『 金のボタン 』 (二)
目の前に 落ちてきた金色のボタンをみて
カラスは おどろいていいました。
「 これは、きみの星?
とても きれいだ!」
「やぁ、 カラスくん、これはぼくのお父さんの金ボタンだよ。
毎日 みがいているから 星みたいによく光って きれいだろ?
お父さんも ずっとそうしていたのさ。
風の歌をきいていたら うっかり落としちゃったんだ。」と小さなネコは答えました。
「 お父さんの金ボタン?
ぼくには、お父さんはいないから 金ボタンのことは知らない。
でも 星のことなら知っている。
夜になると いつも話をしてるからね。」
「君は、星と話すのかい?」
「そうさ。 でも星は一言もしゃべらいないけれどね。
ただ 光っているのさ。 ぼくも一言もしゃべらない。
ただ 願っているのさ。」
「いったい どんなお願いをしているの?」
「ぼくの頭を 光らせてくださいって。
ぼくの黒い頭に 星が乗っかってくれたら どんなにうれしいだろう。
ぼくはカラスだからね。 生まれたときから黒いんだ。
夜になると ぼくは どこにいるかわからなくなる。」
小さなネコは すこし考えていいました。
「この金ボタンじゃ どうだい?
きみの 頭に のせてみるかい?」
そういって 小さなネコは、カラスの頭に金ボタンをのせてやりました。
そのひょうしに。
ころころころ・・・
こんどは 小さなネコのかぶっていた帽子がおっこちて ころがりました。
カラスは くちばしで 子ネコのあたまに 帽子をかぶせてやりました。
ふたりは えがおで 同時に 「ありがとう」 といって
そして なんだかおかしくなって 同時に吹きだしてしまいました。
カラスの頭には金のボタン。 小さなネコの頭には古びた帽子。
ふたりは おたがいをみながら また笑いました。
そして ふと気づくと からすの頭の上にのっかった金のボタンが
いちだんと輝いてくるではありませんか。
夕焼けが 濃い藍色にかわり やがて夜になる時刻です。
金ボタンは ますます 輝きはじめ 夜の空に
ひとすじの光のみちをつくっています。
そこに 風がふいてきました。
旅のあいだ たくさんの風の歌を聞いてきた 小さなネコですが
これほど 美しい風の歌を聞くのは はじめてです。
「ああ ぼくも 風のとおる あそこへ行ってみたい。
風のように飛んでみたい。」 空を見上げて 子ネコはつぶやきました。
それを聞いたカラスは とつぜん いいことを思いつきました。
「ぼくの背中に おのりよ。
だいじょうぶ ぼくたち飛べるよ。夜なのに 空にみちがみえる。
きみも ぼくのことがみえるだろ?」
「もちろんさ。 きみのことがよくみえるよ。
きみの頭の金ボタンがどんなに光っているか きみにみせてあげたいよ。」
小さなネコは、まよわず喜んでカラスの背中にのりました。
夜の空の風の歌は、とても不思議です。
風は 星々の光をふるわせながら ふたりを呼ぶように歌います。
金ボタンは、ずっと ふたりの行くみちを照らしていたので
カラスは 風にのって いきおいよく まっすぐに飛んでいきました。
---- つづく ----
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