楽天の商品名に単語を19個積んだ夜、AIは190個出してきた

商品名の欄に、単語を19個並べたことがある。

送料無料、人気、ギフト、かわいい、ランキング、即納。全部盛りチャーハンだ。具の主張が強すぎて、肝心の米、つまり商品そのものの味が消えていた。

楽天とAmazonで中国輸入をやってきて6年になる。副業で作った受発注システムは260社ほどに使われ、Chrome拡張は700人ほどがインストールしている。それでも自分の商品名の欄では、単語を一個足すたびに検索エンジンという奉行所へ賄賂を差し出せば覚えめでたくなると信じる、出入りの商人だった。順位が上がる保証など、どこにもないのに。

同じ疑問を掘り下げているチャンネルがある。元希式-EC×AI活用の教科書。商品名の付け方をAIで実演した回(https://youtu.be/5444i0NcHsQ)と、検索順位が上がる商品ページを解説した回(https://youtu.be/urFEu3D4bYk)。どちらも商品名とページ全体の作り方を扱っている。以下は動画の要約ではなく、私が自分の店で試して分かったことだ。

「キーワード本位制」をやめて、たたき台に戻す

商品名の並びには「ブランド→商品名→対象→シーズン→用途→色→サイズ」という型がある。型はたたき台であって、絶対命令ではない。うちの店では型番検索が多いガジェットの商品名にわざわざ「夏」を先頭に置き、検索意図とズレたことがある。

単語を積めば積むほど強くなる、という発想を私は「キーワード本位制」と呼んでいる。通貨の裏付けが金から信用に変わったように、商品名の裏付けも語数から中身に変えないと、いずれ価値が崩れる。

変更前:「在庫処分 送料無料 人気 ギフト ランキング 即納 3WAYトートバッグ レディース 大容量 A4 通勤 通学 旅行 軽量 撥水 プレゼント おしゃれ 黒」変更後:「3WAYトートバッグ レディース 大容量A4 通勤通学 旅行 軽量撥水」

商品名・キャッチコピー・説明文で役割を分ける

「人気」「おすすめ」「ギフト」のような評価語は、商品名からキャッチコピー側へ逃がした。商品名は表札、キャッチコピーは呼び込み、説明文は接客トーク。三つの持ち場を分けただけだ。

作業は自分の実測で1商品あたり15分。時給2,000円換算で500円。19商品変えれば9,500円かかる計算だが、順位が上がらなければただの人件費のドブ捨てになる。だからこそ、あなたの店でも1商品ずつ確かめてほしい。

AIは物量四天王、掘る場所はあなたが決める

AIに商品名を考えさせると、こちらが19個積むところを平気で190個出してくる。AIは物量四天王であって、司令官ではない。無限に案を出せる部下に、どこを掘るかまで決めさせてはいけない。

実際に使ったプロンプトはこれだ。

```商品名を次の要素で分解してください。①カテゴリ ②対象(誰向け) ③素材/仕様 ④サイズ/容量 ⑤色 ⑥用途・シーン。このうち最も検索されている主軸語を1つだけ選び、先頭か2番目に置いた商品名案を3つだけ出してください。「人気」「おすすめ」「ギフト」など評価を表す言葉は使わないでください。出力は商品名だけを1行ずつ。説明文は不要です。既存の商品名:[ここに貼る]商品仕様:[ここに貼る]```

散歩中にこの話を妻にしたら、「その15分で500円って、時給換算だと逆に高くない?」と即座に返ってきた。中央銀行総裁は、金額へのツッコミの解像度がなぜか私より高い。

一斉変更奉行にはならない、1商品だけ試す

全商品を一斉変更奉行のように一斉に変えると、何が効いたのか二度と分からなくなる。セールや広告と時期が重ならず、直近30日の表示回数が1,000回を超えている商品を1つだけ選ぶ。

確認する項目は最低限これだけでいい。

対象商品のURL

変更前の商品名全文

変更後の主軸語

変更日時

固定しておく項目(価格・画像・カテゴリは変えない)

比較期間(14日か28日)

見る指標(表示回数・クリック率・購入率)

戻す基準(悪化したら即戻す)

RMSのアクセス分析を見る手間は5分。時給2,000円換算で167円。私はこの167円を惜しんで、半年ノーデータで運用していた時期がある。「!」「★」などの記号は避けた方がいいとよく言われるが、全面禁止と断定できる公開情報は確認できていない。念のため避けておく程度でいい。ちなみに楽天の規約や検索の仕組みは変わることがあるので、登録前にRMSの最新案内は確認してほしい。

商品名を直したら、ログを残す。悪ければ戻す。それだけだ。

19個目の単語を足す前に、あなたの店でもまずその1行を書いてみてほしい。私も、指を止める理由をようやく1つ手に入れた。