月に憑かれたピエロ ~マイケルとシェーンベルグ | ☆Dancing the Dream ☆

☆Dancing the Dream ☆

Let us celebrate
The Joy of life ♡
with ☆Michael Jackson☆

マイケル・ジャクソンと、
アルノルト・シェーンベルク(Arnold Schönberg)が、
どこでどう結びつくのか?

一雨ごとに夏が去り秋めくような夜に、
その想いは、シェーンベルグの『月に憑かれたピエロ』を
聞いていた私の夢想から始まった。

マイケルジャクソンの『ビリージーン』のあの妖しいダンスは、
月に憑かれたピエロではないか・・?
アルベール・ジローの訳詞を読んで、
さらにその思いに囚われてしまった。

つまり、彼らを結びつけたのは、
単なる私の個人的なイマジネーションでしかないのであるが、
しかし、実は、実際にも、彼らの間には、
遠い縁がないわけでもなかったのだ、ということが解った。

また、彼らには、やや霊的な感触の
細く長く透明な蜘蛛の糸で結ばれた縁があったとも言える。
何の役にも立ちそうにないが、発見といえば、発見だ。

今夜は、そんな不思議で奇妙な話に、
耳を傾けんとする奇特な方々にのみお聞き頂いたいと思う。

さて、
マイケルジャクソンは、幼い頃から
旅から旅へのエンタメの世界に身を投じていたため、
学校に通うことができなかった。
その代わりに、専属の家庭教師・ローズ・ファインに
勉強を教わっていた。

マイケルは、J5の中でも最も年少で、
母親と離れ、学友を持たず旅をするには幼すぎる年齢であるにも関わらず、
一人前以上のプロであることを要求されていた。
つまり、児童就労の犠牲となった典型の子供だったのである。

そんな彼にとって、ローズファインは、ひとつの救いであった。
ある意味、マイケルにとって、彼女はもう一人の母親であり、
ローズファインにとっては、マイケルは息子も同然、
彼らは、貴重な心通い合う師弟関係を築いたのである。

なぜならば、ローズファインもまた、愛する者と離ればなれとなる
寂しさを知っていた女性だったからだ。
彼女は、病気の息子を幼くして亡くしていた。
彼らが、欠いた母子の影を互いに見出し、
教師と生徒以上の情愛によって結ばれたとしても不思議ではない。

ローズファインは、彼に読書の素晴らしさを教え、
彼女の影響によって、マイケルは生涯、読書を愛し、
旅先で買い集めた大量の蔵書をもっていたことが知られている。

彼女が死に際した最晩年には、
マイケルは、彼女の家族を含め、物心両面で支え、
深い感謝と愛を捧げた。

さて、このマイケルの最愛の家庭教師、ローズ・ファインの夫は、
音楽家で、その名をシドニー・ファイン言う。
ラジオ、TV、映画など、幅広く活躍し、
ディズニー音楽の編曲者として重要な位置を占めた人物であった。

マイケルジャクソンが、
シドニー・ファイン作詞作曲の『Seeing Voices』という曲を、
歌った録音テープが残されていることが明らかになっている。

『Seeing Voices』は、ファイン夫婦の
病気によって早世した愛息子・ピーターに捧げられた曲である。
ピーターは、聴覚障害をもつ少年だった。



さてさて、
マイケルの第二の母とも言えるローズの夫・シドニー・ファインは、
なんと、実は、本日の話題の人、
アルノルト・シェーンベルクの弟子だったのである。

アルノルト・シェーンベルクは、オーストリアのユダヤ人音楽家であるが、
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツから逃れてアメリカに移住し、
南カリフォルニア大学(USC)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で
教育活動を精力的に行っていた。

この頃、シドニー・ファインは、
ロサンゼルスでピアノ弾きや編曲者として働きながら、
アーノルド・シェーンベルグに師事する機会を得たのである。

こうして、かすかな音楽の調べのように
ふわふわと空中を流れる、不思議な細く長い、
蜘蛛の糸のように透明な糸で、
マイケルジャクソンと、シェーンベルグは、繋がっていた。
実際にも~ (´0ノ`*)

・・・そして、その蜘蛛の糸が描く五線譜のかすかな調べは、
とても不思議な旋律を奏で、
彼らを霊的にも結びつけているのではないか。
私には、そう思われる。
というのも・・

マイケルとシェーンベルグは、両者とも数秘術に凝り、
「7」という数字、特に「777」にこだわりを持っていた。
シェーンベルグは、『月に憑かれたピエロ』に、数秘の「7」に関連付けて、
作曲を行っており、
マイケルは、身につけた衣装やアルバムの絵柄など、
あちらこちらに「7」あるいは「777」を散りばめていた。
・・・さらに、
シェーンベルグ(1874年9月13日 - 1951年7月13日)が、
死んだちょうど7年後に、
マイケルジャクソン(1958年8月29日 - 2009年6月25日)が
生まれた。
二人とも、乙女座でしたベル
シェーンベルグが『月に憑かれたピエロ』(1912年10月16日初演)を
世に送った70年後に、
マイケルジャクソンは Billie Jeanを含む
『Thriller』(1982年11月30日リリース)をリリースした。

さて、あなたは、いかが思われますか?にひひ
この星めぐり~キラキラ



ドイツ・ライプツィヒバレエ団のプリンシパル
ジョヴァンニ・ディ・パルマによる「月に憑かれたピエロ」


シェーンベルクの
月に憑かれたピエロ――

原語タイトルは、ドイツ語で、
Dreimal sieben Gedichte aus Albert Girauds “Pierrot lunaire”と言う。

Dreimal(3つの)sieben(7)のGedichte(詩)という意味で日本語訳すると
「アルベール・ジローの「月に憑かれたピエロ」から三度の7つの詩」

無調音楽に入り12音技法を創始したことで知られる
アルノルト・シェーンベルクの作品21。


シェーンベルクは凝っていた数秘術によって、
作品全体に「」が多用されている。

例えばこの作品は第1部第2部第3部いう3部構成で
各部7曲ずつの構成、
演奏者は指揮者を含めて7人、
また各曲に7音からなる動機を、
そして作品番号21。
7x3、含まれる曲数が21曲です。
他にも色々な「7」にまつわる事が
作品全体に隠されている。

作品の大まかな内容しては、
1部では愛、性、そして宗教
2部では暴力、罪、神への冒涜
3部ではピエロが過去にとりつかれてきたベルガモへの里帰りを
歌っている。

「月に憑かれたピエロ」には、
数々のパラドックスが含まれる。
・器楽奏者は、独奏者であると同時にオーケストラを構成している。
・ピエロは主人公・英雄であると同時に道化師である。
・作品は、楽劇であると同時にコンサートピースである。
・語られる歌、または、歌われる朗読つきのハイカルチャーのショー、
 あるいは、同時にサブカルチャーでもありうる芸術音楽である。
・男役の道化師を演ずるのは女声。
・道化師は第1人称と第3人称の間を揺れ動く。

第1部
月に酔う Mondestrunken
コロンビーナ Colombine
伊達男 Der Dandy
蒼ざめた洗濯女 Eine blasse Wäscherin
ショパンのワルツ Valse de Chopin
聖女 Madonna
病める月 Der kranke Mond

第2部
夜〈パッサカリア〉 Nacht (Passacaglia)
ピエロへの祈り Gebet an Pierrot
強奪 Raub
赤いミサ Rote Messe
絞首台の歌 Galgenlied
打ち首 Enthauptung
十字架 Die Kreuze

第3部
望郷 Heimweh
いやなこと Gemeinheit!
パロディ Parodie
月のしみ Der Mondfleck
セレナーデ Serenade
帰郷〈舟歌〉 Heimfahrt (Barcarole) (Journey Home)
おお、いにしえの香りよ O alter Duft (O Old Perfume)


では、「月に憑かれたピエロ」詩:アルベール・ジロー
第一部の7曲の訳詞を。
      *アーノルド・シェーンベルクの楽曲の訳詞はこちらのサイト様でどうぞ。



1、月に酔い


目で飲むワインを
月は波のように 夜ごと降り注ぐ
そして大潮は溢れ出す
静かな水平線から
恐ろしいほど甘美な欲望が
計り知れぬ洪水となって泳ぎわたる

目で飲む酒ワインを
月は波のように夜ごと降り注ぐ
祈りに突き動かされた詩人は
この聖なる飲み物に酔い
恍惚として天に頭を向け
よろめきながら吸いすする
目で飲むワインを



2、コロンビーヌ

月の光の蒼白い花たち
純白の奇跡のバラの花たちが
七月の夜に咲く
おお その一枝でも手折れたら!
私の胸の不安をやわらげようと
私は探す 暗い流れに沿って

月の光の蒼白い花たち
純白の奇跡のバラの花たち
私の思いもしずまるだろうに
こんなお伽の国のようなこんな幸せの中で
とても幸せそうにしずかに振りまけたのなら
お前の栗毛の髪の毛の上に
月の光の蒼白い花たち



3、伊達男(ダンディ)

幻想にみちた光の帯で
月は水晶の小瓶を照らす
黒く気高い洗面台の前には
無口なベルガモの伊達男
音を立てる ブロンズの洗面槽のなかへ
明るく笑う水の流れ、金属的な響き

幻想にみちた光の帯で
月は水晶の小瓶を照らす
ピエロは自分の光った顔のことを
じっくり思い悩む 今日はどんな化粧をしようか
彼は赤やオリエンタルグリーンを押しやって
おごそかなスタイルに化粧をする
幻想にみちた光の帯で



4、蒼ざめた洗たく女

一人の蒼ざめた洗たく女が
夜に色あせた布を洗う
むき出しの銀白色の腕を
流れの中へ伸ばしながら
そよ風が光の中を抜け
流れをかすかにゆさぶる

一人の蒼ざめた洗たく女が
夜に色あせた布を洗う
そして天上のやさしい乙女は
小枝にやさしく抱かれながら
暗い野原の上にひろげられた
光で織った彼女の麻布を
一人の蒼ざめた洗たく女が



5、ショパンのワルツ

一滴の蒼褪めた血が
病気の女の唇を彩るように
その色は意味する
すべてを壊したいという欲求を
荒々しい欲求の和音が邪魔をする
氷のような絶望の夢を

一滴の蒼褪めた血が
病気の女の唇を彩るように
熱く歓声を上げ 甘く思い悩み
暗いメランコリックなワルツは
私の感覚から決して離れない
私の思いにしがみつく
一滴の蒼褪めた血が

6、聖母(マドンナ)

登り給え あらゆる苦悩を負える聖母よ
わが詩の祭壇の上に!
御身の薄い胸から流れる血は
剣の怒りが流させたもの
永遠になまなましい御身の傷口は
まるで目のように赤く 開かれている

登り給え あらゆる苦悩を負える聖母よ
わが詩の祭壇の上に!
そのやせ細った両手のなかに
御身は御子の屍を抱えている
彼を全人類に示すために
しかし人々は御身から視線をそらす
おお あらゆる苦悩を負う聖母よ



7、病める月

お前 死の病に取憑かれた夜の月よ
あの空の黒い枕の上に
お前の視線が 熱にうかされ巨大に
私をとらえる 耳慣れないメロディのように
静まることのない恋の悩みに
お前は死ぬ 憧れに 窒息し

お前 死の病に取憑かれた夜の月よ
あの空の黒い枕の上に
恋する者 心がざわめき
われを忘れて恋人の元へ忍び行く
お前の光の戯れは喜びを与える
お前の蒼褪めた 苦悶と共に生まれた血
お前 死の病に取憑かれた夜の月よ