先日、近所のスーパーで3種類のポテトサラダが並んでいるのを見ました。
パッケージも値段もほぼ同じ。違いは「北海道産じゃがいも使用」の一文だけ。私はその一文を信じて1個を選び、家で食べて「まあ、ポテトサラダだな」と思いました。差なんて、ほとんど無かったわけです。
楽天のRMSで「AIが商品説明文を書いてくれる」。それがいよいよ当たり前になりそうだと知ったとき、私の頭に浮かんだのはこのポテトサラダでした。
便利だ。便利すぎて、全員が同じ手を打つ
ここ数年、楽天はRMSにAIでの文章作成やレビューの自動返信を、追加費用なしで次々と載せてきました。出店者なら、もう普通に触れる状態です。ありがたい話です。
商品説明を書くのは、しんどい。1000商品あれば1000回しんどい。それをボタン一発で埋めてくれるなら、誰だって押します。私が出店者でも押します。締め切り前なら2回押します。
問題はそこなんです。全員が同じボタンを押す。
同じ楽天のAIが、同じ学習データから、同じトーンで、似た説明文を吐き出す。来年の楽天の検索結果は、文体の見分けがつかない説明文で埋まります。さっきのポテトサラダ売り場の、巨大版です。
AIが書けるところは、もう差別化ポイントじゃない
ここで多くの人が「じゃあAIを使わなければいい」と考えますが、それは違います。
AIで埋められる部分は、これから「埋まっていて当たり前」になります。スペック、サイズ、素材、定型のうたい文句。ここで手を抜くと減点される。でも、ここで頑張っても加点はされない。みんなやっているからです。
加点が生まれるのは、AIが知らないことを書いたときだけ。
この商品を仕入れたとき、店主が産地で何を見たか
返品されたお客さんが、何に怒っていたか
自分で1ヶ月使ってみて、どこが「想像と違った」か
これは学習データに無い。あなたの店の中にしか無い。AIには永遠に書けない一文です。
私のおすすめは「8割AI、2割は手で殴り書き」
全部手書きに戻れとは言いません。それは2026年に手紙で年賀状を全部書くようなもので、立派だけど続かない。
現実的なのは、説明文の骨格はAIに任せて、最後の2割を店主が手で潰すやり方です。
AIが出した無難な説明文の中に、「これ、実は雨の日に使うと最高なんですよ」みたいな、データに出てこない一行を1つねじ込む。それだけで、その商品ページは売り場で1人だけ顔が違う人になります。
便利な道具が配られた日は、チャンスの日じゃありません。みんなが楽をした分、楽をしなかった人が目立つ日です。
楽天のAIが全店の当たり前になりきる前に、自分の店の「AIが知らない一行」を、いくつ持っているか。数えておいて損はないと思います。