【山尾志桜里】黒川の定年延長は違法❗️「検察官は国家公務員法の定年制適用できない」S56議事録 | ☆Dancing the Dream ☆

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森法務大臣は、
今回の黒川弘務検事長の定年延長は、
「国家公務員法」を適用して行う
と主張しているが、

1981年、昭和56年
「国家公務員法」で定年制度を導入について審議する
衆議院内閣委員会において、
政府委員が、
「国家公務員法の定年制度は検察官には適用できない」と答えている。


すでに39年も前に、
検察官の定年延長について、
「国家公務員法」は適用できないことが確定しているのだ。


人事院事務総局任用局長の斧誠之助・政府委員
(第94回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 昭和56年4月28日)
検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。
 今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、
 こういうことになっておりますので、
 今回の定年制は適用されないことになっております。



山尾志桜里議員は、
過去の議事録を調べあげ、
黒川検事長の定年延長は法的根拠がないこと、
つまり、違法な措置であることを明確に示し、
再検討を求めたが、

森大臣も菅官房長官も
まるで、九官鳥のように、
覚えた言葉をただ繰り返すだけだった。

「国家公務員法」の捻じ曲げ解釈…

…これはデジャヴである。
思い出すのは、
詐欺としか言いようのない「昭和47年政府見解」の捻じ曲げ

安倍政権は、
憲法改正をしないまま、あり得ない憲法解釈によって
集団的自衛権を行使できるとして、
安保法(戦争法)を強行採決
した。


2015/05/21「集団的自衛権行使容認の閣議決定」が覆る決定的根拠!
「昭和47年政府見解」の知られざる真実を小西洋之議員が暴く

この時と手口は同じだ。
過去に積み上げてきた法と法解釈を
尽く踏みにじり、

どんなに論理的に違法性を指摘されようとも、
恥知らずのクズを寄せ集めて、
鉄面皮で強行するのだ。

いったいこの件を理解していた国民は、
全体の何%だったのだろう。




2020年2月10日 衆議院予算委員会 山尾志桜里

検事長の定年延長問題について
(23:34〜)

○山尾志桜里議員〜
制度の話をしたい。
黒川弘務東京高検検事長の定年延長が
検察庁の初めての定年延長の事案としていま問題になっているが、
黒川検事長の疑惑というような属人的な噂を
この場で質問するつもりはない。

検察官に「国家公務員法」を適用して、
定年延長を認めるというのは、検察庁という組織の本質に反する。
また、法の根拠がない、違法な措置だと思う。

検察官の人事において、それを定める「検察庁法」には、
〈定年延長〉の規定がない。
もちろん〈定年延長〉された前例もない。

なのに今回「国家公務員法」の規定を使って
初めて検察官の定年延長を認めるということだが、

大臣の見解では制度として
検察官の定年延長が認められるようになったのはいつからか❓

○森まさこ法務大臣〜
制度としては、当初からだと認識している。 (えーーーー?)

○山尾〜
当初というのはいつか❓
戦後初めて検察法の22条で、検察官の定年が定められた時なのか、
それとも国家公務員法に定年と定年延長の
規定が定められた昭和60年なのか、
それともそれ以外なのか、いつか❓

○森〜
国家公務員法が設けられた時と理解している。

○山尾〜
国家公務員法に定年と定年延長の規定が
定められたのは、いつか❓

○森〜
昭和56年の改正の時である。

○山尾〜
ちょっと、昭和56なのか、私は昭和60年だと思っていたのだが、
そこはもう一度確認していただき、
私が間違っていたのなら、56年でも良い。体制に影響はない。

今の話で、昭和22年から国家公務員法に定年の制度ができるまでの間は
検察官は定年の延長ができなかったけれども、
国家公務員法に定年と定年延長という定年制度が入った時に、
突然、検察官も定年延長ができるようになった、と。
そういう主張か❓

○森〜
昭和56年の国家公務員の法改正は、60年に施行されているので、
その時に勤務延長の制度が検察官にも適用されるようになったと
理解している。

○山尾〜
そうだとすると、この時、喧々諤々の議論があった。
一般公務員に定年の延長を認めるかどうかという議論があって、
そのときできた条文が、
〈一般公務員はこの年齢に達したら定年です〉という条項
とプラス延長の条文、
〈定年に達した職員が前条第一項の規定により
退職すべきこととなる場合に延長できる〉と、この改正で書いた。

もし、検察官もこの際、定年延長を認めるんだと、
その時の立法者が判断したなら、
〈前条第一項の規定により〉とは書かずに
(定年に達した職員が退職すべきこととなる場合に〉と書く。

〈前条第一項の規定により、退職すべきこととなる場合に延長できる〉
と書いたら、検察官は入らない。

検察官の定年は、「国家公務員法」で決まっているのではない。
検察官の定年自体の法的根拠は何という法律か❓

○森〜
「検察庁法」である。

○山尾〜
そうだ。
そうすると、今大臣が主張している
「国家公務員法」の規定でできるというのは成り立たない。                    (そうだ

なぜ、そんな成り立たないような改正を
この立法者はしたのか❓
もし大臣が言うように、
国家公務員も定年ができ定年延長ができることになります、と、
そうであれば検察官も定年はできるけれど延長できるようにしよう、と、
もしそういう立法者の意思があったなら、
こういう条文の作り方はしない。

なぜ〈前条第一項の規定により〉というように、
検察官に適用がないような条文の書き方をしたのか、
どんな理解の仕方をしているのか❓

○森〜
検察庁法22条には、定年制を定める旨、
定年の年齢と退職時期の2点について特例として定めたと理解している。
32条の2だったと思うが、
そこに国家公務員法と検察庁法の関係が書いてある。
そちらの方に、もし勤務延長を規定しないということであるならば、
こちらの方に記載されるべきだと思うが、記載をされていたないこと、
そして、検察官が一般職の国家公務員であることから
特例が定められていること以外については、
国家公務員法が適応されると理解している。

○山尾〜
検察庁法32の2ができたのは、昭和24年なのである。
このとき国家公務員法には定年も延長もないのである。
だから、〈そこで書かれているはずだ〉なんていうは、しない。
定年ができるのは、そのずっと後の36年後だ。

だから、32の2で交通整理をしたときに、
もし、検察官にも定年延長がないと言うなら書くはずだということは、
成り立たないわけである。
36年前だから!(笑)
そのとき、検察官が定年延長するなんてことは、
念頭にもなかったということだ!

それでも、今の独特な理解を法務大臣は維持するのか❓

○森〜
先程答弁したとおり、
昭和56年の法改正、60年施行されたが、
その時にもし特例ということになって
32条の2 または32条の2の2になるかも分からないが、
「国家公務員法」と「検察庁法」の両法の関係を定める規定の中に
定まるはず、という理解である。

○山尾〜
定まるはず、という極めて独自の理解を繰り広げている訳だが、
私はこの週末、ずっと議事録を調べてきた。

国家公務員法の改正の時の議論をみたら
そんな議論はされていない❗️
むしろ逆である。
私の手元にある。

昭和56年4月28日、衆議院内閣委員会
当時民社党の神田厚議員が聞いている。
〜定年制の導入は当然指定職の職員にも
適用される事になるのかどうか。
例えば一般職にありましては検事総長、その他の検察官、
これらについてはどういう風にお考えになりますか?〜

それに対して、人事院事務総局任用局長の斧誠之助・政府委員が答えた。
〜検察官と大学教官につきましては現在すでに定年制が
定められております。
今回の定年制は適用されない事になっております。〜

このように答弁している。
国家公務員法の定年制は適用されないと。
適用できないのではないか❓

○森〜
先程から答弁しているとおり、
定年制の特例が年齢と退職時期の2点、
これについて特例を定めたものと理解している。

○山尾〜
この小野政府委員の確定的な答弁、
〈定年制〉は検察官には適用されないと言っている訳なので、
私は、当時この国会の議論で〈定年制〉というのは、
どういう意味で議論されているのかをまた調べた。

「昭和56年4月23日」
〈国家公務員法に定年制度を導入する〉担当大臣は、
当時、中山太郎大臣。

中山大臣が主旨説明をされている。
〜国家公務員については、検察官など一部の者を除いては、
現在定年制度は設けられていないわけですが、…
政府としては国家公務員の定年制度の導入を閣議決定し、
国家公務員法の改正により、
国家公務員の定年制度を設ける事にし、
この法律案を提出した次第であります。〜

趣旨説明のあと、内訳を説明することに入る。
この定年制度の内訳として、
中山大臣は、
第一に、定年の年齢、
第二に、定年の延長、
第三に、定年による退職者の再任用、
第四に、内閣総理大臣の定年に関する事務運営の調整、
第五に、国の経営する企業に勤務する職員の定年制度、
第六に、以上の定年制度の改正に伴う経過措置。
…とした。

つまり、この時の国会議論は、
当たり前だが、定年制というのはパッケージである。
定年の年齢だけ切り出す議論はどこにもない。
そして、政府委員がはっきり言っているのは、
「この国家公務員法の定年制は検察官には適用されない」

大臣はこの議事録はちゃんと読んだのか❓

○森〜
その議事録の詳細は存じ上げないが、
人事院の解釈ではなく、
検察庁法の解釈の問題であると認識している。

○森〜
議事録を読まれましたか?という質問なので、
議事録については詳細を存じ上げていない。 (えええーー‼︎)

○山尾〜
この議事録を読んでもらわない事には
検察官に戦後初の定年延長を国家公務員法に読み込めるのか、
という解釈は理解できないと思う。

読んで頂いて、
御自身の人事が法的根拠をもつものなのか、どうか、
再確認して頂きたい。
その上で、この議事録を見ると、
少なくとも当時の政府の見解は、
「国家公務員法の定年制は検察官には
適用されない事になっております」と言っている。
私は違法だと思う。
政府の統一見解を求めたい。

○森〜
いずれにしましても、検察庁法を所管する立場としての
解釈を申し上げると、
検察庁法で定められる検察官の定年の退職の特例は
定年年齢と退職時期の2点であり、
検察官の勤務延長については一般法たる国家公務員法に
規定が適用するものと解している。

○山尾〜
森大臣は、「適用される」と言っているけれども、
当時の政府委員は「適用されない」と言っている訳だ。
その法案を審議していた時の「適用されない」という答弁を
森大臣は「知らない」と仰った。

なんで知らなかったんだと責めるよりは、
まず知って頂いて、ちゃんと確認してもらって、
もう一回、自分の人事が違法だったのかどうか、
法的根拠は本当にあったのか、
ちゃんと検討し直して頂く必要があるが、いかがか❓

○森〜
今紹介頂いた議事録の詳細を読んでいないけれども、
法務省としては、検察庁法を所管する立場として、
申し上げたとおり、
定年年齢と退職時期の2点が特例として定められていると
理解をしている。

(……以降、森が同じ答弁の繰り返しなので省略)

○山尾〜
森大臣に知って頂いたうえで建設的に議論したので、
菅官房長官、調整して頂けないか?

○菅官房長官
調整と言うより、法務大臣が答弁をしているとおり、 
「検察庁検察官も一般職の国家公務員であり、
国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用されるものである」
そのように聞いている。

○山尾〜
そうすると、
政府の見解を理由なく変更され、
実は変更したことも知らずに新しく解釈を持ち出して、
黒川検事長という戦後初の検察官の定年延長を
認めようとしている、と。
いうような事になっている訳である。

ちょっと、防衛大臣に伺う。
自衛官。
自衛官は定年と定年延長を認められるんですけれども、
その法の根拠を仰って下さい。

○河野太郎防衛大臣〜
自衛官の勤務延長については、
自衛隊法45条3項の規定により、
〜定年に達した事により退職する事が自衛隊の任務の遂行に
重大な支障を及ぼすと認めるときは、
防衛出動が命じられている場合は一年以内、
その他の場合には6カ月以内の期間に限り
引き続き勤務させるができる〜とされている。

○山尾〜
自衛官は特別職であるが、
ちゃんと「自衛隊法」で、定年と定年延長が決まっている。
森大臣は多分ご存知ないかもしれないので聞いて頂きたい。
自衛官以外の自衛隊の職員については、
この国家公務員法の議論の時に議論になって、
やっぱり自衛官以外の自衛隊職員も定年と定年延長を
ちゃんと作った方が良いのではないか、
国家公務員法もそういう風になるのだからということで、
ちゃんと法案を出されて議論され、そういう風に運用されている。

もし、この時に、
検察官も「延長するんだ」という話になれば、
ちゃんと論点として国会に上がって議論されて
延長すべきだとか、すべきでないとか、
そういう風になるはずなのだ。
ならなければおかしい。

その時は、明確に論点になったというよりも、
そもそも「検察官には国家公務員の
定年とか定年延長の制度の適用はありません」と政府委員が言い、
そこで終わった話な訳である。

では裁判所に聞く。
裁判官は定年延長の規定はない。
定年延長できるのか?

最高裁判所人事局長 堀田雅也〜
運用について説明すると、
裁判官については定年延長に関する法律の規定が存在しないことから、
定年延長を行った前例は存在しない。

○山尾〜
自衛官はキチッと法に規定があるから延長する、
裁判官は法に規定がないから延長はない、と。
なんで検察官だけ法に規定がないのに延長があるのか❓ (ダメだよ‼︎)

官房長官に伺う。
黒川検事長さんにしかできない検事長としての仕事とは
何なのか❓

○菅〜
検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、
検察庁を所管する法務大臣からの閣議整理により、
政府としては閣議決定した。

○山尾〜
黒川検事長にしかできない検事長としての仕事のために
例外的に、法を超えて、定年延長させるので有れば、
「検事総長」に任命するということはあり得ませんね❓

○菅〜
検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、
検察庁を所管する法務大臣からの閣議整理により、
政府としては閣議決定し引き続き勤務させる事にした。

○山尾〜
全く答えない。
「検事総長にはしない」とも言わなかった。
今回のやり方は、法的根拠がない。
違法な措置である。

法務大臣は前提事実を知らなかったので、
もう一回キチッと知った上で法的根拠はあったのか再検討を。

私は長くはないが、検事をしていた。
「検察官一体の原則」というのを教わってきた。
検察庁というのは、金太郎飴のような存在だと教わった。
切っても切っても同じ顔が次から次へと現れて、
換えが効くということが検察庁の最大の強みだと。
換えが効くのだと。
「この人にしかできない」とか「この人じゃなきゃダメだ」とか
そういうことがない。
属人性がないということが検察庁の正義であり、
1番の強みだと。

その大原則を押し切って、
黒川検事長にしかできない、換えが効かない仕事とは何かと
聞いても全く答えない。

黒川検事長にしかできない仕事が
最後にあったとしたら、
政府から「延長してくれ」という願いを毅然とはねのけて、
検察庁として「政府からの独立」と「法の支配を守る」ということしか、
黒川検事長にはできない、
検察庁という組織の信頼を守るための仕事なのではないかと思う。


ーーーーー

第94回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 昭和56年4月28日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=109404889X01019810428&current=1

238 神田厚
○神田委員 指定職の高齢化比率が非常に高いわけでありますが、五十四年現在で六十歳以上の者の占める割合は約四〇・一%。定年制の導入は当然指定職にある職員にも適用されることになるのかどうか。たとえば一般職にありましては検事総長その他の検察官、さらには教育公務員におきましては国立大学九十三大学の教員の中から何名か出ているわけでありますが、これらについてはどういうふうにお考えになりますか。
239 斧誠之助
○斧政府委員 検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。

ーー

第94回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 昭和56年4月23日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=109404889X00919810423&current=1
004 江藤隆美
○江藤委員長 内閣提出、第九十三回国会閣法第六号、国家公務員法の一部を改正する法律案、内閣提出、第九十二回国会閣法第七号、自衛隊法の一部を改正する法律案及び内閣提出、第九十三回国会閣法第九号、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。中山総理府総務長官。

005 中山太郎
○中山国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案及び国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 初めに国家公務員法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国家公務員については、大学教員、検察官等一部のものを除いて、現在、定年制度は設けられていないわけでありますが、近年、高齢化社会を迎え、公務部内におきましても職員の高齢化が進行しつつあります。したがって、職員の新陳代謝を確保し、長期的展望に立った計画的かつ安定的な人事管理を推進するため、適切な退職管理制度を整備することが必要となってきております。このため、政府は、昭和五十二年十二月に国家公務員の定年制度の導入を閣議決定し、政府部内において準備検討を進める一方、この問題が職員の分限に係るものであることにかんがみ、人事院に対し、その見解を求めたのであります。人事院の見解は、一昨年八月、人事院総裁から総理府総務長官あての書簡をもって示されましたが、その趣旨は、より能率的な公務の運営を確保するため定年制度を導入することば意義があることであり、原則として定年を六十歳とし、おおむね五年後に実施することが適当であるというものでありました。
 政府といたしましては、この人事院見解を基本としつつ、関係省庁間で鋭意検討を進めてまいったわけでありますが、このたび、国における行政の一癖の能率的運営を図るべく、国家公務員法の一部改正により国家公務員の定年制度を設けることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 改正の第一は、職員は定年に達した日から会計年度の末日までの間において任命権者の定める日に退職することとし、その定年は六十歳とするというものであります。ただし、特殊な官職や欠員補充が困難な官職を占める職員につきましては、六十五歳を限度として、別に特例定年を設けることとしております。
 改正の第二は、定年による退職の特例であります。これは、任命権者は職員が定年により退職することが公務の運営に著しい支障を生ずると認める場合には、通算三年を限度とし、一年以内の期限を定めてその職員の勤務を延長することができるというものであります。
 改正の第三は、定年による退職者の再任用であります。これは、任命権者は定年により退職した者を任用することが公務の能率的な運営を確保するため特に必要がある場合には、定年退職の日の翌日から起算して三年を限度とし、一年以内の任期でその者を再び採用することができるというものであります。
 改正の第四は、内閣総理大臣は定年に関する事務の適正な運営を確保するため必要な調整等を行うというものであります。
 改正の第五は、国の経営する企業に勤務する職員の定年制度であります。これらの職員については、原則定年六十歳を法定し、特例定年の対象の範囲、勤務の延長の基準等は当該企業の主務大臣等が定めることとしております。
 改正の第六は、以上の改正に伴う経過措置等であります。すなわち、任命権者、人事院及び内閣総理大臣は、この法律が施行されるまでの間、定年制度の円滑な実施を確保するため所要の準備を行うものとすること、この法律の施行の日の前日までにすでに定年を超えている職員は、施行の日をもって退職するものとすること、ただし、これらの職員についても、定年による退職者の例に準じて、勤務の延長及び再任用の措置をとることができるものとすること等であります。
 以上の改正は、昭和六十年三月三十一日から施行するものとし、円滑な実施のための準備に関する規定は、この法律の公布の日から施行することとしております。
 続きまして、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国家公務員等の退職手当につきましては、民間における退職金の実情にかんがみ、これを是正する必要があると認められますので、政府としては、このたび、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律について、所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一に、職員が二十年以上三十五年以下の期間勤続し、勧奨等により退職した場合に法第三条から第五条までの規定により計算した額に百分の百二十を乗じて得た額の退職手当を支給するものとしていたのを、百分の百十を乗じて得た額を支給することに改めることといたしております。
 第二に、職員が退職した場合に支給する退職手当の基準については、今後の民間事業における退職金の支給の実情、公務員に関する制度及びその運用の状況その他の事情を勘案して総合的に再検討を行い、その結果必要があると認められる場合には、昭和六十年度までに所要の措置を講ずるものとすることといたしております。
 以上のほか、附則において、この法律の施行期日及び経過措置について規定しております。
 以上が国家公務員法の一部を改正する法律案及び国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。