「桜を見る会」の安倍首相の問題に対し、
宮城の弁護士さんたちが立ち上がって下さいました!
安倍首相は、公職選挙法違反、政治資金規正法違反によって、
被選挙権を失い、当選を失う(公選法22条)可能性があるのではないか、
という法律の専門家としての問題の本質のご指摘です。
「桜を見る会問題」は、もはや「問題」と呼ぶよりも、
法令上で扱われる「桜を見る会事件」と呼ぶべき「事件」となりました。
単に政治的な責任問題や道義的な責任問題ではなく、
安倍首相の犯罪行為を問う「事件」となったのです。
「桜を見る会」の問題に強い疑惑を感じている者のひとりとして、
小野寺弁護士をはじめとする弁護士さんたちの運動の声が広がり、
全国規模となることを願って、
1月23日の「桜を見る会 野党追及本部」での
小野寺弁護士の貴重なお話の全文を文字起こし致しました。
桜を見る会 ヒアリング28回 1/23
「桜を見る会を追及する弁護士の会・宮城」共同代表・小野寺弁護士
https://www.1-lawyers.com/lawyer/onodera/
どうぞよろしくお願い致します弁護士の小野寺義象と申します。
1月6日に「桜を見る会を追求する弁護士の会・宮城」
というのを立ち上げました。
後でなぜ始めたのかという理由も話させていただきますが
まず問題意識を話させていただきたいと思います。
弁護士の観点、法律化の観点からこの桜を見る会を
考えた場合には様々なたくさんいろんな問題がありますが、
だれを桜を見る会で招待したのかとか
あるいは文章管理の問題とかありますが、
私たちはこの事件の本質は、あえて「事件」と言わせてもらいますが、
〈安倍首相の被選挙権に関する問題だ〉という風に考えております。
公職選挙法の99条には
「当選者はその選挙の期日後において被選挙権を有しなくなった時は当選を失う」
という規定があります。
この公職選挙法99条がこの問題の私は本質だという風に考えております。
じゃあどのような場合に被選挙権を失うのかというと、
本件と関係あるものとしては、
・一つは公職選挙法に触れる選挙による犯罪により
選挙権被選挙権が停止されている者
・そして2つ目としては政治資金規正法に定める犯罪により
選挙権被選挙権が停止されている者
というのがあります。
もちろん本件におきましては、
選挙権や被選挙権が停止されているわけではありませんが、
公選法に関係する犯罪、
あるいは政治資金規正法に関係する犯罪
となった場合には、この被選挙権、つまり安倍首相の被選挙権の問題について
大きな影響があるという風に考えております。
そういう点で様々な問題がありますが、
公職選挙法に関連する問題、あるいは政治資金規正法に関連する問題は、
他の問題と違って極めて重要であり、
かつ法律的な問題だという風に考えております。
そこで先ほど私の方からコメントと言われましたけれども、
政治資金規正法等公選法違反の検討を行いますと、
❶まず「前夜祭」の収支報告の問題があります。
いちいち条文は示しませんが、犯罪構成要件として、政治資金規制法25条で
〈第12条に反する場合には5年以下の禁錮もしくは100万円以下の罰金〉
とあります。そして、この規定に該当する場合には当然のことながら
被選挙権の関係が問題になります。
これについてどこが問題になるかといいますと、
政治資金規正法の12条で、
当該政治団体…この場合で言えば、安倍首相の後援会、安倍晋三講演会
にかかるその年における収入支出が発生した場合には
収支報告書に記載しなければない。
その不記載の場合には犯罪になるんだという記載があります。
つまり、「前夜祭」における後援会の収入支出というのはあったのかどうなのか?
というのが争点になります。
これに関して安倍首相はきのうの答弁等で
「後援会の方では収支は全くなかった。すべてホテルが1人5千円と設定して
ホテルが領収証を用意して参加者側から徴収し、
徴収した後にその場でホテルの方に払った」という風なこと言っております。
つまり、お金のやり取りは参加者とホテル側の関係でしかなく、
後援会に一切、収支が発生していないのだから収支報告書に記載する必要はない
という風に言っています。
しかし、法律家の観点からみると非常に不思議な話で、
本件「前夜祭」はホテル主催の企画ではありません。
あくまで後援会主催の企画です。
そして、会場の提供、物品役務の提供に関するホテルと講演会との間は
契約が結ばれておりまして、
そのような契約に基づいてこの企画が運営されたと解するほか
法律的にはないという風に思います。
従って〈ホテルへの代金支払いは契約上の債務であり、
その記載の履行は後援会が責務を負っているわけであり、
ホテルは後援会の債務の履行として代金を受け取っている〉
というのは一般的な契約の観点だと思います。
そういう点から考えると、〈全く後援会が関与してない〉というのは、
契約的に見てどのような契約なのか、
非常に特異な契約、第三者のためにする契約だとか事務管理だとか、
普通の契約ではありえない、そのような契約だ、という風に
解するしかないと思います。
さらに、ここで問題なのはホテル名義の領収書…
先ほどの昨日の答弁の中にもありましたけど、
このホテル名義の領収書が出たということは、
後援会が関与していないということで、
安倍首相にとっては非常に重要な有利な証拠になりますが、
このホテル名義の領収書いうものを見た人はおりません。
いろいろ聞いてみたんですが、ないです。
一番大切な有利な証拠が出てない。
しかも800人ぐらい参加してますから、
かなりも人間に領収書を渡されてるはずなのに、
それが全く見えないという状況になっております。
さらに後援会の支払い総額について、
約800人規模で5000円という形でホテルが考えて設定したと。
つまり、800名×5000円なので400万円だという設定を
ホテルがしたという風に答弁されております。
ところが問題となりますのは、
400万円という金額がその当日実際に後援会員から入金があったのか、
そして、同じこの400万円がその場で渡したと昨日言ってますので、
その場でこの400万円がホテル側に渡されたのか、
ということです。
通常400万と設定しても参加者が増えたり減ったりしますから
確実に400万円入金あるわけはないと思いますし
ホテルの物品役務の提供についても様々な動きがありますから
400万円できっちりと終わるかどうかってことは解りません。
ですから、この問題が安倍首相の答弁が事実であるとすれば、
入金が400万円、そしてホテル側に渡された金額も400万円、
これはぴったり合わないとおかしなことになります。
そういうようなことは全く立証されておりません。
しかも社会的常識的に考えてもこのようなことは普通あり得ない
という風に思います。
さらにホテルは明細を保管しているのは通常ですが、
それについても提出を拒んでいるというのがあります。
非常に不可解だと思います。
あくまでホテル側と後援会は契約当事者ですから、
一方の契約当事者から要求があれば、少なくとも公表するかどうかはともかく
後援会側に交付すべき契約上もしくは信義則上の義務を
ホテルは負っているものだという風に考えます。
このような点で非常にこの「前夜祭」収支報告問題は、
法律的に考えて不可解な点が非常に多いという風に言えると思います。
しかも 立証は全くされておりません。
❷次に、前夜祭の会5000円の問題ですが、
これも犯罪にあたる場合の構成要件としては、公職選挙法199条の2、
あるいは199条の5という条文の法律の外該当性が問題になります。
ここでの問題となりますのは、
本来ホテルは〈立食パーティーの場合には1万1000円かかる〉と、
通常それぐらいの料金設定をしていると言っているのに対し、
会費が5000円だということです。
つまり6000円のギャップがあり、6000の差額があるという点が大きな問題で、
この〈6000円等について後援会が後援会員に寄付をした〉と、
〈公職選挙法上禁止されている寄付〉ですね。
例えば、香典なんかもそれにあたると思うんですが、
そのような寄付をしたかどうかという点が法律上の問題になります。
これについて安倍首相は〈5000円はホテルが設定したお金だ〉、
という風に言っておりますが、契約的に見て全くおかしいと思います。
この5000円という金額は、ホテル側、つまり役務等を提供する等
その享受を受ける側の契約当事者間で合意するべきものであって
ホテル側が設定したというのは、ちょっと曖昧な表現で、
ホテル側と後援会側が合致したと、契約の意思がここで合致したんだ、
ということが言えると思います。
しかし、それは5000円で果たしてちゃんとした後援会ができるんでしょうか?
聞くところによると5000円では乾き物ぐらいしか出ないという風になります。
そんな後援会の「前夜祭」をやったならば
「なんだ!この後援会!」ということになって、
ますます後援会員はうんざりして離れていくんじゃないでしょうか?
やっぱりそれに見合うだけのものを提供するということが
「前夜祭」にとっては必要なわけで、
それは〈5000円ではできない〉という風に思います。
そうしますと、その〈5000円との差額について誰が負担したのか?〉と。
〈後援会が負担したとなれば公職選挙法を禁止されている寄付〉にあたりますし、
〈ホテルがその分、建て替えをしたとなれば同じく公職選挙法上の贈収賄等〉にあたる
という形になります。
この点が全く解明されておりません。
同様にこの点についてもホテルに対して後援会側が書類の請求をすれば、
契約上ないしは信義則上提出する義務を負っているというようにに考えます。
それを公表するかどうかは別としても、
少なくとも後援会には示されるんじゃないのかという風に思います。
❸ちょっと時間がだんだんをしていきますので
次に「桜を見る会」の問題ですが、
これは同じように、〈寄付にあたるのか〉という問題だけじゃなくて、
さらに〈買収の関係〉が問題になります。
850人超える人たちが安倍後援会から招待されているということですが、
その中で〈各界において功績があった人、功労のあった人〉も
中にはいると思います。
全部否定するつもりはありませんが、しかし850人全員がですね、
これに該当するかというと問題があると思います。
該当する人については何も問題はないと思います。
ところが、〈該当しない人を招待して無料でその飲食等を供与した〉
ということになると、
これは寄付罪〈寄付に該当する〉ということになると思いますし、
さらにその場合、選挙の関係とかの問題が起こるとなると、
考えるその寄付だけにとどまらず〈買収の問題〉が起こってくると思います。
つまり1つの行為で2つの犯罪に該当すると。
観念的競合だとか色々ありますが、それだけの犯罪ということです。
しかも一人一人の犯罪ですから、
場合によっては〈850件の犯罪が起こっている〉ということにもなって、
これは、このような寄付行為があるなら、
おそらく日本においても凄まじい件数の犯罪が実際に起こってるんじゃないのか、
という風に思われるわけです。
これだけの重要な問題が今国会で議論されていると思います。
❸そして、私は弁護人の立場から
昨日の安倍首相の説明を見ますとですね、
このように行っているんじゃないかなと思うんです。
おそらく、《事実が先にあるのではなくて、犯罪構成要件が先にあって、
犯罪構成要件に該当しないように事実を組み立てている》。
おそらく法的な知識のある方が、
「法律解釈的にこういう風な事実があればこの犯罪構成要件に該当します。
「こういう風な事実であれば該当しません」というのが、まず先にあって、
それによって事実を組み立てているのではないかと思います。
だから〈収入支出は全くないんだ〉とか、
そのようなことが出てくるんじゃないかと思います。
その〈事実に反する事実〉いわゆる〈作られた事実に反する事実〉については、
〈犯罪構成要件を裏付ける証拠〉になるわけですが、
それが検出しないように努めているという風に言えると思います。
例えば〈名簿を出さない〉ということについても、
名簿がなければ、告発状の告発文を書くことができません。
だれが利益を受けたのか解りませんからね。
そういう観点で出していないのかなと、
法律的に考えた場合には思わざるを得ないわけであります。
私もこういうことを言うのは、言いたくはないんですが、
「桜を見る会」の問題は今言ったように、
《単なる政治的道義的な責任私物化等の問題ではなくて法律問題である》
という風に弁護士などは考えております。
従って、安倍首相は国民の疑惑に応える必要があるという風に思います。
それは政治資金規正法22条の理念に従って考えれば当然なわけですが、
しかし、対応はまったく逆であります。
これは法律をないがしろにするものとしか考えられません。
したがって、私たち法律を専門とする弁護士等は、
このような事実をどうしても黙認することはできないのです。
そういう観点から1月6日に『桜を見る会を追求する弁護士の会・宮城』
というのを立ち上げました。
まだまだ全国の会にはなっておりませんが、
声を上げられるところからやってみようということになりました。
そして今後のことですが、この運動さらに進めまして、
2月には全国規模の弁護士の会を発足させたいという風に考えております。
そして、調べた調査をした上で3月には可能であれば刑事告発したい
という風に考えております。
これが私たち弁護士が今考えていることですので、
《この問題は単なる政治的道義的な責任ではない法律問題である。
しかも犯罪行為であり、首相の被選挙権と絡む問題である》と。
この点を十分ご理解の上、
内閣府の先生方におかれましても、
答弁していただきたいという風に思います。
ちょっと長くなってしまって申し訳ありません。以上です。