生成AIの仕事利用は、文章作成46%、調べもの37%。一方で、業務フロー自動化23%、ナレッジ共有22%。
この数字を見ると、傾向はかなりはっきりしています。多くの人は、AIを「ちょっと文章を書かせる箱」「ちょっと調べる箱」として使っている。
そして、Yahoo!知恵袋にはこういう相談が並んでいます。
「仕事でChatGPTを使うことにまだ戸惑いがある」「営業企画で、企画書やパンフ作成にどう活用すればいいか知りたい」「仕事で生成AIを何に使ってる?」
こんばんは。せおっちです。
この悩み、私はかなり健全だと思っています。ただし、やさしく言いすぎると何も変わらないので、少しだけ刺します。
ChatGPTの前で手が止まるのは、AIが難しいからではありません。自分の仕事が、AIに渡せるサイズまで分解されていないからです。
入力欄の白い画面を、神殿みたいに見ている場合ではありません。あれは神殿ではなく、ただの入力欄です。
白紙神殿で祈る前に、仕事を削る
「営業企画でAIを使いたいです」
これ、気持ちはわかります。でもAI側からすると、範囲が広すぎます。
企画書の構成なのか。パンフレットの見出しなのか。競合資料の整理なのか。上司に出す説明文なのか。営業メールのたたき台なのか。
全部まとめて「営業企画を助けて」と渡されても、ChatGPTも内心こう思っているはずです。
「それは部署ですか?作業ですか?人生ですか?」
もちろんAIを擬人化しすぎるのは雑です。言い換えると、依頼単位が大きすぎる。
ここで必要なのは、プロンプトの呪文探しではありません。仕事名を、手の動きまで落とすことです。
「販促」では広い。「楽天の商品名を30文字以内で5案出す」なら渡せる。
「顧客対応」では広い。「返品希望メールへの一次返信案を、丁寧だけど長すぎない文面で作る」なら渡せる。
「企画書作成」では広い。「既存資料の要点を、目的・課題・施策・期待効果の4項目に分ける」なら渡せる。
AI活用の入口は、ここです。仕事をかっこよく言うのをやめて、手元の動きに戻す。
要するに、業務おろし金です。大根おろしみたいに、仕事をAIが飲み込める粗さまで削る。
3ステップで十分です

私はECを6年やりながら、自社システムを約260社に使ってもらい、Chrome拡張も約700ユーザーに使ってもらっています。AIエージェントや業務改善ツールも作っています。
そこで見てきたのは、「AIが怖い人」よりも、「何を渡せばいいかわからない人」です。
やることは、派手ではありません。
1つ目。自分の1日の作業を書き出す。2つ目。定型作業を切り出す。3つ目。そこだけAIに渡す。
これだけです。
ただし、「やることは単純です」と言って終わると、急に研修講師みたいになります。パワポの右下に謎の青い三角形が出てきそうです。
なので、実例でいきます。
EC運営なら、こうです。
作業名:レビュー返信AIに渡せる形:低評価レビューを、謝罪・確認・次の案内の順に整えるプロンプト例:「以下のレビューに対して、感情的に反論せず、謝罪、状況確認、問い合わせ導線の順で返信案を3つ作ってください。個人情報は含めません」
作業名:商品ページ改善AIに渡せる形:商品情報とレビュー要約から、不安解消の説明文を作るプロンプト例:「以下の商品情報とレビュー要約をもとに、購入前の不安を3つ挙げ、それぞれに対応する商品説明文を作ってください。誇大表現は避けてください」
営業企画なら、こうです。
作業名:企画書のたたき台AIに渡せる形:メモを、目的・背景・課題・提案・期待効果に並べ替えるプロンプト例:「以下のメモを、社内提案用の企画書構成に整理してください。見出しは5つ。断定しすぎず、上司が判断しやすい粒度にしてください」
作業名:パンフレット作成AIに渡せる形:商品の特徴を、見出し・導入文・利用シーン・問い合わせ導線に変換するプロンプト例:「以下のサービス情報をもとに、パンフレット用の見出し案を10個、導入文を3案作ってください。専門用語を減らし、初めて読む人向けにしてください」
作業名:競合整理AIに渡せる形:人間が集めた情報源を比較表にするプロンプト例:「以下に貼る3社の公開情報をもとに、価格、対象顧客、強み、注意点を表にしてください。貼っていない最新情報は推測しないでください」
ここ、大事です。AIに「最新の競合を全部調べて」と丸投げしない。情報源を渡す。社内資料を渡す。ただし、渡していい資料だけです。
私は昔、ECのキャンペーン文言を毎回ゼロから考えていました。Beforeは、「なんか売れそうな言い回しないかな」と腕組みして、画面の前で煮干しみたいな顔になる。Afterは、商品情報、ターゲット、禁止表現、文字数を渡して、5案出させる。
最後に人間が選びます。でも、ゼロからうんうん唸る時間は消える。
これだけで、現場の空気は変わります。少なくとも、午前中に白目をむく回数は減ります。
今日3回やった作業から、時間税を取り返す

迷ったら、今日3回やった作業を探してください。
同じようなメールを書いた。同じような説明文を直した。同じような社内共有文を作った。同じような資料を要約した。同じような検索結果をまとめた。
それが入口です。
1回だけの作業は、まだ手でいい。月1回の作業も、慌てなくていい。
でも毎日3回やるなら話は別です。1回5分でも、1日15分。20営業日なら300分。つまり月5時間です。
月5時間。これはもう、見過ごせない時間税です。
私のような、5分をサボるために5時間かけて自動化ツールを作る人間からすると、ここで目が光ります。家計なら完全に赤字です。妻という名の中央銀行総裁から見れば、即時利上げ案件です。
でも仕事なら、月5時間を取り返せる可能性がある。しかも一度型を作れば、翌月も使える。
ここから、個人の時短で終わらせないこともできます。
自分用に作った返信文の型を、部署の共有テンプレに置く。企画書の構成プロンプトを、営業企画チームの棚に置く。レビュー返信の注意点を、ナレッジとして残す。
文章作成46%、調べもの37%で止まっていたAI活用が、少しだけ業務フローやナレッジ共有に近づきます。
いきなり会社全体の仕組みにする必要はありません。でも、自分だけの小技で止めると、仕組み化までは届きにくい。
AIに渡す時は、5つだけ決める

AIの精度を上げるために、長い呪文はいりません。
最低限、5つです。
対象。素材。形式。数。禁止事項。
たとえば、こうです。
対象:30代女性向け素材:単価3,000円の商品情報とレビュー要約形式:楽天の商品ページ用バナー文言数:5案禁止事項:医療効果のような断定はしない
これなら、AIは迷いにくい。
逆に「いい感じに売れる文章を作って」は、かなり乱暴です。冷蔵庫を丸ごと渡して「夕飯よろしく」と言っているようなものです。しかも冷蔵庫の中に、賞味期限切れの豆腐と謎のタレが混ざっている。
AIに渡す前に、材料を切る。判断は人間が持つ。下ごしらえをAIに任せる。
この順番が、いちばん事故りにくいです。
そして仕事利用では、ここも雑にしてはいけません。
個人情報、顧客情報、社外秘、未公開の企画書、契約情報、社内限定資料。これは、会社のルールを確認せずに外部AIへ入れない。
AI活用は便利ですが、便利な刃物です。切れるからこそ、まな板の上に何を置くかは人間側で決める必要があります。
白い画面は、ただの入力欄です
知恵袋の質問に戻ります。
「仕事でChatGPTを使うことにまだ戸惑いがある」「営業企画でどう活用すればいいか知りたい」「仕事で生成AIを何に使ってる?」
この迷いは、恥ずかしいものではありません。むしろ、仕事を分解する入口です。
AIに仕事を丸ごと渡そうとすると、手が止まります。今日の3回作業を渡すと、動きます。
「営業企画を助けて」ではなく、「このメモを、企画書の5見出しに整理して」。
「ECを伸ばして」ではなく、「このレビューから、購入前の不安を3つ抜き出して」。
「いい文章を書いて」ではなく、「30代女性向けに、3,000円商品のバナー文言を5案」。
仕事名ではなく、手の動きまで落とす。これが、AI活用の最初の一歩です。
社外秘と最新仕様だけは、人間側で確認してください。中央銀行総裁にも、そこだけは怒られます(たぶん)。
白い画面は、神殿ではありません。ただの入力欄です。
ありがたがりすぎると、今日も何も打てません。
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出典・参照:Yahoo!知恵袋(「仕事でChatGPTを使うことへの戸惑い」「営業企画での企画書・パンフ作成への活用」「仕事で生成AIを何に使っているか」に関する相談)https://chiebukuro.yahoo.co.jp/
本文中の利用比率(文章作成46%/調べもの37%/業務フロー自動化23%/ナレッジ共有22%)は、生成AIの業務利用に関する各種調査で報じられている傾向を示した参考値です。組織や調査により数値は変動します。