吉見俊哉×宮台真司×神保哲生:今こそ日本を立て直すための「プランB」を実現しよう【ダイジェスト】2024/05/04
【プロフィール】
吉見 俊哉(よしみ しゅんや)
国学院大学観光まちづくり学部教授、東京大学名誉教授
1957年東京都生まれ。81年東京大学教養学部卒業。87年同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は都市論、文化社会論。東京大学新聞研究所助教授、同大学大学院情報学環教授などを経て2023年より現職。06年東京大学大学院情報学環長、11年東京大学副学長などを歴任。著書に『都市のドラマトゥルギー』、『大学とは何か』など。
神保:
実はその「プランB」という企画を今考えてるんですよ。
要するに「プランA」が上手く行かなかったら「プランB」だろうと。
で、日本が「プランB」にシフトしなきゃいけないのに、なかなかそれができないでいるのはなぜかということと、そもそも「プランA」が何だったのかってことと、なんで機能しなくなったのか。
そんなことを考えたりするっていうことをやっていきたいと思ってたんですが。
思っているんです今も、それはね。
今週末ま選挙があって、自民党がま3敗。3敗と言っても2つは不戦敗でしたけど。
なんと、島根でね、竹下さん、桜内さんの島根で、完敗してるんですよね。
これは果たして、裏金だなんだっていうような、ま、統一協会から、裏金だ、色々ありましたけど。
そういうものに対する嫌悪感なのか?
それとももう少し本質的な構造的な変化が起きてるのか?というようなことはちょっと考えないといけないと。宮台さんと僕はよく話してたけど。
実際、自民党って1回終わってるじゃないですか。
2009年に。で、崩壊したんだけど。
その後、なぜかトリックスターが出てきて、今までずっと騙されてるって言うとちょっと言いすぎかもしれないけど。
引っ張られてきたんですよね。アベノミクスになるものまで。
宮台:
それ以前からね、民主党政権で2009年の時に、僕が批判していたように、「誰に任せられるか」っていうね。任せる、任せる、任せる、…
つまり、ブー垂れる政治、あるいは、そのレジームに何の変化もなかったんですよ。
神保:
「参加か、任せるか」
宮台:
そう。なので、がっかりして自民党にまた戻るっていうね。
ま当然のこと、予想された通りのことが起こっただけの話ですよね。
神保:
このあいだ、去年、東大を退職‥
吉見:
1年数ヶ月前。
神保:
もう1年ちょっとになっちゃった。東大を退官されて、今は国学院大学の方で観光街づくり学部っていうのがあるのね。
吉見:
そうそうそうそう。街づくりの学部ってのをやってます。
神保:
吉見俊哉さんです。吉見さんよろしくお願いします。
吉見:
はいよろしくお願いします。
神保:
「プランA」っていうのは、ほぼ自民党と完全に表裏一体の関係だと思うので、これが一時的な、また、その政治、金の問題で、裏金問題で、一時的に有権者が怒って、お灸を据えているだけのことなのか?
これは、そもそももう本当に自民党統治の限界を示してるっていうことと見るのかによってですね、「プランA」「プランB」の話にも影響してくるかなと思ったんですけども。
吉見さんは、この選挙結果についてはどうですか?
吉見:
うん、私自身は、ちょっとまだ疑ってるっていうか、瞬間風速的なものの方が大きいんじゃないかっていう気がします。
今まさに、神保さんがおっしゃった通り、「プランA」は自民党統治と一体なんですよ。
だからと言って、「プランB」が野党と対応するかっていうと、たぶん対応しないんですし。
神保:
しないんだね。今ね。
吉見:
うん。しない。
「プランA1」と「プランA2」と、ま、ひょっとしたら「プランA3」があるかもしれないって思ってますね。
つまり、「プランA1」っていうのは、1950年代の後半ぐらいから、あるいは半ばぐらいから、ずっと70年代まで続いた「高度経済成長型のモデル」ですよ。
で、この「高度経済成長型のモデル」っていうのは、国民一体となって豊かさを追求する。
で、この豊かさを追求するのを、中央官庁、特に例えば通産省とかね。建設省とかね。そういう中央省庁が‥、それから大蔵省、そうですね、当然。
中央省庁が主導することによって、技術革新を推進していくっていう。
これは、基本的にはアメリカ。アメリカをこうキャッチアップするっていうモデルなんですよ。
少なくとも、1950年代から高度成長期、あるいは1970年代の初頭ぐらいまでは、経済的には上手くいったわけです。

で、「プランA2」ってのは、それに味を占めて、ま、中曽根民活だからですよね。
だから1980年代の半ばぐらいですか、初めぐらいですか。
80年代からずっとこう「日本型の新自由主義路線」、これをま中曽根、小泉、安倍っていう形でずっと続けてきた。
この、20年、30年、これが、「プランA2」で。
これは上手くいかなかったわけですね。今出てるように。
宮台:
ライセンシー産業に羽ばたくっていうね。アメリカの新自由主義ができたことが、日本には一切できず、結局、昔の重工業を中心主義の元で。
しかし、既得権益を軽くするための労働市場の流動化っていうのを行ったもんだから!
残念だけど、本当は市場から退場するべき重工長大産業がまだ残るということになった。残念ですね。
神保:
「大平さんの1979年1月15日の施政方針演説」っていうのがあって。
実は、大平さんが早く病気で亡くなってしまって、中曽根さんが入ってきて、いきなり新自由主義に切るっていうね。
だから、一つのチャンスだったのかなと思うんですけど。
”近代合理主義に基づく物質文明が限界に来た”と。

吉見:
「プランA1」と「プランA2」の間には、隙間があるんですよ。
「プランA」が「A1」が、そのままこう連続的に「プランA2」に行ったわけじゃなくて。1970年代後半だと思ますけれども。つまり、「プランA1」の問題点とか限界っていうのが、70年代にオイルショックもあったし、公害もあったし、いろんな問題が噴出して。大学紛争もあったし。いろんな問題が噴出して、それでやっぱり「プランA1のまま行っちゃまずいぞ」っていう感じが、70年代後半にはいろんな人を持ってたと思うんですよ。
神保:
オイルショックとかが起きたし。それからロッキード事件があって。
実は、この大平さんの前っていうのが、三木さんで。その前にいたのが田中角栄なんですね。
で、金脈問題、ロッキードがあって、三木さんで。
ちょっと、だから、今と状況似てるんですよ。実は。
政治が大きなスキャンダルがあってっていう中でね。
結局、30年間、日本は‥場合によっては40年間。もしかしたら70年代の小平さんの時からってい意味ではね。全く無作で来た。
あるいは、宮台さんの言うように、意図的な部分もあったっていうことも含めてだけどね。
これは、もう日本の統治機構の、今の統治形態ではもうダメだっていうことにならないですか?
根本的な問題はどこにあったというふうに思います?お二人は。
根本的な問題、つまり、その根本の部分を変えないことには多分ダメじゃないですか、もうこの国は。
吉見:
はい。その何を根本的に変えればいいのかって、それが「プランB」であるわけですけども。
「プランB」の核心っていうのは、やっぱり、「成長拡大モデルを捨てること」だと思いますよ。
ひじりばし博覧会2020 基調講演「ポストコロナ日本を甦らせる全国文化創生区2030ビジョンーー2020年からの再出発」(吉見俊哉 東京大学教授/東京文化資源会議 幹事長)(2020年7月24日)
日本橋 今昔


