『サーカス』を観てきました。

今回の『サーカス』は、
"からだであそぼ"以来の気心の知れた
舞台美術・衣装のひびのこづえさん、
音楽の川瀬浩介との
コラボ作品。
2013年作品『Born』
『Born』から2年。
今回のお題は『サーカス(Circus)』
そして、テーマは、
上から読んでも下から読んでも、
「まっさかさま」

「Welcome to まっさか サまーカス~!」なんですね。
開次くんは、こんなことをインタビューで言っていましたよ。
「こう見たらさかさまで面白いな」という発見がある。
一方向からしか見られない人間にはなりたくないな
という思いは常に持っています。
『サーカス』は、
楽しい世界でありながらちょっと怖さもあったり、
“娯楽”という視点ではハッピーを与えるところでもあるけれど、
つまりそれはお金を儲けるところでもある。
さらにその内側では曲芸に死もつきものだったり、
昔の見世物小屋などでは差別があったりとか…いろんな面がありますよね。
そう考えると曲芸だけじゃないサーカスが見えてくるんです。
そう、
この言葉のとおり、
笑いを誘うキュートで楽しい、
そして幻想的で美しい世界が、
ふとすると、
芭蕉の句のごとく・・
面白うて やがて悲しき・・サーカスかな。のよう。。。
・・そして、それは、また、
悲しゅうて、やがておかしき・・と、
まっさかさま~に回転する。
生と死 陰と陽 喜びと悲しみも、2極に非ず、
マーブルのように交じり合う。
リング、リング、リング、まっさかさま~カスの
めくるめく世界が舞台上に繰り広げられました。
こうして煌びやかな舞台が幕を閉じ、
火照った余韻の中で
目の前で繰り広げられ
確かに観たきたものを憶う。
あれは、いったい なんだったのか?
記憶を手繰り寄せようとする幾本もの手が伸び、
頭上で宙を掻く。
躍動する肉体。
さざめく笑いや、ポトリと落ちた涙。
キラキラとした光とあらゆる色彩が走り抜け、
同時に存在する得体の知れない影の感触。
あの質量は、あっけなく消えてしまったのか?
Lost Memory Theatre ・・
舞台の終わりは、
まるで、
死のようだ。
ストンと幕が落とされると同時に、
観た人の網膜にだけ、火傷の跡のように、影が転写され、
実体は、亡くなり、
透明な粒子になって宇宙に霧散してしまう。
確かに見ていたはずのものが、
儚くも一気に消えてしまうと、
消えたのが、アチラなのかコチラなのか、
解らなくなり、一瞬、倒錯の世界に陥ってしまう。
つまり、サカサマの世界に。
劇場の客席に座り込む私は、
まるで、ガンガラーの谷の珊瑚礁の鍾乳洞の中の
古代人・港川人の
そこらに転がった骨になった気分で、
目玉も脳みそも土埃になってしまったはずの
頭蓋骨のポカンと空いた空洞から、
観終わってしまった一幕の舞台の幻影を
映し出そうとしていました。
いつか、本当の白い骨になっても、
その二つの空洞は、
映写機のように
自分の人生で観たすべてのモノコトを
シースルーの絵にして
光の粉と影を放ち続けるでしょうか?
いかにも
Welcome to まっさか サまーカス~の意識世界を
遊泳した私でした。
サーカスの語源は、
ラテン語のキルクス( Circus)。
ラテン語のキルクスは、
ring(=環、輪) circular line(=輪状線)を意味し、
キルクスとは、
古代ローマ時代の戦車競走場と訳される。
古代ローマにおいて人間と猛獣の格闘などに使用された
円形競技場のことなのですね。
素敵な夢のような『サーカス』という名の舞台を観てきたのだけれど、
只今、ちょうど大きな魔の手の黒い影が
今まさに平和を握りつぶそうとする
戦争法案審議の真っ只中ゆえか、
こんな うた達を
ひょんと
思い出しました。
そして、
頭の中で
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよんと
ブランコが揺れて
道化よろしく
マイケルジャクソンの骸骨が
踊りだしました。
骨のうたう
竹内浩三 作
中井利亮 補作
戦死やあわれ
兵隊の死ぬるや あわれ
遠い他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や
こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
白い箱にて 故国をながめる
音もなく なんにもなく
帰っては きましたけれど
故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で
骨は骨 骨を愛する人もなし
骨は骨として 勲章をもらい
高く崇められ ほまれは高し
なれど 骨はききたかった
絶大な愛情のひびきをききたかった
がらがらどんどんと事務と常識が流れ
故国は発展にいそがしかった
女は 化粧にいそがしかった
ああ 戦死やあわれ
兵隊の死ぬるや あわれ
こらえきれないさびしさや
国のため
大君のため
死んでしまうや
その心や
「愚の旗」 成星出版 より
サーカス
中原中也 作
幾時代かがありまして
茶色い戦争がありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処でのひと盛り
今夜此処でのひと盛り
サーカス小屋は高い梁
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒さに手を垂れて
汚れた木綿の屋根のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が
安値いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
咽喉が鳴ります牡蠣殻と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
屋外は真ッ暗 暗の暗
夜は劫々と更けまする
落下傘奴のノスタルジアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
『山羊の歌』より
竹内浩三の兵士の骨はうたい
中原中也は、
歪んで揺れる音と色の残像の中
死の宙を舞う
マイケルジャクソンの骨はおどる
生きている人間は、忘れ易いが、
骨は、なにもかも覚えている。
そして、私たちに 全てを教えてくれる。
安倍と安倍を操る戦争屋さん、
Is it scary ?