研究の底上げや人材育成などとあいまった支援が欠かせない。
17分野は、各省庁の予算要求額に上限を設けない。同時に予算編成のあり方を見直す。単年度の財政目標をなくして複数年度で管理するようにする。複数年で巨額の戦略投資ができるよう、財政目標を緩め、足並みをそろえた。
先進国で最悪水準にある日本の財政へ、金融市場の目は厳しい。成長投資が伸びず、財政が悪化すれば、金利の上昇や円安、物価高の要因になり、国民生活や企業経営に大きな影響が出る。政府はリスクも見極め、失敗の歴史を繰り返してはならない。


