むかし、農民は領主に「年貢」を納めました。令和の自治会役員が納めるのは、「議事録」という名のタダ働きです。

報酬はゼロ、感謝もそこそこ、なり手は減る一方。あの清書作業が、毎回ずっしりと重かったんです。

こんばんは。せおっちです。普段はEC(楽天・Amazon)をやりつつ、AIエージェントを作っています。自治会では、いま2周目の役員をしています。

今日はその「タダ働き」を、AIでまるごと消し去った話を、手順までぜんぶ書きます。長くなりますが、同じ立場の人には、たぶん丸ごと役に立ちます。

認めたくないものだな…前回の自分の「手作業」を

まず、白状させてください。認めたくないものだな……面倒くさがりのくせに、手作業に耐え忍んでいた、という過ちを。

前回役員をやったとき、私は会議の録音を、家で何度も巻き戻して聴いていました。聞き取れない一言に耳をこらし、パソコンに打ち込み、気づけば一本の議事録に何時間も。

仕事では受注も発送も自動化しているくせに、自治会では石器時代の働き方をしていたわけです。隣町ではロケットが飛んでいるのに、自分は火を起こすところから始める原始人。その矛盾に、当時は気づかないふりをしていました。

そもそも、議事録の何がそんなにしんどいのか

冷静に分解すると、議事録づくりのしんどさは3つあります。
1. 聴き直しの往復——聞き取れない箇所を、何度も巻き戻す
2. 書き起こしの単純作業——話し言葉を、書き言葉に直す
3. 体裁を整える作業——議題・決定事項・持ち越しに、きれいに振り分ける

どれも、頭をほとんど使わないのに、時間だけが溶けていく。終わったと思ったら次の会議が来る。私はこれを、ひそかに議事録の無限ループと呼んでいました。

ところが今回は——こんなこともあろうかと

2周目の私は、ひと味違いました。フッ。こんなこともあろうかと、すでに自作の「会議録づくりの仕組み」を仕込んであったのです。

やることは、たった3ステップ。
1. 会議をiPhoneの「ボイスメモ」で録音する(新しいiPhoneは、録音と同時に文字起こしまでしてくれます)
2. 出てきた文字起こしをコピーする
3. 自作の仕組みを組み込んだAIに貼り付け、決めた様式で出力させる

たったこれだけ。所要時間、1〜2分。私はこれをゼロ秒議事録と呼んでいます(厳密にはゼロ秒ではありませんが、体感はゼロです)。

会議が終わった瞬間、議事録は「成仏」していた

初めてこれが動いたときの衝撃を、どう伝えればいいか。少し、取り乱すことをお許しください。

あ…ありのまま、今あったことを話すぜ。「会議が終わったら議事録を何時間もかけて書く」と思っていたら、気づいたら議事録はもう完成していた。何を言っているか分からないと思うが、私も、何をされたのか分からなかった……。
——取り乱したときの私

失礼しました。要するに、会議が終わったその瞬間に、清書済みの議事録が手元にあった、ということです。

あれだけ私を苦しめてきた無限ループが、いとも軽々と成仏していました。「すごい」を通り越して、正直ちょっと怖かったほどです。

なぜ既製ツールでなく、自作したのか

「議事録 AI 自動作成」で検索すると、優秀な専用ツールが山ほど出てきます。月額を払えば、すぐ使える。楽な道です。

だが断る。私はあえて、自作の道を選びました。5分の作業をサボるために5時間かけて仕組みを作る——そういう人間なのです。理由は3つ。

1. うちの自治会の独自フォーマットにぴったり合わせたかった
2. 1年で交代する役員のために、専用ツールへ新たに課金したくなかった(普段使いのAIで足りる)
3. 住人の話も出る場なので、データを自分の手元で扱いたかった

とはいえ、「自分で仕組みを作るのは面倒」なら、市販の専用ツールで十分です。大事なのは、タダ働きをやめること。入り口はどちらでも構いません。特別な機材もいりません。使うのは、iPhoneと、ふだん使っているAIだけです。

機械が苦手でも——安心してください

役員会には、スマホを電話としてしか使わない方もいます。「私、機械が苦手で……」という声も上がりました。

でも、安心してください、押すボタンは3つですよ。録音、コピー、貼り付け。それだけです。

覚えることより、忘れていい作業のほうが、ずっと多い。スマホがそうだったように、最初の一歩さえ越えれば、あとは指が勝手に覚えます。

「AIに渡して……」ちょっと何言ってるか分からない

この仕組みを役員会で説明してみました。「ボイスメモの文字起こしを、AIに渡してフォーマット出力すると……」。そこまで言ったところで、70代の役員さんが、実に穏やかな顔でこう言いました。「ちょっと何言ってるか分からない」。

……ですよね。そこで私は、専門用語を全部こちらで飲み込み、こう言い直しました。「録音を、賢いカンペ係に渡すだけです」。すると、ああ、と腑に落ちた顔。難しい言葉は、書く側が引き受ければいいのです。

ちなみに、会議はだいたい脱線します

うちの自治会の議題は脱線の宝庫です。この日も、ゴミ集積所のカラス対策から防犯灯のLED化まで白熱し、気づけば私もカラスネットの結び方を熱弁していました。……時を戻そう。

ともあれ、どれだけ脱線しても、録音さえしておけば議事録は1〜2分。脱線を恐れず、会議そのものに集中できるようになったのは、地味に大きな変化でした。

AIは、地域の「ドラえもん」になれる

少し、まじめな話を。地域はどんどん高齢化しています。AIの仕組みを理解してもらうのは、正直むずかしい。それでも、こういう地味な効率化こそ広がってほしいと、本気で思っています。

イメージはドラえもんです。「これやっといて」と頼めば、文句も言わずに道具を出して助けてくれる。あれくらい身近になれば、議事録だけでなく、買い物の代行や見守りまで、AIは人と地域をつなぐ道具になれるはずです。

ただし、ひみつ道具は使い方を誤ると町をめちゃくちゃにします。だからこそ、AIに「できること」を適切に絞る設計——のび太に四次元ポケットを丸ごと渡さない仕組み——が欠かせません。便利さと安全は、セットで初めて意味を持ちます。

たぶん、ここが気になりますよね

「文字起こしって、どこまで正確なの?」——会議室の環境次第ですが、要点を拾うには十分でした。ただし数字や固有名詞は誤変換します。最後は人間が確認する前提で。

「勝手に録音して、大丈夫…?」——会議の冒頭で「議事録のために録音します」と一言。これが最大のトラブル回避策です。

「個人情報、流出しない?」——クラウドに音声を送るツールは送信先を確認しましょう。議事録に残す内容も、人の目で取捨選択を。

「うちのフォーマットでもできる?」——できます。先に「いつもの様式」をAIに覚えさせておくのがコツ。むしろ独自フォーマットこそ、自作や設定の出番です。

まとめ──タダ働きからの解放は、ボタン3つで始まる

・議事録の自動作成は、iPhoneのボイスメモ+文字起こし+AIでできる
・鍵は「決めた様式で出力させる」こと。会議直後に1〜2分で終わる
・録音マナーと個人情報、数字の最終確認だけは、人間の仕事
・入り口は専用ツールでも自作でもいい。まず手作業を手放すことから

「自分には無理そう」と思った方へ。あきらめたら、そこで試合終了ですよ。まずは次の会議で、こっそりボイスメモの録音ボタンを押す。それだけで、あなたの休日は少し戻ってきます。

なお、仕様は変わりますし、自己責任でお願いします。来年あたり、これが自治会の標準装備になっているといいな、と思っています。知らんけど。

書いた人:せおっち。EC(楽天・Amazon)をやりつつ、AIエージェントやAI業務改善ツールを作っています。自治会では2周目の役員。
最終更新:2026年6月