「中東紛争拡大の脅威と国際情勢への波紋」田中浩一郎、高橋和夫、鈴木啓之、小谷哲男 | ☆Dancing the Dream ☆

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【田中浩一郎×江﨑智絵】2023年12月4日放送 BS 日テレ「深層NEWS」より
田中浩一郎(慶応義塾大学教授)
江﨑智絵(防衛大学校准教授)



CFIECウェビナー(2023/11/21)「中東紛争拡大の脅威と国際情勢への波紋」

<プログラム>
1. 9:04 - プログラム説明、スピーカー自己紹介 (事務局)
2. 12:34 - 趣旨説明 (田中浩一郎氏)
3. 18:48 - プレゼンテーション (1) (鈴木啓之氏)
4. 36:52 - プレゼンテーション (2) (高橋和夫氏)
5. 52:41 - プレゼンテーション (3) (小谷哲男氏)
6. 1:12:56 - ディスカッション・事前質問に基づくQ&A
7. 1:56:19 - 閉会


プレゼンテーション (1) (鈴木啓之氏)
(資料引用)

1.現状
▶ 未曾有の人道危機:国際人道法違反が強く疑われる状況
○ガザ地区からイスラエル南部にパレスチナ武装戦闘員3000人が流入、
 1200人を殺害(10/30時点・民間人823人、兵士と普察官312人)
 ・ タイ人やウクライナ人、米国籍者なども数十人規模で犠牲
○ガザ地区に「外国人」を含む240人前後の人質が連れ去られる
 ・ これまでに5人が解放(交渉の結果4人解放/戦闘での救出1人)
○ガザ完全封鎖と空爆(10/7~)、ガザ市包囲(11/2~)、南部への作戦拡大(?)
 ・死者数は推計で12,000人を超える、負傷者推計30,000人以上
 ・民間の病院や学校、国連施設への空爆、攻撃の実施

▶国際社会や周辺国の反応
○アメリカ政府:イスラエルの自衛権支持、ハマスへの拒絶
○ヨーロッパ諸国:逡巡(ハマスを非難/自国民の安否確認に追われる)
○基本的に冷淡、または熱量に欠けるアラブ諸国

▶国連安保理での角逐と総会決議
○アメリカ、ロシア双方が提出した決議案が否決、
○総会決議で「ガザ停戦」を求める決議
 賛成121カ国、反対14カ国、薬権44カ国(日本を含む


2.分析
▶ ハマスやPIJ側の声明
○ムハンマド・ダイフ最高司令官(カッサーム旅団)声
明(10/7)
「5000発のロケット弾を発射。入植地やキブツ、兵舎を襲撃し、イスラエル兵士多数を殺害、捕虜とした」
「作戦名はアル=アクサーの大洪水」
「入植者によるエルサレムでの敵対行為とガザ地区へのイスラエル封鎖への応答」
○PIJナッハーラ書記長発表(10/8)
「人質は30人以上、パレスチナ人釈放が条件」
○アブー・ウバイダ(カツサーム旅団広報官)声明(10/12)
「ロケット弾は3000発」
「3000人の戦闘員と1500人の支援要員」
「作戦立案は2022年はじめから」
○ハマス政治局声明(10/11)
「国際社会が人道的責務を果たすことを望む」
○アブー・ウバイダ発表(11/13)
「5日間の停戦と引き換えに女性と子供の人質50人、最大で70人の解放の準備ある」

▶イスラエル政権内での注目すべき発言
○ネタニヤフ首相記者発表(10/9)
「ハマスはISISだ」
○ガラント国防相発言(10/22)
「最終的には、ガザ地区に新たな治安体制を敷き、ガザ住民の生命にイスラエルが責任を追わない状態にする」
○ガラント国防相発言(10/22)
「ハマース根絶には1〜3ヶ月」
○ネタニヤフ首相発言(11/7)
「ガザ地区に対して包括的な治安上の責任をイスラエルが戦後に負う」
○イスラエル軍ハガリ報道官(11/13)
「病院近くにトンネル、地下室には囚人の痕跡」
○その他閣僚
 スモトリッチ財相(11/4)
 「戦後は数年間にわたってイスラエル軍が作戦展開」
 ベン=グヴィール国家安全保障相(11/12)
 「入植地の再建も厭わない」


3.波及の可能性(または波及の状況)
▶ 情勢不安の波及
○ヨルダン川西岸地区
「過去15年で最悪」と言われた2022年を上回る死者数の発生(10/7以降で200人近くの死者)
 入植者やイスラエル市民の武装進む(ライセンスの新規応募が11/15時点で23万6000件を超える)
○イスラエル北部地域(レバノン南部地域)
 ヒズブッラーなどの武装グループとの限定的な交戦
○中東全域の緊張

▶ イスラエル経済への不安視
○S&P、イスラエルの評価を「stable」から「negative」へ格下げ(10/24)
○JPモルガン、イスラエル経済の第4四半期の成長率に関して、年率換算で11%の縮小との見通しを示す(10/27)

▶ヘイトクライムの懸念/フェイク情報への警戒
○「ユダヤ人」や「パレスチナ人」への襲撃や嫌がらせの発生(欧米社会)
○意図的か否かにかかわらず、フェイク画像(ゲーム画像、過去の動画の使い回し、AI生成)の氾濫/「フェイクだ」との言説の氾濫


4.今後の見通し
▶ イスラエル国内情勢の混乱
○イスラエル国籍アラブ人に向けられる「猜疑」やヘイト
 EX)女優マイサ・アブドゥルハーディーの拘束(SNSへの書き込みが「テロ扇動」であると摘発)
○ネタニヤフ首相に対して高まり続ける批判
 戦闘の展開次第では、戦争継続中の政権崩壊も?

▶ 「戦後」の体制
○復興、治安、行政の担い手は誰か?
 復興・・・国連や国際NGO
 治安・・・イスラエル(ただし地区周辺に展開)
 行政…・・?
PA(資金不足・行政能力に課題)/エジプトなどアラブ諸国(PAからの反発・資金の課題)/国際PKO部
隊の展開/(イスラエル再占領)
いずれにしても、国際社会(含・日本)が多額の資金援助を行うことが必須のシナリオ/今回は人的貢献が求められる可能性

○ガザ内部の治安の懸念
 グローバルジハーディストの台頭を抑えてきたハマースやPIJ
 国際NGOや外国ODAの活動は、治安維持と社会行政の確保が鍵

▶本当の「戦後」は訪れるのか?


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プレゼンテーション (2) (高橋和夫氏)
(引用資料)

ガザからミシガンへ:バイデン落選のシナリオ』
CFIECウエビナー「中東紛争拡大の脅威と国際情勢への波紋」2023年11月21日(火)高橋和夫


イスラエルによるガザ侵攻は、来年の大統領選挙に跳ね返るのではないかと見ている。
それは、アメリカ大統領選挙で大きな役割を担う「スイングステイツ」と呼ばれている地域の中でも、アラブ系、中東系の日飛地が多い「ミシガン」で現れるのではないか。


違和感:開戦22日目の10月28日(土)ネタニヤフの「第2段階宣言」
バイデンの説得、ヘズボラ攻撃の準備・・・?
6日目の10月12日(木)「戦争管理内閣」発足
人質家族の圧力の結晶化
今後のイスラエル将兵の犠牲
ガザの子どもの死傷の映像に世論は、いつまで耐えられるのか?

10.7.の事件からすぐには地上侵攻は行われず、なぜか3週間以上経った時点だった。
その3週間の間、イスラエルがガザ爆撃し続け、殺されていく子供達の写真がメディアから流れ出て、当初はテロの犠牲者イスラエルに同情的だった世論の風向きが変わった。
しかしイスラエルの指導層はこのまま戦争を続けたいという意向である。
イスラエルの世論もネタニエフ政権に逆風になりつつあるが、問題はアメリカの世論である。
イスラエルを動かせるものは、イスラエル自身か、イスラエルに圧力を加える力を持っているアメリカしかない。
アメリカの世論が変われば、アメリの政治家はイスラエルに「戦争をやめろ」と言わざるを得なくなる。

アメリカ世論の動向
アメリカ世論全体
民主党支持層
進歩派=若年層(18〜24歳)
アラブ系イスラム系の有権者
ミネソタ州イルハン・オマル連邦下院議員
スイング州
ウィスコンシン、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ペンシルバニア
ミシガン
2020年は民主党2016年は共和党 154、188票と10、704票

アメリカの世論は、このガザの問題が起こる前から「パレスチナに同情的な人々が増えている」
それは、アメリカが、非白人系有色人種が増えてきているからである。
統計では、今アメリカで生まれてくる赤ん坊の過半数が有色人種である。
現実は、白人の国アメリカではなくなっている。
その変化を象徴していたのが、2008年の大統領選挙の「オバマの勝利」であった。
変化するアメリカの人口動態を受け止めてきたのは、どちらかというと「民主党」だった。
「民主党の支持層に日白人系の人が増」えてきた。

「パレスチナ、イスラエルの対立の構図」に対して、
民主党のリベラルな層では、「パレスチナに親しみを覚える。同情心を覚える」人が上回りつつあった。
今年のギャラップの世論調査では、初めて、民主党全体でも「パレスチナに親近感を覚える」人が多くなった。
そのようなベースの中で10.7.の事件が起こった。

バイデンは、「イスラエル寄り一辺倒」の政策で、
「ネタニエフを抱きしめる」「イスラエルと共に立つ」と打ち出した。
アメリカの大統領にとっては「とりあえずイスラエル支持」を打ち出すのが、次の選挙のための伝統的、条件反射的な発想である。

しかし、今回は流石に状況が違う。
アメリカ国民の過半数は「即時停戦すべき」と考えている。
特に民主党支持層の間でその傾向が強い。
黒人、ヒスパニックの間では特にその傾向が強い。
「BLACK LIVES MATTER」は無抵抗な黒人青年が白人警官の暴力によって殺害されたことから発生し世界的に広がった運動であるが、黒人にとって、パレスチナ人の姿は自分たちの姿と重なり、「PALESTINA LIVES MATTER」となるのである。
また、年齢層では、若いほどパレスチナに同情的な傾向がある。

イスラエルの支持基盤と言われてきたユダヤ教徒ユダヤ系でも「パレスチナに同情的」な人々が増えてきている。ユダヤ系の人々は基本はイスラエル支持しつつも、「イスラエルが良くない時は批判すべきだ」という立場の人々が増えてきた。

アメリカの選挙では、民主党と共和党が抑える州はだいたい決まっている。
ニューヨーク州やカリフォルニア州では共和党は逆立ちしても勝てない。
ルイジアナやケンタッキーでは民主党はまず勝てない。

選挙の勝負は、どちらが取るかわからない「スイング州」で決まる。
ウィスコンシン、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ペンシルバニア、ミシガン
この5州の中で、ウィスコンシン以外は、トランプがかなりの差でリードをしている。
この調査の発表はガザの後であるが、調査自体はガザの前に行われているので、今は、もっとトランプ優勢、バイデン劣勢なのではないかと思われる。

「スイング州」の中でもミシガンに注目する。
ミシガンは、フォードなど自動車産業の州。
ミシガンでは自動車産業の労使紛争が行われているが、バイデンは民主党の大統領として初めて労働組合の応援に駆けつけた。
ミシガンの特徴は、イスラム教徒、アラブ系の人が多い。
イスラム教徒はアメリカの人口の1.3%であるが、ミシガンのイスラム教徒は3%である。
20世紀の初めにヘンリー・フォードがミシガンで自動車の大量生産をはじめ、一日5ドルという破格の給料を払うという噂が中東に広まり、今でいうレバノン、シリアからイスラム教徒が流れ込んだという。

ミシガンの登録有権者の中東ルーツの人々は、26万人。
この「26万票を持つイスラム教徒」が、バイデンに怒っている。
彼らは、「2024年11月24日の時期大統領選挙の日を、良く覚えている。
 我々は、お前に投票しないよ」と言っている。

イスラム教徒は、伝統的には共和党に投票していた。
ところが、2001年に「アメリカ同時多発テロ」があって、共和党ブッシュ政権下で中東で戦争が始まり、アメリカ国内のイスラム教徒に対する締め付けが厳しくなった。
イスラム教徒は共和党に裏切られたという気持ちが強くなって、2008年のオバマから以降、民主党に振れている。

ミシガンは2016年は共和党が取り、2020年は民主党が取っている。
バイデンとトランプの票差は、15万4088票。
しかし、イスラム教徒がバイデンに怒っているからと言って、トランプに入れることはまずない。
ケネディに票がいくのかもしれないし、投票行動はしない棄権の可能性もある。
26万×0.6は、ちょうど15万6000票になる。
バイデンとトランプの票差の15万4088票を帳消しにしかねない。

ミシガンは、非常に接戦の州で、2016年はトランプが取ったが、
その差はたった1万704票だった。

「2024年11月24日の時期大統領選挙」でもしバイデンが負けたとしたら、
「ミシガンで負けた」「ガザで政策を誤ったからだ」と言われかねない。
ひょっとすると、トランプが帰ってくるかもしれないという怖い話である。
しかし、高橋氏いはく「高橋の予想は大半が外れている」


ーーーーー

プレゼンテーション (3) (小谷哲男氏)
1:05:45〜
○「イスラエルのハマス戦争」にどのような対応をしてきたか。
・「イスラエルの自衛の権利、義務がある」としてイスラエルの全面的指示を表明。
・ハマスの存在が2国間解決の最大の障害と見て、ハマスの壊滅を歓迎する。
・ヒズボラやイランがこの紛争を拡大することを阻止するために、空母打撃軍団を2つ展開、
 海兵隊の即応軍を展開、防空システムの地域の展開などを進め、
 イスラエルがガザに集中できるようにしている。
・ハマスの捕虜となったアメリカ人2名は解放、9名が依然として捉えられているので、
 カタールを舞台にアメリカが仲介しハマス・イスラエルの人質救済の交渉が続いている。
・イスラエルの空爆、地上侵攻によって民間人の犠牲が増えていることに関して、
 国際人道法に則った行動をとるように要請している。
 戦闘の一時停止、人道物資のガザへの流入を進めようとしている。

○「イスラエルのハマス戦争」に今後どのように関わっていくか。
・国内外でアメリカのイスラエル支援に対して強い批判が高まっている。
・アメリカのイスラエル支援は突出しているので、
 グローバルサウスに与える影響を考えざるを得ないところに来ている。
・新イスラエル姿勢に変化が見られる。
 国連安保理の決議において、これまでのアメリカにとっての必要最低限の条件は、
 「イスラエルの自衛権を認める、ハマスを批判する、停戦を求めない」だったが、
 今回は、ハマスへの批判がないにも関わらず、拒否権を発動せず棄権をした。
・バイデン大統領自身が、ヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人に対して、
 「暴力を伴う形で入植を続けるイスラエル人に対して、制裁をかける」と表明。
・ハマス「後」の統治〜に関して、アメリカとしては、
 パレスチナ自治政府が関わる戦後の統治を考えている。
・ハマス「後」の統治〜に関し、 もう一つは、
 「ネタニヤフではない」「ネタニエフ後」のイスラエルの指導者と、
 この問題を議論しなければならないと考えている。
・中東戦略は緊張緩和と地域統合が柱だったが、明らかに実行は難しくなっている。
 中東戦略の見直しの中で、「イスラエル支援の方針」がどうなるかが注目点。
・米議会は「イスラエル支援の予算」をつけるのに重要な役割を果たすが、
 米議会が混乱中で「議会の中で物事を決められない」ということで、
 イスラエル支援の予算もつけられない状態が続いている。
 民主党を中心に「軍事支援」をするにあたり、「民間人の保護をする」という
 条件をつけるべきだという声も高まっている。
 政権だけでなく議会の動きも重要になってくる。
 議会が「軍事支援」の予算をつけられない可能性も十分ある。
 イスラエルはアメリカの軍事支援なしにどこまでガザでの作戦を
 どこまで継続できるのかということにもなる。
・アメリカは情報能力が不足している。
 アメリカは2007年以降、ガザの情報に関しては、イスラエルにアウトソースしてきた。
 アメリカ自身でこの問題の分析をしていなかったとメディアでも報じられている。
 サリバン補佐官は10月7日の少し前に「中東はより静かになった。より安定した」と発言。
 アメリカは情報収集能力の立て直しに直面している。