ガンジーは、
カースト制度の外側にあって、インドのヒンドゥー教社会において最も差別される人々、
不可触賤民(=untouchable)を『ハリジャン(神の子)』と呼びました。
カースト制という人間が作り上げた社会。
不可触賤民は、その外に追放された存在ですから、
人間界の外側、つまり神の国の子供という意味で、
むしろ「神の子」である、ということなのでしょうか。
さて、「不可触賤民」とは、不思議な言葉です。
いったい、どういう意味なのでしょう?
触れてはならないほど卑しい者?
つまり、社会とは「縁」が切り離され、村八分にされた民ということでしょうか。
英語では「untouchable」と訳されますが、
これも、この言葉を被差別民の呼び名とするというのは、意味深長です。
「touch触れる」と云う語は、「縁を結ぶ」とか「コミュニケーションする」とか、
という意味をも持ちますよね。
その「un否定」ですから、「無縁」「無視」「無関心」という意味に繋がるでしょう。
しかし、
お釈迦様が言われるように、
何事も「縁」からしか始まらないのですよね。
それが「縁起」ということ。
お釈迦様は、縁起についてこう始められます。
「此があれば彼があり、此がなければ彼がない、
此が生ずれば彼が生じ、此が滅すれば彼が滅す」
マイケルの『Unbreakable』は、
これに近いことを言っているのではないでしょうか?
とても皮肉たっぷりに!!!
マイケルは、こう言うのですよ。
「Now I'm just wondering why you think
that you can get to me with anything
seems like you'd know by now
When and how I get down
And with all that I've been through,
I'm still around
さて、まったく不思議だよ
何故お前がどうにかして僕を捕まえられると思っているのか
今頃気付いたらしいね
いつ、どのように僕が降りるのか
そして 全てを潜り抜けて
僕ならまだここら辺にいる
You can't believe *it, you can't conceive it
and you can't touch me, 'cause I'm *untouchable
and I know you hate it, and you can't take it
You'll never break me, 'cause I'm unbreakable
お前はその力を信じられないだろう それを想像もできないんだ
お前は僕に触れることすらできない なぜなら僕はアンタッチャブル(不可触民)なのだから
お前がその力を嫌悪していることも、受け入れられないことも分かってるよ
お前には僕を壊すことなど決してできない なぜなら僕は不死身だからさ」
マイケルは、「ordinary普通に」人間として扱ってもらうことを心から望んでいました。
そして、人々と自然にふれあい、さらに、人のモカシンを履いて、月を2周してみないうちには、その人を判断してはいけないと考えていたのでしたよね?
けれども、彼を貶めようとするマスコミや、殊に児童虐待疑惑の捜査に関わった検察などは、彼を、およそ「untouchableアンタッチャブル=不可触民」の立場に追い込みました。
そして、「アンタッチャブル」であるということは、
「無縁」の存在として、社会から追放することです。
つまり、そこに居てもいないも同然に無視すること、存在を抹殺することです。
ということは、「幽霊GHOST」のような存在だということです。
けれども、『Unbreakable』では、もう一方で、
ガンジーのように、「untouchableアンタッチャブル=不可触民」の意味を負からプラスに反転して、「ある力」とします。
「アンタッチャブル=不可触民」であるマイケルは、実体はそこになくても、
彼の分身である音楽や映像で、自在に時空を超え、
人々の心に「touch」することができるのです。
マイケルジャクソンは、たとえ死しても、全てを潜り抜けてあちらこちらに存在する
世界のKing of Popなのですから。
そして、
無視され、実体としていないかのように扱われる「幽霊GHOST」ような存在ならば、
また、音楽や映像という「幽霊GHOST」ような存在ならば、
彼を「アンタッチャブル=不可触民」のように扱い、触れるつもりがない人間には、
触れることは、もちろん、捕まえること、
ましてや、破壊することができるわけがない!ということになるのです!!
こうして、untouchableアンタッチャブルというキーワードから、
『Unbreakable』を読むと、
映画、『Ghosts』に繋がります。
Unbreakable
written by Michael Jackson, Rodney Jerkins, Fred Jerkins III, LaShawn Daniels, Nora Payne, Robert Smith & Christopher Wallace (和訳・byてん)
Now I'm just wondering why you think
that you can get to me with anything
seems like you'd know by now
When and how I get down
And with all that I've been through,
I'm still around
さて、まったく不思議だよ
何故お前がどうにかして僕を捕まえられると思っているのか
今頃気付いたらしいね
いつ、どのように僕が降りるのか
そして 全てを潜り抜けて
僕ならまだここら辺にいる
Don't you ever make no mistake
Baby I've got *what it takes
And there's no way you'll ever get to me
Why can't you see that you'll never ever hurt me
'cause I wont let it be, see I'm too much for you baby
間違ってもらっちゃ困るんだ
ベイビー 僕は能力を持っている
お前には けして僕を掴まえられっこないんだ
どうしてお前は 僕を傷つける事なんかできっこないってことが分からないんだ?
そんなことは僕がさせない 分かるね?僕はお前の手に負える相手じゃない
*what it takesは・・「(金・魅力・才能など の成功に)必要な要素」「資質、能力」と言う意味の口語」。
[CHORUS]
You can't believe *it, you can't conceive it
and you can't touch me, 'cause I'm *untouchable
and I know you hate it, and you can't take it
You'll never break me, 'cause I'm unbreakable
お前はその力を信じられないだろう それを想像もできないんだ
お前は僕に触れることすらできない なぜなら僕はアンタッチャブル(不可触)なのだから
お前が嫌悪していることも、受け入れられないことも分かってるよ
お前には僕を壊すことなど決してできない なぜなら僕は不死身だからさ
*it ・・このitは what it takes(=「(金・魅力・才能など の成功に)必要な要素」「資質、能力」)を指している。
*untouchable・・非難の余地のない人。インド最下層の)不可触賤民。社会の除け者。
Now you can't stop me even though you think
that if you block me, you've done your thing
and when you bury me underneath all your pain
I´m steady laughin', while surfacing
さて、お前が邪魔をしようと思っても
できることを全部やっても
僕を止めることさえできないよ
お前が自分の全ての痛みの下に 僕を葬ろうったって
僕は 平気で笑いながら浮かび上がっている
Don't you ever make no mistake
baby I've got what it takes
and there's no way you'll ever get to me
Why can't you see that you'll never ever hurt me
'cause I wont let it be, see I'm too much for you baby
間違ってもらっちゃ困るんだ
ベイビー 僕は能力を持っている
お前には けして僕を掴まえられっこないんだ
どうしてお前は 僕を傷つける事なんかできっこないってことが分からないんだ?
そんなことは僕がさせない 分かるね?僕はお前の手に負える相手じゃない
[CHORUS 2x]
You can try to stop me, but it wont do a thing
no matter what you do, I'm still gonna be here
Through all your lies and silly games
I'm a still remain the same,I'm unbreakable
僕を止めてみるがいい お前のすることなんか問題にならない
僕は まだここにいる
お前のあらゆる嘘と愚かなゲームを越えて
僕は全く変わらないまま まだここにいる
僕は不死身なのさ
[Notorious B.I.G.]
Uh, uh, what, uh
A lime to a lemon(*1), my CeCe women(*2)
Bringin in ten G minimums to condos with elevators in 'em
Vehicles with televisions in 'em
Watch they entourage turn yours to just mirages
Disappearing acts, strictly nines and macs(*3)
Killers be serial, Copperfield material
ヤバいモノから、似たようなヤバいモノへ 俺の運び屋の女共が
最低10,000ドルをエレベーターに乗せてコンドミニアムへ運んで行く
いくつもテレビが(複数の監視カメラのモニター?)付いた車両運搬具で
見ろ、奴ら取り巻き共は お前のものを蜃気楼に変える
消滅技さ 厳密に言えば チームのナインメンバーと見知らぬ補欠野郎たちだ
痛打は連続だぜ カパーフィールドの魔法の幕さ
*1)A lime to a lemon・・ライムもレモンも麻薬を表わす隠語(レモン=質の悪い)でもある。酸っぱいもの=好ましくないもの。不味いもの。ヤバいもの。
*2)my CeCe women・・D.C.womenと記されているものも見かけるし、Dと濁った発音に聞き取れるかも知れないが、引用元のビギーの「Can't Stop The Reign」ではCeCe womenとなっているので、こちらを採用。cee(シー)は、コカインの意味。
cash and carry =CCは、現金払い持ち帰り制のこと。よって、CeCe womenは麻薬の運び屋の女ということでしょうか。
*3) G=grand=one thousand dollars=1,000ドル
10Gは、10,000ドルのこと。
*4)strictly nines and macs・・nines とは、野球のメンバーのナインに例えて、チーム内輪の仲間(次の節にplayersという言葉も出てくるので、野球のゲームプレイに音楽業界のチームプレイを例えていると思われる)
macとは、 知らない男に対する呼び掛けに用いられる名前《主に米国で用いられるex.=(Hey, Mac.= おい, 君)》よって、チームメンバー以外の、見知らぬ取り巻き=野球チームの補欠のような。
人気ラッパーの周辺には取り巻き立ちは、見知らぬもの者さえ含めて寄生し、
群がってくる。
彼らはまるで、マジシャンのように彼のものを盗みとり、麻薬の売買で、
蜃気楼に変えるかのように使い果たす様子を表しているようだ。
My dreams is vivid, work hard to live it
Any place I visit, I got land there
How can players(*4) stand there and say I sound like them
HELLO?!
俺の夢は鮮明だ それを活かすために必死で働く
どこへ行っても俺はシマを掴む
いったいどうしてプレーヤーがぶらぶらしていられるんだ?
で、どうして、俺の出す音が奴らに似てるなんて言えるんだ?
冗談だろ?!
*4)players・・音楽の演奏者(前節の繋がりで野球の選手の例えの意味も含む)
Push wigs back and push six Coupes that's yellow
Plus clips that expand from hand to elbow
Spray up your Day's Inn, any 'telle you in
Crack braggin sick of braggin how my mink be draggin
Desert ease street (*5)sweeper inside the beamer wagon
I rely on Bed-Stuy (*6)to shut it down if I die
Put that on my diamond bezel, you're messin with the devil
WHAT!!
Uh, uh, what, uh
カツラのズレを直して 6台のポンコツ(=黄色)のクーペを転がして
おまけに、手から肘に膨らんだ装弾子
デイズインをぶっ放す お前の泊まったどんな宿でも同じだ
俺のミンクを引きずって大威張りの バンバン鳴らす大威張り病
BMワゴンの中で*Desert Ease(西海岸)ストリートの掃除人
もしも俺が死んだら、片を付けるために地元ベッドフォード・スタイベサントの奴らに頼るさ
俺のダイヤの指輪の縁に「お前は悪魔と会食した」刻んでおけよ
どうだい!?
*5)Desert ease street ・・Desert(=砂漠)ease(緩和な)。
砂漠気候の西海岸のストリ-トを表わす。ビギーの属していたバッド・ボーイ(東海岸)に対し、2パックが所属するデス・ロウ・レコード(西海岸)の闘争があった。
*6)Bed-Stuy ・・ベッドスタイ(=Bed-Stuy)と呼ばれる、ニューヨーク、ブルックリンのベッドフォード・スタイベサント地区。ビーギーの地元。
*ノトーリアス・B.I.G.(1972年5月21日 - 1997年3月9日)は、ニューヨークブルックリン生まれ。
地元では、フリースタイルラップ・キングとして、麻薬の売人時代も彼のカリスマ性からよく知られた存在だった。
デビューアルバム『Ready to Die 』は、ヒップホップアルバムとして屈指の名作として名高く、名声をビギーにもたらし、当時西海岸が主流だった風流に東海岸の興隆を見せつけた。
ビギーが所属するバッド・ボーイと、2パックが所属するデス・ロウ・レコードは、1990年代の東西二大ヒップホップレーベルだった。
二人は、レーベルの闘争に巻き込まれた形で、殺害される。事件は未だ解決していない。
ドキュメンタリー映画『ビギー&トゥパック(Biggie & Tupac)』、伝記映画『Notorious』など映画化もされた。
このラップは、シャックとコラボした「Can't Stop The Reign」(Released 1996年11月) の中の、ビギーのヴァースの一部が転用されているものだ。
ちなみに、この曲のシャックの第3Verseには、「Invincible」という言葉も出てくるのだ!
マイケルらブラックプレイヤー達が互いにJamしており、その繋がりは、想像以上なのかもしれない。
ショービズの腐敗した内情と、それに巻き込まれ命の危険さえ感じているアーティストの実情を歌っている。殺害される直前のビギーのラストメッセージと言える。
[CHORUS×]
You can't touch me
You can't break me
You can't stand with me
'Cause I'm unbreakable
OWW
Go on!
お前は僕に触れられない
お前は僕を壊せない
お前は僕と立っていられない
何故なら 僕は破壊できない者なのさ
オゥ~~
冗談はよせ!