【高橋和雄・著】『イランとアメリカ、そしてイスラエル 〜「ガザ以後」の中東 』 | ☆Dancing the Dream ☆

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#188 イラン・アメリカ情勢、侵されるタブー 「水」と「油」の戦いへ  高橋和夫 小沢知裕2026年3月9日

 

◆ 高橋和夫(たかはし・かずお) 専門は中東研究・国際政治 放送大学名誉教授 大阪外国語大学ペルシア語科卒業 コロンビア大学国際関係論修士  『モデルナとファイザー、またはバイオンテック━中近東系移民の物語』(GIEST)、『ロシア・ウクライナ戦争の周辺』(GIEST)、『パレスチナ問題の展開』(左右社)、『イランとアメリカ、そしてイスラエル』(朝日選書、2026年3月刊行予定)など著書多数 

 

◆ 小沢知裕(おざわ・ともひろ) 専門はサイバー空間・ドローンなど先端技術と国際政治 東京理科大学大学院修士課程修了、電機メーカーでの勤務を経て 放送大学非常勤講師などを歴任 2018年「先端技術安全保障研究所(GIEST)」を創設、所長を務めている。

 

 

ハメネイ師殺害、後継者は次男のモジタバ師

・3/10、米イの攻撃によるイラン戦争は、10日が経過。

・初日にイラン最高指導者のハメネイ(86)が殺害され、後継者として次男のモジタバ氏(56)が選ばれた。

・イスラム革命体制は王政を倒してできたので、ハメネイは世襲は望ましくないと考えていたが、息子が選ばれることとなった。

・最高指導者のイラン側の選択は「イランの方針は変わっていない」という強いメッセージとなった。

・モジタバ氏はイランイラク戦争で革命防衛隊の一員として戦っていたことから、革命防衛隊と密接な関係があり、その支持が最高指導者に選ばれた大きな要因だった。

・イスラエル情報筋はモジタバ後継を早い段階から予測していた。

 

イスラエルがテヘランの ”石油貯蔵庫” の爆破  「黒い空」

・モジタバが最高指導者になり、「無条件降伏」を受け入れず、イランは米イと戦い続けるという姿勢が明らかになり、石油価格が、1バレル/100ドルを超えた。

・各国は備蓄している石油を放出するか否かという段階まできている。

・イラン側はペルシャ湾岸の南側のバレーンの石油関連施設に対して攻撃した。ただしバーレンはかつては産油国だったが今はほとんど石油は出ないので、重要性の少ない石油関連施設をイランはまず攻撃してきたということ。

・いずれにしても石油関連施設に対する攻撃が始まったというのは非常に悪いニュースである。

仮に戦争が終わったとしても石油関連施設が破壊されてたら石油を掘り出せずしばらく石油の供給の復旧に時間かかる。

 

海水タンカー施設を爆撃…「水」の施設への攻撃は御法度!

・もっと懸念されるのはイランのペルシャ湾の入り口でホルムス海峡の近くにあるケシュム島にある海水タンカープラントが米軍によって爆撃された。この地域では水が足りないので海水を蒸留して飲料水を作るということが行われてる。

イランはそれに対して「最初にこういうことをやったのはお前たちだ」という警告を発している。

・イランの海水タンカー施設の人口的に作られた水への依存度は数%だが、対岸のクエイトや、アラブ諸国連邦も海水タンカー施設で作られた水を使ってるので、イランが本格的にそういう施設に対して報復したら油でなくて「水」がなくてもう社会が崩壊してしまう。

・「油と水」両方に、戦禍が及び始めたというのは非常に暗い話題である。

・”「水」の施設に対する攻撃はしてはいけない!” という類いのことの一つ。

・歴史的には13世紀に、モンゴルがこの地域に攻めてきた時に、モンゴル人は遊牧民なので農業に興味がなく、イランの「カナート」という地下灌漑施設を破壊し、農業ができなくなる地域が出た。イラン人は未だにモンゴル人のことを決してよく言わないのは水理施設説を破壊したことからである。

・アメリカがやったことはある意味、モンゴル並の非常に非文明的な行為だった。

アメリカ軍はその水が持つ意味、海水を淡水化するプラントの持つ重要性に思いが至ってなかった。

 

日本とイラン…日本が貢献してきた「海水を淡水化する技術」

・この「海水を淡水化する技術」では日本の技術が大変こう大きな役割を果たしている。

・昨年6月の戦闘が12日間戦争と言われたので、もうそれに近づいているが、収束の気配はまだ見えていない。

・ハメネイ氏が亡くなり、東京のイラン大使館では、弔問記帳の受付をしてた。

日本の現職の有力な政治家は記帳を行っていない。鳩山由紀夫前総裁がに行かれてる写真が公開れている。

・初代の最高指導者のホメイニ氏が亡くなった時は、当時の天皇陛下が記帳されており、日本としては最大限の敬意をホメイニ氏に払っている。

 

『イランとアメリカ、そしてイスラエル 「ガザ以後」の中東 』

 (朝日新書) 新書 – 2026/3/13  高橋 和夫  (著)

 

高橋先生の新刊

・高橋先生が新しい本を上梓される。

すでの多くの予約が入り、増刷が決まっている。

この本は最新の情勢を取り扱おうと思って書いたが、書いても書いても情勢が先に進んでいって、もうすぐ多分戦争が始まるだろうなというような予感を述べて本を書き終わった。しかし、印刷が出来上がる前にトランプが戦争を始めてしまった。

活字メディアなので、ネットに追いつけるはずはないので、そもそもそれは考えていない。

・この本で説明したのは、「なぜアメリカ、イスラエルがイランを攻撃するのだろうか」

「そういう状況はどうやって生まれてきたのか」ということ。

「ガザの爆発以降の中東の政治、国際関係の構造変化」を描いた。

これはどんなに状況が動いても、色褪せることがない議論だと思っている。

 

南アフリカとナミビアの…何故?

・もう1つは、これは中東の本だが、南アフリカ、ナミビア…

この南部アフリカの2つの国が、どうしてこの問題に関わっているかということを述べている。

・イスラエルが戦争を始めると、南アフリカが国際地方裁判所に「それはジェノサイドに当たるのではないか?」と訴える。

・それに対して、ドイツが「いや、イスラエルはそんなことしていない」とイスラエルを弁護する。

・さらに、それに対して、ナミビアが「ドイツは本当に歴史から学んでいない」と厳しく批判する。

この経緯を書いた。

・まず、ナンビアの話から言うと、ナンビアは、第1次大戦が終わるまで一時期ドイツの植民地だった。

ドイツはナミビアに入ってきて、先住の人たちをたくさん殺して土地を奪って入植した。

・ある意味、ドイツが行った第二次大戦中のユダヤ人の「ホロコースト」「ジェノサイド」でジェノサイドという言葉ができる前、実は、すでにドイツは”ナミビアでジェノサイド”を行っていたのである。

・そんなドイツが、またイスラエルがでやってることを擁護してるっていうのは、「本当にドイツ人は歴史から学んでない!」という批判が、ナミビアから出てきたわけである。

・ナミビアという国は、第1次大戦後、南アフリカが支配するという状況だった。

南アフリカは、”アパルトヘイト”という人種隔離政策をずっと取ってきた。

・このアパルトヘイトの南アフリカと、イスラエルは、は密接な関係があり、

最後の段階では、イスラエルがこのアパルトヘイト体制を支えているという状況があったのである。

・それもあって、マンデラ率きいる人々が南アフリカで全ての人種が参加する選挙を行って権力を取った時に、「南アフリカは、パレスチナに連帯」した。

南アフリカが、パレスチナのためにイスラエルを訴えると。

・こういう流れがあるということを伝えたかった。

中東関係の本にしては、南部アフリカの話をしているというのがこの本の1つの特徴だと思う。

 

なぜ南アのアパルトヘイト体勢が倒れたか? 世界の市民が手をつなぎ合って…

・南アフリカのアパルトヘイト体制が倒れたかというと、いろんな要因があるが、

・1つの要因は、世界の人々、世界の市民が、アパルトヘイト下の南アフリカのボイコット運動を始めたこと。政府に対して南アフリカと貿易しないように、投資しないようにと訴えた。

例えば、南アフリカに投資している銀行や企業などをボイコットする。それで各国が南アフリカとの関係を断つ。企業が南アフリカから撤退する。

これを受けて南アフリカの白人政権は「このままではやっていけないな」ということで、アパルトヘイトが終わったという側面があった。

・我々、市民1人1人は力は弱いけれども、手をつなぎ合って国際的な連帯で働きかければ、アパルトヘイト体制も倒れた。

・国際政治の問題は色々ある。パレスナ問題もある。

しかし、自分たちは無力だと思わず、やっぱり小さなことでも動いていけば、世界は変わる。

本を読んで知識を得た方は、是非その知識を行動に移してほしいというような思いを込めて、南部アフリカのことをこの本では語っている。

 

 

 

 

 

2026年3月9日

アメリカとイスラエルの攻撃で殺害された最高指導者アリ・ハメネイ師の後継者として、同師の息子のモジタバ・ハメネイ師が「専門家会議」によって選出された。イラン国営メディアが9日、報じた。