「新人に仕事を教えるように」ChatGPT Workに任せたら、3日分の罪悪感が数分で消えた
先週、私はChatGPTに「指示書」ではなく「新人研修プログラムのようなもの」を渡しました。結果、3日間ずっと引っかかっていた胸のつかえが、数分で消えました。AIに仕事を振るたび感じていた、あの後ろめたさです。
こんばんは。せおっちです。今日は「丸投げ恐怖症」の話をします。自分が丸投げしていたのではなく、単に教えていなかっただけだと気づいた話です。
丸投げが怖い理由を、突き止めてみた
私は自社システムを約260社に、Chrome拡張を約700ユーザーに提供しています。毎日誰かに何かを任せているはずなのに、AIに仕事を渡す瞬間だけは妙に手が止まります。「これくらい自分でやった方が早いのでは」「雑に投げたら申し訳ないのでは」。
この感覚の正体を突き止めると、無限責任者本位制という言葉が浮かびました。全部自分で抱え込むことを信用の証だと錯覚する制度です。上場企業なら、経営のリスクは株主や取締役会や現場のマネージャーに分散して背負わせる設計になっている。個人事業主の頭の中には、その分散先がありません。丸投げできない人ほど、実は誰かに任せる練習をしたことがないだけだったりします。
長篠三段撃ちで教える、という発想

OpenAIが今月発表した「ChatGPT Work」は、1,400以上のツール連携を抱え、指示を出すと成果物そのものを最後まで仕上げるエージェント機能です。この使い方を「新人教育の型で任せる」と解説していたのが、YouTubeで「ChatGPT Work完全入門」を配信しているいけともチャンネル(池田朋弘さん)でした。背景を説明する、やらせてみる、フィードバックする。この三段階を、まるで長篠三段撃ちの鉄砲隊のように順番に撃ち込んでいく、という説明です。
戦国時代、鉄砲隊が三列に並んで撃っては下がり撃っては下がりを繰り返し、当時最強と言われた騎馬隊を崩したという逸話です(史実性には諸説あります)。一発で終わらせず、構え直しながら精度を上げていく。最初から完璧な指示を出そうとするから疲れるのであって、新人相手なら3回に分けて調整するのが当たり前だったはずです。
散歩中に知った、3000回超えの伸び
先週の多摩川の土手散歩中、このいけともチャンネルの動画を思い出して、公開日を確認してみました。公開からわずか4日で、1日あたり3147回のペースで再生が伸びていました([youtu.be/8daq1U1pg38](https://youtu.be/8daq1U1pg38))。丸投げ恐怖症は私だけではなかったようです。
家に帰ってその話を妻にしたら、中央銀行総裁(我が家の無駄遣い検知担当)から即座に年貢の督促が飛んできました。「その前にサブスクを整理してから新しいAIツールの話をして」。数えたら、使っていないサブスクが3つで月2,400円。ChatGPT Workの有料プラン相当を仮に月3,000円とすると、サブスク解約だけでほぼ1本分のお釣りが出る計算でした。正論すぎて何も言い返せませんでした。
曖昧な答えに、はじめて型をもらった

これまでのAI活用は、極端に言えばデルフォイの神託でした。曖昧な問いを投げると、意味深だけど解釈が難しい答えが返ってくる。当たるも八卦当たらぬも八卦で、結局は人間側が全部読み解く責任を負っていました。
いけともさんの解説が刺さったのは、この神託に業務マニュアルを持たせるような発想だったからです。背景(会社でいう業務マニュアル)を渡し、実際にやらせ、フィードバックする。神秘性を手放す代わりに、再現性を手に入れる。私は5分の作業をサボるために5時間かけて自動化ツールを作るくらいの面倒くさがりですが、この型なら「新人に一度教えれば二度目は自分でやる」という当たり前の期待を、AI相手にも持てるようになりました。
人に教えるのと、AIに教えるのの差分

260社にシステムを提供していると、サポートチームの新人にも同じような教え方をします。マニュアルを渡し、実際の問い合わせを1件やらせてみて、対応ログを見てフィードバックする。人間相手なら、この最初の1件に付き合う時間はだいたい30分。時給換算で2,000円だとしても、たった1,000円で「二度目から自走できる新人」が育ちます。
AI相手だと、この「最初の1件」を省略しがちでした。いきなり本番の粒度で投げて、出てきたものの粗さにがっかりして、「やっぱり自分でやった方が早い」と結論づける。人間の新人には絶対にやらない扱いを、AIにはやっていたわけです。
実際に渡している型はこんな感じです。
背景:何のための作業か、過去の似た成果物(あれば)、絶対にやってはいけないこと
依頼:今回やってほしいこと、完成の定義(どうなったら合格か)
最初の一回だけ試作:本番を投げる前に1つだけ作らせて見せてもらい、フィードバックしてから本番に進める
丸投げが怖い人ほど、この「最初の一回」を省略して失敗しています。3段階に分けるだけで、ダメ出しのハードルがぐっと下がります。
研修担当、もうひとり増えました
胸のつかえが消えた理由は単純です。丸投げしていたのではなく、教えていなかっただけでした。新人にいきなり「これやっといて」とだけ言って評価する上司はいません。背景を話し、一度やらせて、直す。それだけの話を、私はAI相手にはずっとサボっていました。
今日もまた、新人研修担当という肩書きが一つ増えただけかもしれません。次にAIへ何かを頼むときは、指示書ではなく研修プログラムを渡すつもりで書いてみてください。
ツールも制度も、日々アップデートされます。実際に導入する際は最新の仕様をご自身でご確認のうえ、自己責任でお試しください。